2025年5月公表分のFP3級実技試験(保険顧客資産相談業務:CBT試験)の第1問の問題と解説です。
第1問:2025年5月FP3級実技試験(保険顧客)
次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。
<設例> 個人事業主のAさん(42歳)は、妻Bさん(42歳)との2人暮らしである。Aさんは、大学卒業後に入社した大手外食チェーンを30歳で退職し、ドッグカフェを開業した。Aさんのドッグカフェにはドッグランが併設され、遠方から足を運ぶ固定客も多く、人気を博している。 〈Aさんおよび妻Bさんに関する資料〉 (1)Aさん(1982年4月25日生まれ、個人事業主)
(2) 妻Bさん(1982年9月3日生まれ、事業専従者)
※妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。 |
問1
Mさんは、〈Aさんおよび妻Bさんに関する資料〉に基づき、Aさんが老齢基礎年金の受給を65歳から開始した場合の年金額(2024年度価額)を試算した。Mさんが試算した老齢基礎年金の年金額の計算式として、次のうち最も適切なものはどれか。
- 816,000円×444月/480月
- 816,000円×468月/480月
- 816,000円×480月/480月
問2
Mさんは、老後の収入を増やすことができる各種制度について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「Aさんは、国民年金の定額保険料に加えて付加保険料を納付することができます。付加保険料を納付すれば、老齢基礎年金を受け取る際に付加年金を受給することができます」
- 「Aさんは、国民年金基金に加入することができます。国民年金基金の給付には、老齢年金、障害年金、遺族一時金があります」
- 「Aさんは、大学在学中に学生納付特例制度の適用を受けていた期間に係る保険料をこれから納付することができます。保険料を追納すれば、将来受給する老齢基礎年金の額を増やすことができます」
問3
Mさんは、確定拠出年金の個人型年金について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
「確定拠出年金は、将来の年金受取額が( ① )する年金制度です。確定拠出年金の個人型年金の加入者は、年1回以上、定期的に掛金を拠出しますが、拠出限度額が定められています。拠出した掛金は、税法上、( ② )の対象となります。
確定拠出年金の給付には、老齢給付金、障害給付金、死亡一時金があります。老齢給付金は、通算加入者等期間が10年以上あれば、( ③ )歳から受け取ることが可能です」
- ①加入時点で確定 ②所得控除 ③65
- ①運用実績に応じて変動 ②所得控除 ③60
- ①運用実績に応じて変動 ②税額控除 ③65
解答・解説
問1
学生納付特例制度による猶予期間36月は、その期間に係る保険料の追納がない場合、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されますが、老齢基礎年金の年金額には反映されません。
ですので、
老齢基礎年金の年金額の計算式は、「816,000円×444月/480月」です。
解答:1
問2
- 適切
Aさん(第1号被保険者)は、国民年金の定額保険料に加えて付加保険料を納付することができます。
付加保険料を納付すれば、老齢基礎年金を受け取る際に付加年金を受給することができます。 - 不適切
国民年金基金の給付には、老齢年金と遺族一時金があります。
※障害年金はありません。 - 不適切
猶予された期間の保険料は、追納できるが、追納できる保険料は、追納に係る厚生労働大臣の承認を受けた日の属する月前10年以内の期間に限られています。Aさん(42歳)は、10年以内ではありませんので、追納できません。
解答:1
問3
①について
確定拠出年金は、将来の年金受取額が運用実績に応じて変動する年金制度です。
②について
個人型年金の加入者が拠出した掛金は、全額が、小規模企業共済等掛金控除(所得控除)の対象となります。
③について
老齢給付金は、通算加入者等期間が10年以上あれば、60歳から受け取ることが可能です。
解答:2