2023年(令和5年)9月に実施されましたFP2級学科試験の問42の問題(不動産の鑑定評価の手法)と解答・解説です。
問42:不動産の鑑定評価の手法
不動産の鑑定評価の手法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の価格を求める手法である。
- 取引事例比較法では、取引事例の取引時点が価格時点と異なり、その間に価格水準の変動があると認められる場合、当該取引事例の価格を価格時点の価格に修正する必要がある。
- 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより、対象不動産の価格を求める手法である。
- 収益還元法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産や賃貸の用に供されていない自用の不動産の価格を求める際には、基本的に適用してはならないとされる。
解答・解説
- 適切
原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の価格を求める手法です(この手法による試算価格を積算価格といいます)。 - 適切
取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法です(この手法による試算価格を比準価格といいます)。
↓
取引事例に係る取引の時点が価格時点と異なることにより、その間に価格水準の変動があると認められるときに、当該事例の価格を価格時点の価格に修正しなければなりません。これが、時点修正です。 - 適切
収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより、対象不動産の価格を求める手法です(この手法による試算価格を収益価格といいます)。 - 不適切
収益還元法は、文化財の指定を受けた建造物等の一般的に市場性を有しない不動産以外のものには基本的にすべて適用すべきものであり、自用の不動産といえども賃貸を想定することにより適用されるものです。
解答:4