2級タックスプランニング問題【2017年5月】

FP2級・3級試験教材

2017年5月に実施された2級ファイナンシャルプランナー(FP)の学科試験問題(タックスプランニング)と解説を掲載しています。

間違えた問題は、必ず、復習していきましょう。

タックスプランニング問題(2017年5月)

【問題31】所得の分類(所得税)

所得税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 健康保険の被保険者が受け取った傷病手当金は、非課税所得となる。
  2. 雇用保険の被保険者が受け取った高年齢雇用継続基本給付金は、非課税所得となる。
  3. 火災により焼失した家屋について契約者(=保険料負担者かつ家屋の所有者である個人)が受け取った火災保険の保険金は、非課税所得となる。
  4. 個人年金保険契約に基づき、契約者(=保険料負担者)である年金受取人(個人)が年金形式で毎年受け取る年金は、非課税所得となる。

【問題32】所得金額の計算(所得税)

所得税における各種所得の金額の計算方法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 不動産所得の金額は、「不動産所得に係る総収入金額-必要経費」の算式により計算される。
  2. 事業所得の金額は、「事業所得に係る総収入金額-必要経費」の算式により計算される。
  3. 一時所得の金額は、「一時所得に係る総収入金額-その収入を得るために支出した金額の合計額」の算式により計算される。
  4. 退職所得の金額(特定役員退職手当等に係るものを除く)は、「(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2」の算式により計算される。

【問題33】損益通算(所得税)

所得税における損益通算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 事業所得の金額(総合課税に係るもの)の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。
  2. 一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。
  3. ゴルフ会員権を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。
  4. 譲渡所得について非課税とされる生活用動産を譲渡したことにより生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。

【問題34】医療費控除(所得税)

所得税の医療費控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」は考慮しないものとする。

  1. 医療費控除の控除額は、その年中に支払った医療費の金額の合計額から、総所得金額等の10%相当額を控除して計算される。
  2. 各年において医療費控除として控除することができる額の上限は、200万円である。
  3. 医療費の補てんとして受け取った保険金は、その補てんの対象となった医療費の金額を限度として、支払った医療費の金額から差し引かれる。
  4. 居住者が自己と生計を一にする配偶者に係る医療費を支払った場合、その医療費の金額は、その居住者の医療費控除の対象となる。

【問題35】所得控除(所得税)

次のうち、所得税における所得控除に該当するものはどれか。

  1. 配当控除
  2. 雑損控除
  3. 外国税額控除
  4. 住宅借入金等特別控除

【問題36】申告と納付(所得税)

所得税の申告と納付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 確定申告を要する者は、原則として、所得が生じた年の翌年の2月16日から3月15日までの間に、納税地の所轄税務署長に対して確定申告書を提出しなければならない。
  2. 年間の給与収入の金額が1,000万円を超える給与所得者は、年末調整の対象とならないため、確定申告を行わなければならない。
  3. 不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行う者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合に青色申告書を提出することができる。
  4. 1月16日以後新たに業務を開始した者が、その年分から青色申告を行う場合は、その業務を開始した日から2ヵ月以内に、「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければならない。

【問題37】法人税全般

法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 法人税の各事業年度の所得の金額は、企業会計上の利益の額に、法人税法による加算・減算などの所定の申告調整を行って算出する。
  2. 期末資本金の額が1億円以下の株式会社(株主はすべて個人)に対する法人税の税率は、所得金額のうち年800万円以下の部分について軽減税率が適用される。
  3. 法人税の確定申告書は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
  4. 新たに設立された株式会社が、設立第1期から青色申告を行う場合は、設立の日から2ヵ月以内に、「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければならない。

【問題38】交際費等(法人税)

下記<X社のデータ>に基づき算出される株式会社X(株主はすべて個人、以下「X社」という)の法人税の計算における交際費等の損金算入額として、最も適切なものはどれか。なお、X社が支出した交際費等はすべて接待飲食費であり、X社の役員・従業員等に対する接待等のために支出した飲食費や参加者1人当たり5,000円以下の飲食費は含まれていない。また、当期の所得金額が最も少なくなるように計算すること。

<X社のデータ>

事業年度 :平成28年4月1日~平成29年3月31日
期末資本金の額 :8,000万円
交際費等の支出金額:1,400万円

  1. 700万円
  2. 800万円
  3. 1,000万円
  4. 1,400万円

【問題39】消費税

消費税の課税事業者である法人が国内で行った次の取引のうち、消費税の非課税取引とされないものはどれか。

  1. 有価証券の譲渡
  2. 更地である土地の譲渡
  3. 貸付期間が1ヵ月以上の土地の貸付け(駐車場等の施設の利用に伴う貸付けを除く)
  4. 社宅に供されていた建物の譲渡

【問題40】会社と役員間の税務

会社と役員間の税務に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 会社が役員に対して支給する給与のうち、定期同額給与(不相当に高額な部分など一定のものを除く)に該当するものは損金の額に算入される。
  2. 会社が役員の所有する土地を適正な時価よりも低い価額で取得した場合、その適正な時価と実際に支払った対価との差額は、その会社の受贈益になる。
  3. 会社が所有する建物を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額は、その役員への給与所得として取り扱われる。
  4. 会社が役員に対して金銭を無利息で貸し付けた場合、通常の利率により計算した利息の金額は、その役員の雑所得の収入金額として取り扱われる。

タックスプランニング解答・解説

問題31、問題32、問題33、問題40の解答解説につきましては、教材購入者専用ページに掲載しています。教材購入者の方は、必ず、チェックしてください。

【問題34】医療費控除(所得税)

  1. 医療費控除額=実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円
    ※算式では、10万円を差し引いていますが、その年の総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%の金額を差し引きます。

  2. 医療費控除額は、最高で200万円です。よって、上記1.の算式で計算した金額が200万円を超えた場合でも、控除額は、200万円です。

  3. 上記1.のとおりです。

  4. 医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に、納税者が、自身または生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に適用されます。

A.1

【問題35】所得控除(所得税)

所得控除には、人的控除と物的控除があります。

人的控除には、「配偶者控除」、「配偶者特別控除」、「扶養控除」、「基礎控除」、「障害者控除」、「寡婦(寡夫)控除」、「勤労学生控除」があります。

物的控除には、「雑損控除」、「医療費控除」、「社会保険料控除」、 「小規模企業共済等掛金控除」、「生命保険料控除」、「地震保険料控除」、「寄附金控除」があります。

よって、雑損控除が所得控除に該当します。なお、「配当控除」、「外国税額控除」、「住宅借入金等特別控除」は、税額控除に該当します。

A.2

【問題36】申告と納付(所得税)

  1. 1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、その結果、納付すべき所得税額がある場合、原則、翌年2月16日から3月15日までの間に、納税地の所轄税務署長に対して確定申告を行い、所得税を納めなければなりません。

  2. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人は、確定申告する必要があります。

  3. 不動産所得、事業所得、山林所得のある方は、青色申告ができます。
    青色申告制度を適用するためには、原則、適用を受けようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、承認を受けなければなりません。

  4. 青色申告制度を適用するためには、適用を受けようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
    ただし、1月16日以後に新規に業務を開始した場合には、業務を開始した日から2ヵ月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

A.2

【問題37】法人税全般

  1. 以下の調整をすることにより、会計上の利益を法人税法上の所得金額にすることができます。
    会計上の利益+損金不算入額+益金算入額-損金算入額-益金不算入額=所得金額

  2. 期末資本金等の額が1億円以下の法人(中小法人)の法人税率は、以下のとおりです。年800万円以下の部分の税率は、15%(本則:19%)です。
    年800万円を超える部分の税率は、23.4%です。なお、平成30年4月1日以後に開始する事業年度については、23.2%です。
    よって、軽減税率が適用されます。

  3. 法人税の確定申告書は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
    ※会計監査人の監査を受けなければならないことなどにより決算が確定せず、2ヵ月以内に確定申告書を提出することができない状況であると認められる場合、納税地の所轄税務署長は、その法人の申請により、原則、提出期限を1ヵ月間、延長することができます。

  4. 新設法人の場合、「設立の日以後3ヵ月を経過した日」と「設立事業年度終了の日」とのうちいずれか早い日の前日までに、青色申告承認申請書を所轄税務署長に提出しなければなりません。

A.4

【問題38】交際費等(法人税)

期末資本金等の金額が1億円以下の法人については、交際費等のうち、次のいずれかの金額まで、損金に算入することができます。

  1. 交際費等のうち、「飲食等に要する費用×50%」の金額
  2. 交際費等の額のうち、「800万円×当事業年度の月数÷12ヵ月」の金額

1.1,400万円×50%=700万円

2.800万円×12ヵ月÷12ヵ月=800万円

「当期の所得金額が最も少なくなるように計算する」旨の指示があるので、金額の多い方を選ぶ必要がありますので、800万円となります。

A.2

【問題39】消費税

国内において行われる資産の譲渡等のうち、以下のものには、消費税が課されません。

  • 土地(借地権等土地の上に存する権利を含みます。)の譲渡及び貸付け。ただし、1ヵ月未満の土地の貸付け等には、消費税が課されます。
  • 国債・株式等の譲渡
  • 預貯金や貸付金の利子
  • 保険料を対価とする役務の提供
  • 郵便切手・印紙・商品券・プリペイドカード等の譲渡
  • 行政手数料
  • 身体障害者用物品の譲渡や貸付け
  • 居住用住宅の貸付け。ただし、1ヵ月未満の住宅の貸付け等には、消費税が課されます。

よって、社宅に供されていた建物の譲渡は、非課税に該当しません。

A.4

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