2021年1月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第2問の問題と解説です。
第2問:2021年1月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問4~問6)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさん(30歳)は、株式や投資信託による運用を考えている。Aさんは、 先日、会社の上司から「私は配当金と株主優待を目的に上場企業の株式を10銘柄以上保有している。投資未経験のAさんの場合、最初はつみたてNISAがいいのではないか」と言われた。 <X社に関する資料>
※決算期:2021年3月31日(水)(配当の権利が確定する決算期末) <Y投資信託(公募株式投資信託)に関する資料> 銘柄名:日経225インデックスファンド(つみたてNISA対象商品)
※《設例》および各問において、以下の名称を使用している。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問4
はじめに、Mさんは、X社株式の投資指標および投資の際の留意点について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「<X社に関する資料>から算出されるX社のROEは、12.50%です」
- 「<X社に関する資料>から算出されるX社株式の配当利回りは、37.50%です」
- 「Aさんは、権利付き最終日である2021年3月31日(水)までにX社株式を買付約定(購入)すれば、X社株式の次回の期末配当を受け取ることができます」
問5
次に、Mさんは、Y投資信託について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「Y投資信託のベンチマークである日経平均株価は、東京証券取引所市場第一部に上場している内国普通株式の全銘柄を対象とする時価総額加重型の株価指標です」
- 「つみたてNISAの対象となる投資信託は、Y投資信託のような投資対象地域を日本国内とする投資信託に限定されており、海外を投資対象地域とする投資信託は対象となっていません」
- 「つみたてNISAの対象となる公募株式投資信託は、Y投資信託のように、購入時手数料がゼロであることが要件の1つとなっています」
問6
最後に、Mさんは、「一般NISA」および「つみたてNISA」についてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「つみたてNISAでは、年間の非課税投資枠は120万円、非課税期間は最長5年となります」
- 「X社株式を購入する場合、一般NISAを利用することが考えられますが、一般NISAとつみたてNISAは、同一年中において、併用して新規投資等に利用することはできません」
- 「仮に、AさんがつみたてNISAで購入した公募株式投資信託を解約(売却)した場合、譲渡益に対して20.315%相当額が源泉徴収等されます」
解答・解説
問4
解答:1
- 適切
ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100
↓
ROEは、「1,200億円÷9,600億円×100=12.5%」です。 - 不適切
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金÷株価×100
↓
1株当たりの年間配当金は、「450億円÷3億株=150円」で、
配当利回りは、「150円÷4,000円×100=3.75%」です。 - 不適切
権利付売買最終日は、決算日等の権利確定日から起算して2営業日前の日です。(土・日を除く)
↓
つまり、
Aは、権利付き最終日である2021年3月29日(月)までにX社株式を買付約定(購入)すれば、X社株式の次回の期末配当を受け取ることができます。
問5
解答:3
- 不適切
本肢の記述は、東証株価指数(TOPIX)の記述で、
日経平均株価は、東京証券取引所市場第一部に上場している銘柄のうち225銘柄を選定し算出します。 - 不適切
つみたてNISAの対象となる投資信託は、投資対象地域を日本国内とする投資信託に限定されておらず、海外を投資対象地域とする投資信託も対象となっています。 - 適切
つみたてNISAの対象となる公募株式投資信託は、Y投資信託のように、購入時手数料がゼロであることが要件の1つとなっています。(信託契約期間が無期限または20年以上であることなどの要件もあります。)
問6
解答:2
- 不適切
つみたてNISAでは、年間の非課税投資枠は40万円、非課税期間は最長20年となります。 - 適切
一般NISAとつみたてNISAは、同一年中において、併用して新規投資等に利用することはできません。 - 不適切
つみたてNISAで購入した公募株式投資信託を解約(売却)した場合、譲渡益は非課税となります。