2018年9月FP2級生保顧客:第1問(実技試験)

FP2級・3級試験教材

2018年9月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級生保顧客(2018年9月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

Aさん(38歳)は、食品卸商社X社(以下、「X社」という)を平成30年11月末日に退職し、個人事業主として独立する予定である。Aさんは、X社を退職するにあたり、公的年金制度について理解を深めたいと思っている。また、老後の収入を増やすことのできる各種制度を利用したいと考えている。 そこで、Aさんは、知人であるファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Aさんとその家族に関する資料は、以下のとおりである。

<Aさんとその家族に関する資料>

(1)Aさん(38歳)

・昭和55年6月14日生まれ

・公的年金加入歴 :下図のとおり(60歳までの見込みを含む)

(2) 妻Bさん(38歳)

・昭和55年8月21日生まれ/専業主婦

・公的年金加入歴:18歳からAさんと結婚するまでの12年間(144月)は、厚生年金保険に加入。Aさんとの結婚後、国民年金に第3号被保険者として加入している。

(3)長女Cさん(5歳)

(4)二女Dさん(2歳)

※妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。

※家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1:公的年金制度

はじめに、Mさんは、Aさんに対して、X社退職後におけるAさん夫妻の公的年金制度について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)~(3)に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のイ~チのなかから選びなさい。

  1. 「Aさんが平成30年11月末日にX社を退職し、同年12月から個人事業主となった場合、Aさんは、国民年金の第2号被保険者から第1号被保険者への種別変更の届出を行い、以後、60歳に達するまでの間、国民年金の保険料を納付することになります。なお、種別変更の届出は、( 1 )ください。また、Aさんが個人事業主となった場合、妻Bさんは、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の届出を行い、以後、Aさんと同様、国民年金の保険料を納付することになります」
  2. 「国民年金の保険料は、月額( 2 )円(平成31年度価額)です。毎月の保険料は翌月末日までに納付しなければなりませんが、将来の一定期間の保険料を前納することもできます。前納した場合、前納期間に応じて保険料の割引がありますが、前納できる期間は( 3 )年が上限となります」

〈語句群〉

イ.1 ロ.2 ハ.5 ニ.16,410 ホ. 16,900

ヘ.20,750 ト.住所地の市(区)町村役場でAさん自らが手続を行って

チ.退職前の勤務先であるX社を通じて日本年金機構に提出し

問2:国民年金基金等

次に、Mさんは、Aさんに対して、老後の収入を増やすための各種制度について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)~(4)に入る最も適切な数値を求めなさい。

  1. 『付加保険料』 「Aさんは、所定の手続により、国民年金の定額保険料に加えて、月額( 1 )円の付加保険料を納付することができます。仮に、Aさんが付加保険料を240月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として( 2 )円が上乗せされます」
  2. 『国民年金基金』 「国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者の老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。国民年金基金への加入は口数制となっており、1口目は、保証期間のある終身年金A型、保証期間のない終身年金B型の2種類のなかから選択します。国民年金基金に拠出できる掛金の限度額は、月額( 3 )円となります。なお、国民年金基金に加入する場合は、国民年金の付加保険料の納付をやめる手続が必要となります」
  3. 『小規模企業共済制度』 「小規模企業共済制度は、個人事業主が廃業等した場合に必要となる生活資金を準備しておくための共済制度です。個人事業主の場合、常時使用する従業員数が20人(商業・サービス業では5人)以下の方が加入対象となります。毎月の掛金は、1,000円から( 4 )円の範囲内で、500円刻みで選択できます。共済金(死亡事由以外)の受取方法には『一括受取り』『分割受取り』『一括受取り・分割受取りの併用』があり、税法上、『一括受取り』の共済金(死亡事由以外)は退職所得として課税されます」

問3:個人型年金

最後に、Mさんは、Aさんに対して、確定拠出年金の個人型年金(以下、「個人型年金」という)について説明した。Mさんが説明した次の記述(1)~(3)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

(1)「国民年金の第1号被保険者で国民年金の定額保険料を納付している者は、原則として、個人型年金に加入することができます。個人型年金は、60歳になるまでの通算加入者等期間が10年以上あれば、老齢給付金を60歳から受給することができます」

(2)「個人型年金の掛金は、その全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、総所得金額等から控除することができます」

(3)「個人型年金では、銀行・証券会社等の運営管理機関が定める手数料を負担する必要がありますが、当該手数料の額は金融機関の別なく、全国一律です」

解答・解説

問1:公的年金制度

(1)について

種別変更(第2号→第1号)の届出は、住所地の市(区)町村役場でAさん自らが手続を行う必要があります。

(2)について

国民年金の保険料は、月額16,410円(平成31年度価額)です。

※2020年4月からは、16,540円となります。

(3)について

前納できる期間は2年が上限となります。

解答:(1)ト (2)ニ (3)ロ

問2:国民年金基金等

(1)(2)について

付加保険料は、400円です。

付加年金は、「200円×240月=48,000円」です。

(3)について

国民年金基金に拠出できる掛金の限度額は、月額68,000円となります。

(4)について

小規模企業共済の掛金月額は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選択できます。  

解答:(1)400(2)48,000(3)68,000(4)70,000

問3:個人型年金

(1)について

国民年金の第1号被保険者で国民年金の定額保険料を納付している者は、原則として、個人型年金に加入することができます。

なお、個人型年金は、60歳になるまでの通算加入者等期間が10年以上あれば、老齢給付金を60歳から受給することができます。

(2)について

個人型年金の掛金は、その全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となります。

(3)について

個人型年金では、銀行・証券会社等の運営管理機関が定める手数料を負担する必要があります。なお、当該手数料の額は金融機関によって異なります。

解答:(1)〇 (2)〇 (3)×

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