2級タックスプランニング問題【2017年1月】

FP2級・3級試験教材

2017年1月に実施された2級ファイナンシャルプランナー(FP)の学科試験問題(タックスプランニング)と解説を掲載しています。

間違えた問題は、必ず、復習していきましょう。

タックスプランニング問題(2017年1月)

【問題31】所得税の取扱い

所得税の原則的な取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 個人事業主の所得税の計算期間については、納税地の所轄税務署長への届出により、任意に定めることができる。
  2. 課税総所得金額に対する所得税額は、所得金額の多寡にかかわらず、一律の税率を乗じることにより計算する。
  3. 所得税は、納税者の申告に基づき、課税庁が所得や納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。
  4. 所得税は、総合課税、源泉分離課税または申告分離課税のいずれかの課税方法により課される。

【問題32】所得金額の計算(所得税)

所得税における各種所得の金額の計算上、控除される金額に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、所得に係る収入金額については、いずれも最小限控除される額を超えているものとする。

  1. 利子所得の金額の計算上、収入金額から控除される金額はない。
  2. 給与所得の金額の計算上、収入金額からその収入金額に応じて計算される給与所得控除額が控除される。
  3. 退職所得の金額の計算上、収入金額からその収入金額に応じて計算される退職所得控除額が控除される。
  4. 公的年金等に係る雑所得の金額の計算上、収入金額からその者の年齢と収入金額に応じて計算される公的年金等控除額が控除される。

【問題33】総所得金額計算(所得税)

Aの平成28年分の所得の金額が下記のとおりであった場合の所得税における総所得金額として、最も適切なものはどれか。なお、▲が付された所得の金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。

  • 事業所得の金額:350万円(総合課税に係るものである)
  • 不動産所得の金額:▲100万円(不動産所得に係る土地の取得に要した負債の利子の額60万円を必要経費に算入している)
  • 雑所得の金額:▲80万円
  1. 170万円
  2. 250万円
  3. 270万円
  4. 310万円

【問題34】扶養控除(所得税)

AおよびAと同居し生計を一にする親族の平成28年分の所得の金額は下記のとおりである。この場合のAの平成28年分の所得税における扶養控除の額として、最も適切なものはどれか。なお、年齢は平成28年12月31日現在のものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。

A(49歳):給与所得600万円

Aの母(76歳):雑所得(公的年金等)30万円

Aの長男(14歳):所得なし

  1. 48万円
  2. 58万円
  3. 86万円
  4. 96万円

【問題35】税額控除(所得税)

次のうち、所得税において税額控除に該当するものはどれか。

  1. 小規模企業共済等掛金控除
  2. 生命保険料控除
  3. 住宅借入金等特別控除
  4. 障害者控除

【問題36】青色申告(所得税)

所得税における青色申告に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行う者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けて、青色申告書を提出することができる。
  2. すでに業務を行っている者が、その年分から新たに青色申告の適用を受けようとする場合には、原則として、その年の翌年3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければならない。
  3. その年の1月16日以後新たに業務を開始した者が、その年分から新たに青色申告の適用を受けようとする場合には、その業務を開始した日から2ヵ月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければならない。
  4. 青色申告者は、所定の帳簿書類を備え付け、取引を記録し、その帳簿書類を一定期間保存しなければならない。

【問題37】所得金額の計算(法人税)

次に掲げる費用等のうち、法人税における各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されるものとして、最も適切なものはどれか。

  1. 法人が役員に対して支給する給与のうち、定期同額給与(不相当に高額な部分の金額など一定のものを除く)に該当するもの
  2. 減価償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額を超える部分の金額
  3. 法人住民税の本税
  4. 事業税を延滞したことにより支払った延滞金

【問題38】消費税

消費税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. その課税期間の基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、かつ、特定期間(原則として前事業年度の前半6ヵ月間)の課税売上高が1,000万円以下の法人は、原則として消費税の免税事業者となる。
  2. 「消費税課税事業者選択届出書」を提出して消費税の課税事業者となった法人は、事業を廃止した場合を除き、原則として3年間は消費税の免税事業者となることができない。
  3. 設立1期目で事業年度開始の日における資本金の額が1,000万円以上である新設法人は、消費税の課税事業者となる。
  4. 消費税の課税事業者である個人事業者は、原則として、消費税の確定申告書をその年の翌年3月31日までに納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

【問題39】会社と役員間の取引に係る税務

会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 会社が所有する土地を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合は、その適正な時価と譲渡価額との差額はその役員への給与として取り扱われる。
  2. 会社が所有する土地を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合は、その適正な時価と譲渡価額との差額はその会社の受贈益として取り扱われる。
  3. 役員が所有する土地を会社に譲渡した場合において、その譲渡価額が適正な時価の2分の1以上で時価未満であるときは、原則として、実際の譲渡価額により譲渡所得の金額が計算される。
  4. 会社が役員に対して金銭を無利息で貸し付けた場合、役員に課税されることはない。

【問題40】会社法上の計算書類及び法人税法上の法人税申告書

会社法上の計算書類および法人税法上の法人税申告書に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 損益計算書は、一定時点における企業資本の運用形態である資産と、その調達源泉である負債、純資産の構成を示す会社法上の計算書類の一つである。
  2. キャッシュ・フロー計算書は、キャッシュ(現金および現金同等物)を、営業活動、投資活動、財務活動の3つに区分してその収支を計算し、キャッシュの増減を示す会社法上の計算書類の一つである。
  3. 個別注記表は、貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主として、株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成される会社法上の計算書類の一つである。
  4. 法人税申告書別表四は、損益計算書の当期利益の額または当期欠損の額に法人税法上の加算または減算を行い、所得金額または欠損金額を算出する明細書である。

タックスプランニング解答・解説

問題35、問題36、問題37、問題38、問題39、問題40の解答解説につきましては、教材購入者専用ページに掲載しています。教材購入者の方は、必ず、チェックしてください。

【問題31】所得税の取扱い

  1. 所得税は、1暦年間(1月1日から12月31日までの期間)の所得に対して課税されます。これを暦年単位課税といいます。
  2. 所得税は、比例税率(一律の税率)ではなく、超過累進税率です。超過累進税率は、課税総所得金額が多ければ多いほど税率が高く、課税総所得金額が少なければ少ないほど税率が低くなります。
    相続税や贈与税(暦年課税)も超過累進税率です。
  3. 所得税は、賦課課税方式ではなく、申告納税方式です。申告納税方式は、納税者が納めるべき税額を計算して納税する方法のことです。
    法人税、相続税、消費税なども申告納税方式です。
  4. 所得税の課税方法には、総合課税(他の所得と合算して税金を計算)と分離課税(他の所得と合算すずに税金を計算)があります。
    分離課税には、源泉分離課税と申告分離課税があります。
    源泉分離課税は、源泉徴収されるだけで課税関係は終了します。つまり、確定申告は不要です。
    申告分離課税は、源泉分離課税と異なり、確定申告により税金を納めます。

A.4

【問題32】所得金額の計算(所得税)

  1. 「利子や収益分配等の収入金額(源泉徴収税額を差し引く前)=利子所得」となります。よって、利子所得の金額の計算上、収入金額から控除される金額はありません。
  2. 「総収入金額-給与所得控除額=給与所得」となります。なお、給与所得控除額は、給与等収入金額により金額が異なり、給与等収入金額に基づいて計算されます。
  3. 「(収入金額-退職所得控除額) × 1/2=退職所得」となります。なお、勤続年数が20年以下の場合と20年超の場合とで、退職所得控除額の金額が異なります。
    勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数(80万円に満たないときは80万円)=退職所得控除額
    勤続年数が20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)=退職所得控除額
    よって、退職所得控除額は、収入金額に応じて計算されません。
  4. 「収入金額-公的年金等控除額=公的年金等の雑所得」となります。公的年金等控除額は、年金受給者の年齢(65歳以上か65歳未満か)と公的年金等の収入金額より金額が異なり、年金受給者の年齢(65歳以上か65歳未満か)と公的年金等の収入金額に基づいて計算されます。

A.3

【問題33】総所得金額計算(所得税)

【1】総所得金額

総所得金額は、純損失、雑損失の繰越控除後の(1)の金額と(2)の金額の合計額です。

(1)次の金額の合計額です。なお、損益通算を行った後の金額です。

  • 総合課税の利子所得
  • 総合課税の配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 総合課税の短期譲渡所得
  • 雑所得の金額の合計額

(2)総合課税の長期譲渡所得及び一時所得の合計額(損益通算を行った後の金額)×1/2

【2】損益通算

「不動産所得」、「事業所得」、「山林所得」、「譲渡所等」の金額の計算上、損失が生じた場合に、損益通算ができます。

ただし、不動産所得の損失のうち次のものは、損益通算の対象となりません。

  • 土地(土地の上に存する権利を含みます。)取得のための負債の利子
  • 生活に必要不可欠ではない資産(別荘など)の貸付けによる損失

【本問の解説】

不動産所得の損失40万円(100万円-60万円)は、損益通算の対象となり、雑所得の損失80万円は、損益通算の対象となりません。

よって、総所得金額は、310万円(350万円-40万円)となります。

A.4

【問題34】扶養控除(所得税)

  • Aの母:「70歳以上」、「年間の合計所得金額が38万円以下」、「Aと同居している」ので、扶養控除額は、58万円となります。
    ※例えば、Aの母が、Aと同居していない場合には、扶養控除額は、48万円となります。
  • Aの長男:14歳である長男は、16歳未満なので、扶養控除の対象外となります。

A.2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

    FP2級・3級試験教材