2021年5月FP2級生保顧客:第1問(実技試験)

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2021年5月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級生保顧客(2021年5月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

個人事業主のAさん(39歳)は、妻Bさん(39歳)とともに、飲食店を営んでいる。Aさんは、今月に40歳を迎え、公的介護保険の保険料負担が生じることから、当該制度について詳しく知りたいと思っている。
また、Aさんは、現在、国民年金の付加保険料を納付しているが、老後資金の準備のため、付加保険料の納付以外にも、各種制度を活用したいと考えている。 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<Aさん夫妻に関する資料>

(1) Aさん(1981年5月26日生まれ)

  • 公的年金加入歴
    下図のとおり(60歳までの見込みを含む) 2020年7月から国民年金の付加保険料を納付している。
  • 国民健康保険に加入している。

(2) 妻Bさん(1981年7月10日生まれ)

  • 公的年金加入歴
     18歳からAさんと結婚するまでの10年間(120月)、厚生年金保険に加入。結婚後は、国民年金に第1号被保険者として加入し、保険料を納付している。

※妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※Aさんおよび妻Bさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1

はじめに、Mさんは、Aさんに対して、公的介護保険(以下、「介護保険」という)について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「介護保険の保険給付を受けるためには、市町村(特別区を含む)から要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。また、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である介護保険の第2号被保険者は、特定疾病が原因で要介護状態または要支援状態となった場合に介護保険の保険給付を受けることができます」
  2. 「介護保険の第2号被保険者に係る介護保険料は、国民健康保険の保険料の納付方法にかかわらず、市町村(特別区を含む)から送付される納付書により納付することになります」
  3. 「介護保険の第2号被保険者が保険給付を受けた場合の自己負担割合は、原則として実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の1割となりますが、一定金額以上の所得を有する第2号被保険者については、自己負担割合が2割または3割となります」

問2

次に、Mさんは、Aさんに対して、Aさんが受給することができる老齢基礎年金の額および付加年金の額について試算した。《設例》の<Aさん夫妻に関する資料>および下記の<条件>に基づき、下記の計算式の空欄(1)~(3)に入る最も適切な数値を答えなさい。なお、年金額は2020年度価額に基づいて計算すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

<条件>

  • Aさんは、60歳に達するまで国民年金の保険料を納付する。
  • Aさんは、60歳に達するまで国民年金の付加保険料を250月納付する。
  • Aさんは、65歳から老齢基礎年金の受給を開始する。

<老齢基礎年金の額>

( 1 )円×( 2 )月/ 480月 =□□□円(円未満四捨五入)

<付加年金の額>

( 3 )円×250月=□□□

問3

最後に、Mさんは、Aさんに対して、老後の収入を増やすための各種制度等について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)~(4)に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選びなさい。

  1. 確定拠出年金の個人型年金(以下、「個人型年金」という) 「国民年金の第1号被保険者であるAさんは、個人型年金に加入することができます。個人型年金の老齢給付金は、通算加入者等期間が( 1 )年以上ある場合、60歳から受給することができます。個人型年金に加入するメリットとして、税制の優遇措置が挙げられます。加入者が拠出する掛金は、( 2 )控除の対象となります」
  2. 国民年金基金 「国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。国民年金基金への加入は口数制となっており、1口目は、保証期間のある終身年金A型と保証期間のない終身年金B型の2種類のなかから選択します。国民年金基金に拠出する掛金については、月額( 3 )円が上限となります。なお、Aさんのように国民年金の付加保険料を納付している者が国民年金基金に加入する場合には、付加保険料の納付をやめる手続が必要となります」
  3. 小規模企業共済制度 「小規模企業共済制度は、Aさんのような個人事業主が廃業等した場合に必要となる資金を準備することができる共済制度です。毎月の掛金は、1,000円から( 4 )円の範囲内で、500円単位で選択することができます。共済金(死亡事由以外)の受取方法には『一括受取り』『分割受取り』『一括受取り・分割受取りの併用』があり、税法上、『一括受取り』の共済金(死亡事由以外)は退職所得として課税対象となります」

<語句群>

イ.2 ロ.5 ハ.10 ニ.12,000 ホ.20,000

へ.23,000 ト.68,000 チ.70,000

リ.小規模企業共済等掛金 ヌ.生命保険料 ル.社会保険料

解答・解説

問1

1

介護保険の保険給付を受けるためには、市町村(特別区を含む)から要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。

また、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である介護保険の第2号被保険者は、特定疾病が原因で要介護状態または要支援状態となった場合に介護保険の保険給付を受けることができます

2×

第2号被保険者の介護保険料は、その者が加入している公的医療保険(国保など)の保険料と合わせて徴収されます。

3×

 第2号被保険者の負担割合は1割です。(本肢の記述は第1号被保険者の記述です。)

問2

(1)について

2020年度(満額)は781,700円となります。(2021年度満額は780,900円)

(2)について

若年者納付猶予制度、学生納付特例制度による猶予期間は、その期間に係る保険料の追納がない場合、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されますが、老齢基礎年金の年金額には反映されません。

ですので、「480月-35月=445月」となります。

(3)について

200円×付加保険料納付月数=付加年金額

解答:(1)781,700(2)445(3)200

問3

(1)について

個人型年金の老齢給付金は、通算加入者等期間が10年以上ある場合、60歳から受給することができます。

(2)について

加入者が拠出する掛金(個人型年金の掛金)は、小規模企業共済等掛金控除の対象となります。

(3)について

国民年金基金に拠出する掛金については、月額68,000円が上限となります。

(4)について

小規模企業共済の掛金月額は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選択することができます。

解答:(1)ハ(2)リ(3)ト(4)チ

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