2022年1月FP2級生保顧客:第1問(実技試験)

FP2級・3級試験教材

2022年1月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級生保顧客(2022年1月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(53歳)は、妻Bさん(55歳)および母Cさん(77歳)との3人暮らしである。Aさんは、大学卒業後、X社に入社し、現在に至るまで同社に勤務している。
Aさんは、今後の資金計画を検討するにあたり、公的年金制度から支給される老齢給付について知りたいと思っている。
また、Aさんは、母Cさんが将来、介護が必要な状態となることを心配しており、介護休業を取得した場合の雇用保険からの給付についても知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<Aさんとその家族に関する資料>

(1)Aさん(1968年7月10日生まれ・会社員)

  • 公的年金加入歴:下図のとおり(60歳までの見込みを含む)
    20歳から大学生であった期間(33月)は国民年金に任意加入していない。
  • 全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入中

(2) 妻Bさん(1966年6月15日生まれ・専業主婦)

  • 公的年金加入歴:18歳からAさんと結婚するまでの12年間(144月)は、厚生年金保険に加入。結婚後は、国民年金に第3号被保険者として加入している。
  • 全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者である。

(3)母Cさん(1944年10月11日生まれ)

  • 後期高齢者医療制度の被保険者である。

※妻Bさんおよび母Cさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1

Aさんが、原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2021年度価額)を計算した次の<計算の手順>の空欄①~④に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。計算にあたっては、《設例》の<Aさんとその家族に関する資料>および下記の<資料>に基づくこと。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

<計算の手順>

1.老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入)( ① )円

2.老齢厚生年金の年金額

(1)報酬比例部分の額(円未満四捨五入)( ② )円

(2)経過的加算額(円未満四捨五入)( ③ )円

(3)基本年金額(上記「(1)+(2)」の額) □□□円

(4)加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること)

(5)老齢厚生年金の年金額( ④ )円

問2

Mさんは、Aさんに対して、妻Bさんが受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「1966年6月生まれの妻Bさんは、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として、65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給することになります」
  2. 「妻Bさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の額には、振替加算額が加算されます」
  3. 「国民年金の第3号被保険者であった期間は、合算対象期間として老齢基礎年金の受給資格期間に算入されますが、老齢基礎年金の年金額には反映されません」

問3

Mさんは、Aさんに対して、雇用保険の介護休業給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を答えなさい。

「介護休業給付金は、Aさんのような雇用保険の一般被保険者が、配偶者や父母などの対象家族に係る所定の介護休業を取得し、かつ、介護休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して( ① )以上ある場合に支給されます。なお、介護休業給付金の支給対象となる介護休業は、支給単位期間における就業日数が10日以下であるものに限られます。
また、被保険者が同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して93日を限度に( ② )までに限り支給されます。
介護休業給付金の額は、介護休業期間中に事業主から賃金の支払がない場合、一支給単位期間当たり『休業開始時賃金日額×支給日数×( ③ )』の算式で算出されます。事業主から賃金の支払がある場合は、その支給単位期間における介護休業給付金は、賃金の額が『休業開始時賃金日額×支給日数』の13%相当額超80%相当額未満であるときは減額支給となり、80%相当額以上であるときは支給されません」

<語句群>

イ.3カ月 ロ.6カ月 ハ.12カ月 ニ.3回 ホ.4回

ヘ.5回 ト.50% チ.67% リ.75%

解答・解説

問1

➀について

国民年金の未加入期間33月については、保険料納付済月数には含めません。

ですので、老齢基礎年金の年金額は、「780,900円×447月/480月=727,213.125円→727,213円(円未満四捨五入)」となります。

②について

報酬比例部分の額は、「25万円×7.125/1,000×144月+45万円×5.481/1,000×303月=1,003,834.35→1,003,834円(円未満四捨五入)」となります。

③について

経過的加算額は、「1,628円×447月-780,900円×447月/480月=502.875円→503円(円未満四捨五入)」となります。

④について

厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(原則)である者が、特別支給の老齢厚生年金の定額部分や65歳以後の老齢厚生年金を受給できるようになった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳到達年度末までの子ども(1級・2級の障害がある場合は、20歳未満の子)がいる場合に、老齢厚生年金に加給年金額が加算されますが、

本問は、この要件に該当しません(妻Bさんが自分より年上)。つまり、加給年金額が加算されません。

その結果、老齢厚生年金の年金額は、「1,003,834円+503円=1,004,337円」となります。

解答:①727,213 ②1,003,834 ③503 ④1,004,337

問2

1966年4月2日以降生まれの女性は、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として、65歳から老齢基礎年金及び老齢厚生年金を受給することになります。

×

1966年4月2日以降に生まれた者は、振替加算の対象とはなりません。

×

国民年金の第3号被保険者であった期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に算入され、老齢基礎年金の年金額に反映されます。

問3

➀について

介護休業給付金は、雇用保険の一般被保険者が、配偶者や父母などの対象家族に係る所定の介護休業を取得し、かつ、介護休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12ヵ月以上ある場合に支給されます。

②について

被保険者が同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して93日を限度に3回までに限り支給されます。

③について

介護休業給付金の額は、介護休業期間中に事業主から賃金の支払がない場合、一支給単位期間当たり「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」の算式で算出されます。

解答:①ハ ②二 ③チ

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