2020年9月に実施されましたFP3級実技試験(保険顧客資産相談業務)の第4問の問題と解説です。
第4問:2020年9月FP3級実技試験(保険顧客)
次の設例に基づいて、下記の各問(問10~問12)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび父Dさんとの4人家族である。Aさんは、2020年中に終身保険および一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金を受け取っている。また、Aさんは、住宅ローンを利用して2020年2月に新築マンションを取得し、同月中に入居している。 <Aさんとその家族に関する資料> Aさん (43歳):会社員 妻Bさん (42歳):専業主婦。2020年中の収入はない。 長男Cさん(19歳):大学生。2020年中の収入はない。 父Dさん (72歳):2020年中の収入は、老齢基礎年金のみであり、その収入金額は72万円である。 <Aさんの2020年分の収入等に関する資料> (1)給与収入の金額:800万円 (2)終身保険の解約返戻金
(3) 一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金
<Aさんが利用した住宅ローンに関する資料> 借入年月日 : 2020年2月10日 2020年12月末の借入金残高 : 2,500万円 ※住宅借入金等特別控除の適用要件は、すべて満たしている。 ※妻Bさん、長男Cさんおよび父Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 ※Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 ※Aさんとその家族の年齢は、いずれも2020年12月31日現在のものである。 ※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問10
Aさんの2020年分の所得税における所得控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
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- ① 38 ② 38 ③ 48
- ① 38 ② 63 ③ 58
- ① 48 ② 63 ③ 48
問11
Aさんの2020年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
- 635万円
- 650万円
- 700万円
<資料>給与所得控除額
問12
住宅借入金等特別控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 「Aさんは、2020年分の所得税から最長で15年間、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます」
- 「転勤等のやむを得ない事由によりAさんが単身赴任で転居した場合、妻Bさんが引き続きマンションに居住していたとしても、単身赴任後は住宅借入金等特別控除の適用を受けることができなくなります」
- 「Aさんが2020年分の所得税において住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、一定の書類を添付して、所轄税務署長に確定申告書を提出する必要がありますが、翌年分以後の所得税については、年末調整においてその適用を受けることができます」
解答・解説
問10
①について
控除を受ける納税者本人(Aさん)の合計所得金額が900万円以下ですので、38万円の配偶者控除の適用があります。
②について
長男Cさんは特定扶養親族に該当するため、控除額は63万円です。
③について
父Dさんは老人扶養親族の同居老親等に該当するため、控除額は58万円です。
解答:2
問11
給与所得の金額は、「800万円-(800万円×10%+110万円)=610万円」となります。
一時所得の金額は、「(100万円-120万円)+(620万円-500万円)-50万円=50万円」となり、総所得金額に算入される金額は、「50万円×2分の1=25万円」となります。
上記の結果、
総所得金額は、「610万円+25万円=635万円」となります。
解答:1
問12
1. | 不適切 | 消費税率10%が適用される住宅の取得等をして、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に居住の用に供した場合には、控除期間が最長13年間となります。 |
2. | 不適切 | 家屋の所有者が転勤等のやむを得ない事由により単身赴任で転居した場合、その住宅の取得等の日から6ヵ月以内にその家屋に配偶者などの親族が入居し、その後も引き続き居住しているなどの所定の要件を満たせば、単身赴任後も住宅ローン控除の適用を受けることができます。 |
3. | 適切 | Aさんが2020年分の所得税において住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、一定の書類を添付して、所轄税務署長に確定申告書を提出する必要がありますが、翌年分以後の所得税については、年末調整においてその適用を受けることができます。 |
解答:3