2023年1月FP2級個人資産:第1問(実技試験)

FP2級・3級試験教材

2023年1月に実施されましたFP2級実技試験(個人資産相談業務)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級個人資産(2023年1月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

Aさん(42歳)は、X株式会社を2018年12月末日に退職後、個人事業主として独立した。独立して4年が経過した現在、収入は安定している。
Aさんは、最近、公的年金制度について理解したうえで、老後の収入を増やすことのできる各種制度を利用したいと考えている。
そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<Aさんとその家族に関する資料>

(1)Aさん(42歳、個人事業主)

  • 1980年12月12日生まれ
  • 公的年金加入歴:下図のとおり(60歳までの見込みを含む)

(2) 妻Bさん(42歳、会社員)

  • 1980年8月8日生まれ
  • 公的年金加入歴:20歳から22歳の大学生であった期間(32月)は国民年金の第1号被保険者として保険料を納付し、22歳から現在に至るまでの期間は厚生年金保険に加入している。また、60歳になるまでの間、厚生年金保険の被保険者として勤務する見込みである。

(3)長女Cさん(17歳、高校生)

  • 2005年9月10日生まれ

※妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1

Aさんが、原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2022年度価額)を計算した次の<計算の手順>の空欄①~④に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。なお、計算にあたっては、《設例》の<Aさんとその家族に関する資料>および下記の<資料>に基づくこと。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

<計算の手順>

  1. 老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入) ( ① )円
  2. 老齢厚生年金の年金額
    (1)報酬比例部分の額(円未満四捨五入)( ② )円
    (2)経過的加算額(円未満四捨五入) ( ③ )円
    (3)基本年金額(上記「(1)+(2)」の額) □□□円
    (4)加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること)
    (5) 老齢厚生年金の年金額 ( ④ )円

問2

Mさんは、Aさんに対して、公的年金制度等の各種取扱いについて説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「Aさんが希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。仮に、Aさんが75歳で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、当該年金額の増額率は84%となります」
  2. 「Aさんは、確定拠出年金の個人型年金に加入することができます。ただし、確定拠出年金の個人型年金に加入した場合、小規模企業共済制度に加入することができなくなりますのでご注意ください」
  3. 「2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。長女Cさんは、原則として、18歳に達した日に国民年金の被保険者資格を取得することになります」

問3

Mさんは、Aさんに対して、国民年金の付加保険料および国民年金基金について説明した。 Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選びなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

  1. 「Aさんは、所定の手続により、国民年金の付加保険料を納付することができます。 仮に、Aさんが付加保険料を200月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として年額( ① )円が上乗せされます」
  2. 「国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。加入は口数制となっており、1口目は、保証期間のある( ② )年金A型と保証期間のない( ② )年金B型のいずれかを選択します。2口目以降は、2種類の( ② )年金と5種類の□□□年金のなかから選択することができます。 なお、支払った掛金は、その全額を所得税の( ③ )として総所得金額等から控除することができます」

<語句群>

イ.20,000 ロ.40,000 ハ.60,000 ニ.80,000

ホ.有期 ヘ.確定 ト.終身

チ.生命保険料控除 リ.社会保険料控除 ヌ.小規模企業共済等掛金控除

解答・解説

問1

①について

老齢基礎年金の計算上、学生納付特例期間である28月は反映されません。

ですので、

老齢基礎年金の年金額は、「777,800円×(480月-28月)÷480月=732,428.3・・・円→732,428円(円未満四捨五入)」となります。

②について

報酬比例部分の額は、「28万円×5.481/1,000×189月=290,054.52・・・円→290,055円(円未満四捨五入)」となります。

③について

経過的加算額は、「1621円×189月-777,800円×189月÷480月=110.25円→110円(円未満四捨五入)」となります。

④について

厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(原則)である者が、特別支給の老齢厚生年金の定額部分や65歳以後の老齢厚生年金を受給できるようになった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳到達年度末までの子ども(1級・2級の障害がある場合は、20歳未満の子)がいる場合に、老齢厚生年金に加給年金額が加算されますが、

本問は、この要件に該当しません(妻Bが自分より年上)。

ですので、

老齢厚生年金の年金額は、「290,055円+110円=290,165円」となります。

解答:①732,428 ②290,055 ③110 ④290,165

問2


  1. Aさんが希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。
    仮に、Aさんが75歳で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、当該年金額の増額率は「0.7%×120月=84%」となります。
  2. ×
    国民年金基金の加入員は、確定拠出年金の個人型年金に加入することができます。
  3. ×
    2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、20歳に達した日に国民年金の被保険者資格を取得することになります。(改正なし)

解答:1.〇 2.× 3.×

問3

①について

仮に、Aさんが付加保険料を200月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として年額「200円×200月=40,000円」が上乗せされます。

②・③について

国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。

加入は口数制となっており、1口目は、保証期間のある終身年金A型と保証期間のない終身年金B型のいずれかを選択します。

2口目以降は、2種類の終身年金と5種類の確定年金のなかから選択することができます。

なお、支払った掛金は、その全額を所得税の社会保険料控除として総所得金額等から控除することができます。

解答:①ロ ②ト ③リ

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