2025年5月FP2級生保顧客:第1問(実技試験:CBT試験)

2025年5月公表分のFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務:CBT試験)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級生保顧客(2025年5月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(52歳)は、妻Bさん(54歳)および母Cさん(76歳)との3人暮らしである。Aさんは、今後の資金計画を検討するにあたり、60歳になるまで厚生年金保険に加入した場合の公的年金の老齢給付について知りたいと思っている。
また、Aさんは、母Cさんが将来、介護が必要な状態となることを心配しており、介護休業を取得した場合の雇用保険の給付についても知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈Aさんとその家族に関する資料〉

(1)Aさん(1972年7月10日生まれ、52歳、会社員)

  • 公的年金加入歴:下図のとおり(60歳までの見込みを含む)
  • 全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入している。

(2) 妻Bさん(1970年6月15日生まれ、54歳、専業主婦)

  • 公的年金加入歴:高校卒業後の12年間(144月)は厚生年金保険に加入し、その後は国民年金に第3号被保険者として加入している。
  • 全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者である。

(3)母Cさん(1948年10月11日生まれ、76歳)

  • 後期高齢者医療制度の被保険者である。

※妻Bさんおよび母Cさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※Aさんとその家族は、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※Aさんとその家族の年齢は、いずれも2024年12月31日現在のものである。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1

Aさんが、原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2024年度価額)を計算した次の〈計算の手順〉の空欄①~④に入る最も適切な数値を答えなさい。計算にあたっては、《設例》の〈Aさんとその家族に関する資料〉および下記の〈資料〉に基づくこと。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

〈計算の手順〉

1.老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入) ( ① )円

2.老齢厚生年金の年金額

(1)報酬比例部分の額(円未満四捨五入) ( ② )円

(2)経過的加算額(円未満四捨五入) ( ③ )円

(3)基本年金額(上記「(1)+(2)」の額) □□□円

(4)加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること)

(5)老齢厚生年金の年金額( ④ )円

問2

Mさんは、Aさんに対して、妻Bさんが受給することができる公的年金の老齢給付について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものは○を、不適切なものは×を選択しなさい。

  1. 「妻Bさんには、特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として、65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給することになります」
  2. 「妻Bさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の額には、振替加算額は加算されません」
  3. 「国民年金の第3号被保険者であった期間は、合算対象期間として老齢基礎年金の受給資格期間に算入されますが、老齢基礎年金の年金額には反映されません」

問3

Mさんは、Aさんに対して、雇用保険の介護休業給付金について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉のなかから選びなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

「介護休業給付金は、Aさんのような雇用保険の一般被保険者が、配偶者や父母などの対象家族に係る所定の介護休業を取得し、かつ、原則として、介護休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12カ月以上ある場合に支給されます。なお、介護休業給付金の支給対象となる介護休業は、支給単位期間における就業日数が( ① )日以下であるものに限られます。また、同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して( ② )日を限度に3回までに限り支給されます。
介護休業給付金の額は、一支給単位期間当たり『休業開始時賃金日額×支給日数×( ③ )%』の算式で算出されます。なお、介護休業期間中に事業主から賃金の支払がある場合、その支給単位期間における介護休業給付金は、賃金額が『休業開始時賃金日額×支給日数』の13%相当額超□□□%相当額未満であるときは減額支給となり、□□□%相当額以上であるときは支給されません」

〈数値群〉

イ.10 ロ.14 ハ.31 ニ.50 ホ.56 ヘ.67 ト.75 チ.93

リ.120

解答・解説

問1

①について

国民年金保険料未納期間33月は、保険料納付済月数に含まれません。

ですので、老齢基礎年金の年金額は、「816,000円×447月(480月-33月)/480=759,900円」となります。

②について

報酬比例部分の額は、「(25万円×7.125/1,000×96月)+(45万円×5.481/1,000×351月)=1,036,723.95円→1,036,724円(円未満四捨五入)」となります。

③について

経過的加算額は、「1,701円×447月-816,000円×447月/480月=447円」となります。

④について

妻Bさんが、年上ですので、加給年金額は加算されません。

ですので、老齢厚生年金の年金額は、「1,036,724円円+447円=1,037,171円」となります。

解答:①759,900 ②1,036,724 ③447 ④1,037,171

問2


  1. 妻Bさんは、1966年4月2日以降に生まれていますので、特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として、65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給することになります。

  2. 妻Bさんは、1966年4月2日以降に生まれていますので、振替加算額は加算されません。
  3. ×
    「国民年金の第3号被保険者であった期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に算入されます。また、老齢基礎年金の年金額にも反映されます。

問3

①・②について

介護休業給付金の支給対象となる介護休業は、支給単位期間における就業日数が10日以下であるものに限られます。

また、同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して93日を限度に3回までに限り支給されます。

③について

介護休業給付金の額は、一支給単位期間当たり「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」の算式で算出されます。

解答:①イ ②チ ③ヘ

≫2025年5月実技(生保顧客)目次ページ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

    error: Content is protected !!