2025年1月FP2級個人資産:第1問(実技試験)

 

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2025年1月に実施されましたFP2級実技試験(個人資産相談業務)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級個人資産(2025年1月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

Aさん(44歳)は、X株式会社を2020年12月末日に退職し、個人事業主として独立した。現在、事業は軌道に乗り、収入は安定している。
Aさんは、現在、国民年金の第1号被保険者として保険料を納付しているが、最近、公的年金制度について理解したうえで、老後の収入を増やすことができる各種制度を利用したいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈Aさんとその家族に関する資料〉

(1)Aさん(44歳、個人事業主)

  • 1980年9月3日生まれ
  • 公的年金加入歴:下図のとおり(60歳までの見込みを含む)。 なお、20歳から22歳の大学生であった期間(31月)は国民年金の学生納付特例制度の適用を受けており、その期間の保険料については追納していない。

(2)妻Bさん(43歳、会社員)

  • 1981年6月13日生まれ
  • 公的年金加入歴:20歳から22歳の大学生であった期間(34月)は国民年金の第1号被保険者として保険料を納付し、22歳から現在に至るまでの期間は厚生年金保険に加入している。 また、65歳になるまでの間、厚生年金保険の被保険者として勤務する見込みである。

※妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。

※Aさんおよび妻Bさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1

Aさんが、原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2024年度価額)を計算した次の〈計算の手順〉の空欄①~④に入る最も適切な数値を答えなさい。なお、計算にあたっては、《設例》の〈Aさんとその家族に関する資料〉および下記の〈資料〉に基づくこと。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

〈計算の手順〉

  1. 老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入)
    ( ① )円
  2. 老齢厚生年金の年金額
    (1)報酬比例部分の額(円未満四捨五入)
    ( ② )円
    (2)経過的加算額(円未満四捨五入)
    ( ③ )円
    (3)基本年金額(上記「(1)+(2)」の額)
    □□□円
    (4)加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること)
    (5)老齢厚生年金の年金額
    ( ④ )円

問2

Mさんは、Aさんに対して、公的年金制度等の各種取扱いについて説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「Aさんが希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。仮に、Aさんが75歳で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、当該年金額の増額率は48%となります」
  2. 「Aさんは、国民年金の付加保険料を納付することができます。仮に、Aさんが付加保険料を120月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として年額24,000円が上乗せされます」
  3. 「Aさんは、老後の年金収入を増やす方法として、確定拠出年金の個人型年金に加入することができます。Aさんが拠出することができる掛金の限度額は、年額276,000円です」

問3

Mさんは、Aさんに対して、国民年金基金および小規模企業共済制度について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選びなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

  1. 「国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。加入は口数制となっており、1口目は、保証期間のある(①)年金A型と保証期間のない(①)年金B型のいずれかを選択します。2口目以降は、2種類の(①)年金と5種類の□□□年金のなかから選択することができます。なお、国民年金基金に加入した場合、国民年金の付加保険料を納付することはできません」
  2. 「小規模企業共済制度は、個人事業主が廃業等した場合に必要となる資金を準備しておくための共済制度です。毎月の掛金は、1,000円から( ② )円の範囲内で、500円単位で選択することができます。また、共済金(死亡事由以外)の受取方法には『一括受取り』『分割受取り』『一括受取りと分割受取りの併用』があります。このうち、『一括受取り』の共済金(死亡事由以外)は、税法上、( ③ )として所得税の課税対象となります」

<語句群>

イ.確定 ロ.有期 ハ.終身 ニ.30,000 ホ.55,000

ヘ.66,000 ト.68,000 チ.70,000  リ.退職所得 ヌ.一時所得

ル.雑所得

解答・解説

問1

①について

学生納付特例制度による猶予期間は、その期間に係る保険料の追納がない場合、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されますが、老齢基礎年金の年金額には反映されません。

老齢基礎年金の年金額は、「816,000円×(480月-31月)÷480月=763,300円」です。

②について

報酬比例部分の額は、「290,000円×5.481/1,000×213月=338,561.37円→338,561円(円未満四捨五入)」

③について

経過的加算額は、「1,701円×213月-816,000円×213月÷480月=213円」です。

④について

厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(原則)である者が、特別支給の老齢厚生年金の定額部分や65歳以後の老齢厚生年金を受給できるようになった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳到達年度末までの子ども(1級・2級の障害がある場合は、20歳未満の子)がいる場合に、老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。

本問は、厚生年金保険の被保険者期間が20年未満ですので、加給年金額が加算されません。

老齢厚生年金の年金額は、「338,561円+213円=338,774円」です。

解答:①763,300 ②338,561 ③213 ④338,774

問2

  1. ×
    Aさんが希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。仮に、Aさんが75歳で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、当該年金額の増額率は「0.7%×120月=84%」となります」

  2. Aさんは、国民年金の付加保険料を納付することができます。仮に、Aさんが付加保険料を120月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として年額24,000円(200円×120月)が上乗せされます。
  3. ×
    Aさんは、個人事業主(第1号被保険者)ですので、掛金の限度額については、年額816,000円です。

問3

①について

国民年金基金の加入は口数制で、1口目は2種類の終身年金の中から選択し、2口目以降は、2種類の終身年金(A型とB型)に5種類の確定年金を加えた計7種類の中から選択できます。

②について

小規模企業共済の掛金月額は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選択できます。

③について

一括受取りの共済金(死亡事由以外)は、税法上、退職所得として所得税の課税対象となります。

解答:①ハ ②チ ③リ

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