2021年9月FP2級個人資産:第2問(実技試験)

FP2級・3級試験教材

2021年9月に実施されましたFP2級実技試験(個人資産相談業務)の第2問の問題と解説です。

第2問:FP2級個人資産(2021年9月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問4~問6)に答えなさい。

《設例》

会社員のAさん(42歳)は、預貯金を1,000万円程度保有しているが、上場株式を購入した経験がない。Aさんは、証券会社でNISA口座を開設し、同じ業種のX社株式またはY社株式(2銘柄とも東京証券取引所市場第一部上場)を同口座で購入したいと考えている。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<株価データ>

  • X社:株価4,500円、発行済株式数5億株、1株当たり年間配当金100円
  • Y社:株価2,000円、発行済株式数10億株、1株当たり年間配当金60円

※本問においては、以下の名称を使用する。

  • 少額投資非課税制度に係る非課税口座を「NISA口座」という。
  • 非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度を「一般NISA」といい、当該非課税管理勘定を「一般NISA勘定」という。
  • 非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度を「つみたてNISA」といい、当該累積投資勘定を「つみたてNISA勘定」という。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問4

《設例》のデータに基づいて算出される次の①、②を求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。

①X社およびY社のROE

②X社およびY社のPBR

問5

Mさんは、Aさんに対して、《設例》のデータに基づいて、株式の投資指標等について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「一般に、PERが高い銘柄ほど、株価は割高とみられますが、今後の高い利益成長が期待され、高くなっていることもあります。PERは、Y社のほうがX社よりも高くなっています」
  2. 「一般に、配当利回りが高いほど、株主に対する利益還元の度合いが高いと考えることができます。配当利回りは、X社株式のほうがY社株式よりも高くなっています」
  3. 「一般に、自己資本比率が高いほど、経営の安全性が高いと考えられています。自己資本比率は、Y社のほうがX社よりも高くなっています」

問6

Mさんは、Aさんに対して、NISAについて説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「2021年中に一般NISA勘定に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は年間120万円であり、その配当金や譲渡益等の非課税期間は、当該勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長で5年間です」
  2. 「NISA口座で購入した上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択する必要があります」
  3. 「NISA口座で上場株式を購入し、長期の積立・分散投資を行う場合、つみたてNISAを利用してください」

解答・解説

問4

解答:①X社:5.63% Y社:7.14% ② X社:1.41倍 Y社:1.43倍

①について

ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100

X社のROE(%)は、「90,000÷1,600,000×100=5.625→5.63%(小数点以下第3位を四捨五入)」となります。

Y社のROE(%)は、「100,000÷1,400,000×100=7.142…→7.14%(小数点以下第3位を四捨五入)」となります。

②について

PBR(倍)=株価÷1株当たりの純資産

X社のPBR(倍)は、「4,500÷(1,600,000百万円÷5億株)=1.406…→1.41倍(小数点以下第3位を四捨五入)」となります。

Y社のPBR(倍)は、「2,000÷(1,400,000百万円÷10億株)=1.428…→1.43倍(小数点以下第3位を四捨五入)」となります。

問5

×

 

PER(倍)=株価÷1株当たりの当期純利益

X社のPER(倍)は、「4,500÷(90,000百万円÷5億株)=25倍」となります。

Y社のPER(倍)は、「2,000÷(100,000百万円÷10億株)=20倍」となります。

上記の結果、

PERは、X社のほうがY社よりも高くなっています。

×

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金÷株価×100

X社の配当利回り(%)は、「100÷4,500×100=2.22…%」となります。

Y社の配当利回り(%)は、「60÷2,000×100=3%」となります。

上記の結果、

配当利回りは、Y社株式のほうがX社株式よりも高くなっています。

自己資本比率(%)=自己資本÷総資産×100

X社の自己資本比率(%)は、「1,600,000÷4,400,000×100=36.36…%」となります。

Y社の自己資本比率(%)は、「1,400,000÷2,500,000×100=56%」となります。

上記の結果、

自己資本比率は、Y社のほうがX社よりも高くなっています。

また、一般に、自己資本比率が高いほど、経営の安全性が高いと考えられています。

問6

一般NISA勘定に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は年間120万円であり、その配当金や譲渡益等の非課税期間は、当該勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長で5年間です。

NISA口座で購入した上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択する必要があります。

×

つみたてNISAは、ETFや公募株式投資信託のうち、長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を有するものが対象となり、REIT、上場株式、個人向け国債は対象外となります。

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