2024年5月FP2級個人資産:第1問(実技試験)

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2024年5月に実施されましたFP2級実技試験(個人資産相談業務)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級個人資産(2024年5月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

Aさん(59歳)は、大学卒業後、X株式会社(以下、「X社」という)に入社し、現在に至るまで同社に勤務している。2024年11月に60歳となり定年を迎えた後も、X社の継続雇用制度を利用して65歳まで働く予定である。
Aさんは、今後の資金計画を検討するにあたり、公的年金制度の老齢給付や雇用保険の高年齢雇用継続給付等について理解を深めたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈X社の継続雇用制度の雇用条件〉

  • 1年契約の嘱託雇用で、1日8時間(週40時間)勤務
  • 賃金月額は60歳到達時の70%(月額28万円)で賞与はなし
  • 厚生年金保険、全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入

〈Aさん夫妻に関する資料〉

(1)Aさん(1964年11月10日生まれ、59歳、会社員)

  • 公的年金加入歴 : 下図のとおり(65歳までの見込みを含む) 20歳から大学生であった期間(29月)は国民年金に任意加入していない。
  • 全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入中

(2)妻Bさん(1964年7月8日生まれ、59歳、パートタイマー)

  • 公的年金加入歴 : 18歳でX社に就職してから12年間(144月)、厚生年金保険に加入。その後は、国民年金に第3号被保険者として加入している。
  • 全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者である。

※妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※Aさんおよび妻Bさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1

Aさんが、原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2023年度価額)を計算した次の〈計算の手順〉の空欄①~④に入る最も適切な数値を答えなさい。なお、計算にあたっては、《設例》の〈Aさん夫妻に関する資料〉および下記の〈資料〉に基づくこと。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

〈計算の手順〉

1.老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入) ( ① )円

2.老齢厚生年金の年金額

(1)報酬比例部分の額(円未満四捨五入)( ② )円

(2)経過的加算額(円未満四捨五入)( ③ )円

(3)基本年金額(上記「(1)+(2)」の額) □□□円

(4)加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること)

(5)老齢厚生年金の年金額 ( ④ )円

問2

Mさんは、Aさんに対して、公的年金制度の老齢給付について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「Aさんが老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求も同時に行わなければなりません」
  2. 「Aさんが75歳0カ月で老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をする場合、それぞれの年金額の増額率は70%となります」
  3. 「Aさんおよび妻Bさんは、1961年4月2日以降生まれであるため、いずれも報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することはできません」

問3

Mさんは、Aさんに対して、社会保険の各種取扱いについて説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉のなかから選びなさい。

  1. 「AさんがX社の継続雇用制度を利用して、60歳以後も引き続きX社に勤務し、かつ、60歳以後の各月(支給対象月)に支払われた賃金額(みなし賃金を含む)が60歳到達時の賃金月額の( ① )%未満となる場合、Aさんは、所定の手続により、原則として、高年齢雇用継続基本給付金を受給することができます。高年齢雇用継続基本給付金の額は、支給対象月ごとに、その月に支払われた賃金の額の低下率に応じて一定の方法により算定されます」
  2. 「Aさんが65歳でⅩ社を退職して再就職をしない場合、原則として、退職日の翌日から( ② )日以内に所定の手続を行うことにより、退職日の翌日から最長で( ③ )年間、全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入することができます。なお、Aさんが任意継続被保険者として加入した場合の保険料は、Aさんが全額を負担することになります」

<数値群>

イ.1 ロ.2 ハ.3 ニ.5 ホ.20 ヘ.30 ト.40

チ.75 リ.80 ヌ.85

解答・解説

問1

①について

未加入期間29月は、保険料納付済月数には含まれませんので、

老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入)は、「795,000円×(480月-29月)÷480月=746,968.75円→746,969円」です。

②について

報酬比例部分の額は、「300,000円×7.125/1,000×192月+400,000円×5.481/1,000×319月=1,109,775.6→1,109,776円(円未満四捨五入)」です。

③について

経過的加算額は、「1657円×480月(上限)-795,000円×451月/480月=126円=48,391.25→48,391円(円未満四捨五入)」です。

④について

厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(原則)である者が、特別支給の老齢厚生年金の定額部分や65歳以後の老齢厚生年金を受給できるようになった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳到達年度末までの子ども(1級・2級の障害がある場合は、20歳未満の子)がいる場合に、老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。

本問は、妻Bさんが、Aさんよりも年上ですので、加給年金額が加算されません。

老齢厚生年金の年金額は、「1,109,776円+48,391円=1,158,167円」です。

解答:①746,969 ②1,109,776 ③48,391 ④1,158,167

問2


  1. Aさんが老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求も同時に行わなければなりません。
  2. ×
    Aさんが75歳0カ月で老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をする場合、それぞれの年金額の増額率は「0.7%×120月=84%」となります。
  3. ×
    1961年4月2日以降に生まれの男性、1966年4月2日以降に生まれの女性は、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として、65歳から老齢基礎年金及び老齢厚生年金を受給します。

問3

①について

AさんがX社の継続雇用制度を利用して、60歳以後も引き続きX社に勤務し、かつ、60歳以後の各月(支給対象月)に支払われた賃金額(みなし賃金を含む)が60歳到達時の賃金月額の75%未満となる場合、Aさんは、所定の手続により、原則として、高年齢雇用継続基本給付金を受給することができます。

②・③について

Aさんが65歳でⅩ社を退職して再就職をしない場合、原則として、退職日の翌日から20日以内に所定の手続を行うことにより、退職日の翌日から最長で2年間、全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入することができます。

解答:①チ ②ホ ③ロ

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