2019年1月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第2問の問題と解説です。
目次
第2問:2019年1月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問4~問6)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさん(30歳)は、将来に向けた資産形成のため、株式や投資信託によって積極的に運用したいと考えている。Aさんは、これまで預貯金以外の金融商品を利用した経験がなく、ニュース番組等で見聞きする日経平均株価などの株価指数やPERなどの投資指標について理解しておきたいと思っている。 |
問4:株価指数
はじめに、Mさんは、株価指数について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「東証株価指数(TOPIX)は、東京証券取引所市場第一部に上場している内国普通 株式全銘柄を対象とする株価指数です。時価総額の大きい銘柄(大型株)の値動きの影響を受けやすいという特徴があります」
- 「日経平均株価は、東京証券取引所市場第一部および第二部に上場している代表的な400銘柄で構成される修正平均型の株価指数です。株価水準の高い銘柄(値がさ株)の値動きの影響を受けやすいという特徴があります」
- 「ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均株価)は、ニューヨーク証券取引所に上場している全銘柄で構成される修正平均型の株価指数です。分散投資の観点から、ダウ平均株価に連動する投資信託を購入することも検討事項の1つです」
問5:株式の投資指標
次に、Mさんは、株式の投資指標について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
- 「PERは、株価が1株当たり当期純利益の何倍であるかを示す指標です。<X社に関する資料>から算出されるX社のPERは、16倍です」
- 「ROEは、総資産(総資本)に対する当期純利益の割合を示す指標です。<X社に関する資料>から算出されるX社のROEは、2.25%です」
- 「<X社に関する資料>から算出される投資指標の数値は、同業他社の数値やX社の過去の傾向などと比較して、投資判断材料の1つとすることをお勧めします」
問6:J-REIT
最後に、Mさんは、上場不動産投資信託(J-REIT)についてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、複数の不動産会社の株式を主たる投資対象と する投資信託です。不動産会社の株式を直接購入するよりも、リスクを分散することができます」
- 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、上場株式と同様に証券取引所を通じて取引することができます。実物不動産への投資に比べて、流動性(換金性)が高い、少額から投資ができる等の特徴があります」
- 「上場不動産投資信託(J-REIT)の分配金は、不動産所得として課税の対象となります。当該金額が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告をする必要がありま す」
解答・解説
問4:株価指数
- 適切
東証株価指数(TOPIX)は、東京証券取引所市場第一部に上場している内国普通 株式全銘柄を対象とする株価指数です。
時価総額の大きい銘柄(大型株)の値動きの影響を受けやすいという特徴があります。 - 不適切
日経平均株価は、東京証券取引所市場第一部に上場している銘柄のうち225銘柄を選定し算出することになります。 - 不適切
ダウ平均株価は、米国を代表する優良30銘柄の平均株価指数のことです。
解答:1
問5:株式の投資指標
- 適切
株価÷1株当たりの当期純利益(当期純利益÷発行済株式総数)=PER(倍)
ですので、PERは、「1,200円÷75円=16倍」となります。 - 不適切
当期純利益÷自己資本×100=ROE(%)
ですので、ROEは、「45億円÷600億円×100=7.5%」となります。 - 適切
投資指標の数値は、絶対的なものではありませんが、
同業他社の数値やX社の過去の傾向などと比較して、投資判断材料の1つとすべきといえます。
解答:2
問6:J-REIT
- 不適切
J-REITの主な投資対象は、現物不動産や不動産信託受益権(信託銀行に管理運用を託した不動産から生じる利益を受け取る権利)であり、不動産会社の株式や社債は投資対象外です。 - 適切
上場不動産投資信託(J-REIT)は、上場株式と同様に証券取引所を通じて取引することができます。
実物不動産への投資に比べて、流動性(換金性)が高い、少額から投資ができる等の特徴があります。 - 不適切
上場不動産投資信託(J-REIT)の分配金は、配当所得として課税の対象となります。
解答:2