2021年5月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第4問の問題と解説です。
第4問:2021年5月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問10~問12)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさん(60歳)の母親は、2021年1月22日に死亡した。母親が所有していたM市内の不動産のうち、自宅(Aさんの実家)および自宅に隣接する賃貸アパートを母親と同居していたAさんの兄が取得し、Aさんは月極駐車場として活用している甲土地を取得した。遺産分割協議は円滑に行われ、相続税の申告および納税は完了している。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問10
甲土地に賃貸マンション(耐火建築物)を建築する場合の①建蔽率の上限となる建築面積と②容積率の上限となる延べ面積の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
- ① 630㎡ ② 2,700㎡
- ① 720㎡ ② 2,160㎡
- ① 720㎡ ② 2,700㎡
問11
甲土地の有効活用に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
|
- ① 借地権割合×賃貸割合 ② 70 ③ 400
- ①(1-借地権割合×賃貸割合) ② 70 ③ 200
- ①(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) ② 60 ③ 200
問12
甲土地の有効活用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 「等価交換方式により、マンションを建築する手法が考えられます。Aさんとしては、自己資金を使わず、マンション住戸を取得することができます」
- 「事業用定期借地権方式により、甲土地を一定期間賃貸する手法が考えられます。甲土地を手放さず、安定した地代収入を得ることができます」
- 「建設協力金方式により、甲土地上に建築した店舗をテナントに貸し出す手法が考えられます。契約期間満了後、借主であるテナントが建物を撤去し、甲土地は更地で返還されます」
解答・解説
問10
①について
敷地面積×建蔽率の上限=建築面積
↓
準防火地域内に耐火建築物を建築する場合、建蔽率が10分の1緩和(加算)されます。
また、特定行政庁が指定する角地ですので、さらに、建蔽率が10分の1緩和(加算)されます。
その結果、建蔽率は、「60%+20%=80%」となります。
↓
建蔽率の上限となる建築面積は、「900㎡×80%=720㎡」となります。
②について
敷地面積×容積率の上限=延べ面積
↓
前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの。本問では6m。)の幅員が12m未満である建築物の容積率は、「当該前面道路の幅員(6m)×一定の数値(4/10)=240%」と「都市計画の容積率(300%)」の2つを比較して、低い方(240%)が、容積率の上限となります。
↓
容積率の上限となる延べ面積は、「900㎡×240%=2,160㎡」となります。
解答:2
問11
①について
貸家建付地の価額は、「自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」の算式により評価されます。
②について
路線価図において、路線価の右隣に記載されているアルファベットは、借地権割合を示す記号(A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%)であり、1㎡当たりの価額を千円単位で表示しています。
本問は、「D」と記載されていますので、60%となります。
③について
貸付事業用宅地等は、200㎡までの部分について50%の減額が受けられます。
解答:3
問12
- 適切
土地の有効活用方式のうち、一般に、土地所有者が土地の全部または一部を拠出し、デベロッパーが建設費等を拠出して、それぞれの出資比率に応じて土地・建物に係る権利を取得する方式を、等価交換方式といいます。 - 適切
事業用定期借地権方式によれば、甲土地を手放さず、安定した地代収入を得ることができます。 - 不適切
更地で返還する義務はありません。
解答:3