2023年5月FP2級個人資産:第2問(実技試験)

FP2級・3級試験教材

2023年5月に実施されましたFP2級実技試験(個人資産相談業務)の第2問の問題と解説です。

第2問:FP2級個人資産(2023年5月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問4~問6)に答えなさい。

《設例》

会社員のAさん(45歳)は、妻Bさん(43歳)および長女Cさん(18歳)との3人家族である。Aさんは、高校で資産形成の授業を受けた長女Cさんが株式投資に興味を持ち始めたことを知り、長女Cさんと一緒に株式投資の方法について理解したいと考えている。
そこで、Aさんは、長女Cさんと一緒に、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Mさんは、Aさんと長女Cさんに対して、同業種のX社株式およびY社株式(東京証券取引所上場銘柄)を例として、株式投資の方法等について説明を行うことにした。

<X社株式およびY社株式の情報>

X社:株価1,300円、発行済株式数1億株、1株当たり年間配当金30円

Y社:株価1,200円、発行済株式数8,000万株、1株当たり年間配当金40円

※X社およびY社の決算期はともに2023年6月30日(金)であり、同日が次回の配当の権利確定日に該当する。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問4

Mさんは、Aさんと長女Cさんに対して、株式取引のルール等について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「国内株式市場における代表的な株価指標である日経平均株価は、東京証券取引所のスタンダード市場に上場している銘柄のうち、代表的な225銘柄を対象とした修正平均型の株価指標です」
  2. 「上場株式の注文方法のうち、指値注文では、高い値段の買い注文が低い値段の買い注文に優先して売買が成立し、同じ値段の買い注文については、寄付や引けなどを除き、先に出された注文が後に出された注文に優先して売買が成立します」
  3. 「X社株式の次回の配当を受け取るためには、普通取引の場合、権利確定日の2営業日前である2023年6月28日(水)までに買付けを行い、権利確定日に株主として株主名簿に記載される必要があります」

問5

《設例》のデータに基づいて算出される次の①、②を求めなさい。〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。

①X社株式のPER

②Y社株式のPBR

問6

Mさんは、Aさんと長女Cさんに対して、《設例》のデータに基づいて、株式の投資指標等について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「一般に、ROEの数値が高いほうが経営の効率性が高いと判断されます。ROEは、Y社のほうがⅩ社よりも高くなっています」
  2. 「株主への利益還元の大きさに着目した指標として、配当性向があります。配当性向は、Ⅹ社のほうがY社よりも高くなっています」
  3. 「株式投資において、PERやPBR等が低い銘柄など、企業の業績や財務内容等からみて株価が割安と判断される銘柄に投資する手法は、一般に、グロース投資と呼ばれます」

解答・解説

問4

  1. ×
    日経平均株価は、東京証券取引所のプライム市場に上場している銘柄のうち、代表的な225銘柄を対象とした修正平均型の株価指標です。

  2. 上場株式の注文方法のうち、指値注文では、高い値段の買い注文が低い値段の買い注文に優先して売買が成立し、同じ値段の買い注文については、寄付や引けなどを除き、先に出された注文が後に出された注文に優先して売買が成立します。

  3. X社株式の次回の配当を受け取るためには、普通取引の場合、権利確定日の2営業日前である2023年6月28日(水)までに買付けを行い、権利確定日に株主として株主名簿に記載される必要があります。

解答:1.× 2.〇 3.〇

問5

①について

PER(倍)=株価÷1株当たりの利益

X社株式のPERは、「1,300円÷(12,000百万円÷1億株)=10.833…倍→10.83倍(小数点以下第3位を四捨五入)」となります。

②について

PBR(倍)=株価÷1株当たりの純資産

Y社株式のPBRは、「1,200円÷(43,000百万円÷8,000万株)=2.232…倍→2.23倍(小数点以下第3位を四捨五入)」となります。

解答:①10.83倍 ②2.23倍

問6


  1. ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100

    Ⅹ社のROEは、「12,000百万円÷135,000百万円×100=8.88…%」となり、
    Y社のROEは、「11,000百万円÷43,000百万円×100=25.58…%」となります。

    一般に、ROEの数値が高いほうが経営の効率性が高いと判断されます。
  2. ×
    株主への利益還元の大きさに着目した指標として、配当性向があります

    配当性向(%)=(1株当たりの)配当金÷(1株当たりの)当期純利益×100

    Ⅹ社の配当性向は、「3,000百万円÷12,000百万円×100=25%」となり、
    Y社の配当性向は、「3,200百万円÷11,000百万円×100=29.09…%」となります。
  3. ×
    株式投資において、PERやPBR等が低い銘柄など、企業の業績や財務内容等からみて株価が割安と判断される銘柄に投資する手法は、バリュー投資と呼ばれます。

    グロース投資は、企業の成長性を重視し、将来の売上高や利益の成長性が市場平均よりも高いと見込まれる銘柄に投資する手法です。

解答:1.〇 2.× 3.×

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