2018年9月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第2問の問題と解説です。
目次
第2問:2018年9月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問4~問6)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさん(27歳)は、少額から始められる資産運用の方法として、「非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度(以下、当該非課税制度を『つみたてNISA』、 非課税口座内に設定される累積投資勘定を『つみたてNISA勘定』という)」について関心を持つようになった。 〈X社の財務データ〉
〈X社株式の関連情報〉
〈X社株式の株主優待〉
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問4:NISA
はじめに、Mさんは、つみたてNISAについてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も不適切なものはどれか。
- 「つみたてNISA勘定に受け入れることができる限度額は年間40万円です。購入方法は累積投資契約に基づく定期かつ継続的な買付けに限られていますので、40万円分を一括で購入することはできません」
- 「つみたてNISAの非課税期間は、25年間です。つみたてNISAは、長期の分散投資を前提とした資産運用の方法ですので、短期の売買を目的とした資産運用に利用することには適していません」
- 「つみたてNISA勘定に受け入れることができる商品は、ETF(上場投資信託)や公募株式投資信託のうち一定の要件を満たすものです。Aさんが購入を検討されているX社株式をつみたてNISA勘定に受け入れることはできません」
問5:株式の投資指標
次に、Mさんは、株式の投資指標について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「PERは、株価が1株当たり当期純利益の何倍であるかを示す指標です。何倍程度が妥当であるかは、業種や会社の規模等により異なりますので、同業他社との比較や過去のトレンドとの比較等、相対的な比較に利用してください」
- 「ROEは、総資産(総資本)に対する当期純利益の割合を示す指標です。ROEが高い水準で推移していれば、企業の収益性は高いと判断できます」
- 「配当利回りは、当期純利益のなかから配当金がどの程度支払われているのかを示す指標です。この指標により、株主への利益還元の傾向を見ることができます」
問6:株式
最後に、Mさんは、X社株式の購入についてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も不適切なものはどれか。
- 「X社株式の次回の配当および株主優待を受け取るためには、権利確定日である2月28日(木)の7営業日前までにX社株式を購入しておく必要があります」
- 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を株価1,200円で100株購入し、同年中に株価1,500円で全株売却した場合、手数料等を考慮しなければ、売却益3万円の20.315%相当額が源泉徴収等されます」
- 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を購入する場合、証券会社所定の売買委託手数料を負担する必要があります。手数料体系は、証券会社各社でさまざまな特徴がありますので、口座を開設する前に比較してみるとよいでしょう」
解答・解説
問4:NISA
- 適切
つみたてNISA勘定に受け入れることができる限度額は年間40万円となります。
なお、購入方法は累積投資契約に基づく定期かつ継続的な買付けに限定されているため、40万円分を一括で購入することはできません。 - 不適切
つみたてNISAの非課税期間は20年間となります。つみたてNISAは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。 - 適切
つみたてNISAは、ETF(上場投資信託)や、公募により発行された株式投資信託のうち、長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を有するものが対象となります。
解答:2
問5:株式の投資指標
- 適切
PERは、株価が1株当たり当期純利益の何倍であるかを示す投資指標です。
同規模・同一業種の銘柄間においては、一般に、PERの高い銘柄が割高と考えられます。 - 不適切
ROEは、自己資本に対する当期純利益の割合を示す投資指標です。
ROEの計算において、自己資本の額が一定の場合、当期純利益が増えればROEの値が高くなり、ROEが高いほど、会社が自己資本を活用して効率よく利益を上げていることを示します。 - 不適切
配当利回りは、投資金額に対する年間配当金の割合を示す指標です。
配当利回りは、1株当たりの配当金の額を一定とすれば、株価が上昇するほど低くなります。 本問は、配当性向の説明です。
配当性向は、当期純利益に対する年間配当金の割合を示す投資指標であり、配当性向が高いほど、株主への利益の還元率が高いことを示します。
解答:1
問6:株式
- 不適切
取引所における株式の普通取引では、原則、約定日(売買が成立した日)から起算して3営業日目に資金決済が行われ権利確定日となり、株主の権利の移転等が証券保管振替機構および金融商品取引業者等に開設された口座において電子的に処理されます。 - 適切
上場株式等の譲渡に係る譲渡所得は、20.315%(復興特別所得税を含む。)の申告分離課税の対象となります。
なお、源泉徴収ありの特定口座を選択する場合には、確定申告不要となります。
X社株式を株価1,200円で100株購入すると、1,200円×100株=120,000円が購入価格となります。
株価1,500円で全株(=100株)売却すると、1,500円×100株=150,000円が売却価格となります。
手数料等は考慮しないと記載されていますので、150,000円-120,000円=30,000円が売却益となり、30,000円の20.315%相当額が源泉徴収等されます。 - 適切
証券会社に支払う株式売買委託手数料は、証券会社ごとに異なり、取引金額や注文方式、取扱い商品などによって、それぞれに設定されています。
解答:1