2024年1月に実施されましたFP2級実技試験(資産設計提案業務)の第3問の問題と解説です。
第3問:FP2級資産設計(2024年1月実技試験)
下記の問7~問10について解答しなさい。
問7
建築基準法に従い、下記<資料>の甲土地に建物を建築する場合の建築面積の最高限度を計算しなさい。なお、記載のない事項については一切考慮しないものとする。
問8
山岸さんは、所有しているマンションを賃貸している。下記<資料>に基づく2023年分の所得税に係る不動産所得の金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>以外の収入および支出等はないものとし、青色申告特別控除は考慮しないものとする。
<資料:2023年分の賃貸マンションに係る収入および支出等>
※支出等のうち必要経費となるものは、すべて2023年分の所得に係る必要経費に該当するものとする。 |
- 32,500円
- 278,500円
- 532,500円
- 778,500円
問9
浜松さんは、居住している自宅マンションを売却する予定である。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、所得税に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないものとする。
<資料>
※居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。 |
浜松さんがこのマンションを売却した場合の特別控除後の譲渡所得の金額は( ア )万円となり、課税( イ )譲渡所得として扱われる。 |
- (ア)210 (イ)短期
- (ア)500 (イ)短期
- (ア)210 (イ)長期
- (ア)500 (イ)長期
問10
下記<資料>は、横川さんが購入を検討している中古マンションのインターネット上の広告(抜粋)である。この広告の内容等に関する次の1~4の記述について、適切なものには○、不適切なものには×をつけなさい。
- この物件の出入り口から××線△△駅までの道路距離は、720m超800m以下である。
- この物件の専有面積として記載されている面積は、登記簿上の面積と同じである。
- この物件は専有部分と共用部分により構成されるが、バルコニーは共用部分に当たる。
- この物件を購入する場合、売主である宅地建物取引業者に仲介手数料を支払う必要がない。
解答・解説
問7
「敷地面積×建蔽率=建築面積の最高限度」となります。
↓
建築物の敷地が接する道の幅員が4m未満でも、建築基準法42条2項により特定行政庁が指定したものは、建築基準法上の道路とみなされます。
これを2項道路といいますが、
2項道路(建築基準法42条2項の道路)は、原則として、道路の中心線から、両側に水平距離2mずつ後退した線が道路の境界線とみなされます。
そして、敷地のうち、道路と道路境界線とみなされる線までの間の敷地部分(セットバック部分)は、建蔽率及び容積率を算定する際の敷地面積に算入することができません。
つまり、「0.5m×20m=10㎡」が敷地面積に算入することができず、
敷地面積は、「360㎡-10㎡=350㎡」となります。
↓
ですので、
建築面積の最高限度は、「350㎡×6/10=210㎡」となります。
解答:210㎡
問8
不動産所得=不動産所得に係る総収入金額-必要経費
↓
銀行へのローン返済金額73万円のうち、元金50万円については、必要経費となりません。
その他の支出項目と減価償却費は、必要経費となります。
ですので、必要経費は、「230,000円+18,000円+63,000円+7,000円+125,000円+38,500円+246,000円=727,500円」です。
↓
不動産所得は、「1,260,000円-727,500円=532,500円」です。
解答:3
問9
(ア)について
土地・建物を譲渡した場合の譲渡所得=総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
↓
譲渡所得は、「8,300万円-(4,800万円+290万円)-3,000万円=210万円」です。
(イ)について
土地・建物の譲渡に係る所得については、譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超えるものは長期譲渡所得に区分され、5年以下であるものは短期譲渡所得に区分されます。
↓
2019年2月5日から2024年1月1日までの期間が5年以下となりますので、課税短期譲渡所得として扱われます。
解答:1
問10
- ×
物件広告の徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示します。1分未満の端数が生じたときは、1分として算出する。つまり、「徒歩1分=0m超80m以下」となり、徒歩9分の場合は、「640m超720m以下」となります。 - ×
この物件の専有面積として記載されている面積は、登記簿上の面積と同じである。マンションの専有面積は、不動産登記簿上が内法面積、広告等が壁芯面積なので一致しません。壁芯面積は、内法面積より大きくなっています。 - ○
この物件は専有部分と共用部分により構成されますが、バルコニーは共用部分に当たります。 - ○
「取引形態:売主」のため、仲介手数料を支払う必要はありません。