2023年1月FP2級生保顧客:第1問(実技試験)

FP2級・3級試験教材

2023年1月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級生保顧客(2023年1月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(55歳)は、高校を卒業後、X社に入社し、現在に至るまで同社に勤務している。Aさんは、X社の継続雇用制度を利用して65歳まで働く予定である。Aさんは、老後の生活資金の準備等、今後の資金計画を検討するにあたり、将来どのくらいの年金額を受給することができるのか、公的年金制度について理解を深めたいと考えている。
妻Bさん(56歳)は、先日、パート先の店長からシフトを増やせないかと相談された。妻Bさんは今の仕事にやりがいを感じており、シフトを増やすことを検討している。
そこで、Aさん夫妻は、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<Aさん夫妻に関する資料>

(1)Aさん(1967年7月16日生まれ・55歳・会社員)

  • 公的年金加入歴: 下図のとおり(65歳までの見込みを含む)
  • 全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入している。

(2) 妻Bさん(1966年9月28日生まれ・56歳・パート従業員)

  • 公的年金加入歴: 18歳からAさんと結婚するまでの6年間(72月)は、厚生年金保険に加入。結婚後は、国民年金に第3号被保険者として加入している。
  • 全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者である。

<妻Bさんのパート勤務の概要>

  • 週18時間のパート勤務、年収92万円
  • 妻Bさんの勤務先は、特定適用事業所に該当する。

※妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。

※Aさんおよび妻Bさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1

Mさんは、Aさん夫妻に対して、Aさんが受給することができる公的年金制度からの老齢給付の額について説明した。《設例》の<Aさん夫妻に関する資料>および下記の<資料>に基づき、次の①、②を求めなさい。なお、年金額は2022年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。

①原則として、Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の年金額

②原則として、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の年金額

問2

Mさんは、Aさん夫妻に対して、公的年金制度からの老齢給付について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「Aさんおよび妻Bさんには、特別支給の老齢厚生年金は支給されません。原則として、65歳から老齢厚生年金を受給することになります」
  2. 「Aさんおよび妻Bさんが希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。仮に、Aさんが67歳0カ月で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、年金の増額率は16.8%となります」
  3. 「国民年金の第3号被保険者である妻Bさんは、国民年金の付加保険料を納付することができます。仮に、付加保険料を44月納付した場合、65歳から受給する老齢基礎年金の額に付加年金として年額8,800円が上乗せされます」

問3

Mさんは、Aさん夫妻に対して、短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の<語句群>のなかから選びなさい。

「1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が通常の労働者の( ① )以上になった場合、健康保険および厚生年金保険の被保険者となります。また、妻Bさんがパート従業員として勤務している現在の事業所においては、1週間の所定労働時間または1カ月の所定労働日数が通常の労働者の( ① )未満であっても、1週間の所定労働時間が( ② )時間以上であること、雇用期間が2カ月を超えて見込まれること、賃金の月額が( ③ )円(賞与、残業代、通勤手当等を除く)以上であること、学生でないことの要件をすべて満たした場合、妻Bさんは健康保険および厚生年金保険の被保険者となります」

<語句群>

イ.20 ロ.25 ハ.36 ニ.88,000 ホ.100,000 ヘ.125,000

ト.2分の1 チ.3分の2 リ.4分の3

解答・解説

問1

➀について

老齢基礎年金額を算定する際、

厚生年金保険の被保険者期間のうち、20歳~60歳までの期間が対象となります。

ですので、老齢基礎年金の年金額は、「777,800円×480月÷480月=778,000円」となります。

②について

報酬比例部分の額は、「28万円×7.125/1,000×204月+50万円×5.481/1,000×351月=1,368,895.5円→1,368,896円(円未満四捨五入)」となります。

経過的加算額は、「1,621円×480月-777,800円×480月÷480月=280円」となります。

厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(原則)である者が、特別支給の老齢厚生年金の定額部分や65歳以後の老齢厚生年金を受給できるようになった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳到達年度末までの子ども(1級・2級の障害がある場合は、20歳未満の子)がいる場合に、老齢厚生年金に加給年金額が加算されますが、

本問は、この要件に該当しません(妻Bが自分より年上)。

ですので、加給年金額が加算されません。

上記の結果、

老齢厚生年金の年金額は、「1,368,896円+280円=1,369,176円」となります。

解答:①778,000円 ②1,369,176円

問2


  1. 1961年4月2日以降に生まれの男性、1966年4月2日以降に生まれの女性は、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として、65歳から老齢基礎年金及び老齢厚生年金を受給することになります。

  2. Aさんが67歳0カ月で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、年金の増額率は、「0.7%×24月=16.8%」となります。
  3. ×
    国民年金の第1号被保険者、国民年金の付加保険料を納付することができ、付加年金を受給することができます。

解答:1.〇 2.〇 3.×

問3

1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上になった場合、健康保険および厚生年金保険の被保険者となります。

また、

妻Bさんがパート従業員として勤務している現在の事業所においては、1週間の所定労働時間または1カ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満であっても、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、雇用期間が2カ月を超えて見込まれること、賃金の月額が88,000円(賞与、残業代、通勤手当等を除く)以上であること、学生でないことの要件をすべて満たした場合、

妻Bさんは健康保険および厚生年金保険の被保険者となります。

解答:①リ ②イ ③ニ

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