2020年1月FP2級生保顧客:第1問(実技試験)

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2020年1月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級生保顧客(2020年1月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(61歳)は、妻Bさん(57歳)との2人暮らしである。Aさんは、大学を卒業後、X社に入社し、現在に至るまで同社に勤務している。

X社では、数年前に定年退職の年齢が65歳に引き上げられ、Aさんは、60歳以後も同社で働いており、65歳の定年まで働きたいと考えている。Aさんは、今後の資金計画を検討するにあたり、公的年金制度から支給される老齢給付について理解を深めたいと思っている。

そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<Aさん夫妻に関する資料>

(1)Aさん(1958年5月11日生まれ・会社員)

  • 公的年金加入歴:下図のとおり(65歳までの見込みを含む) 20歳から大学生であった期間(35月)は国民年金に任意加入していない。
  • 健康保険(保険者:健康保険組合)、雇用保険に加入中

老齢給付FP2級生保顧客

(2)妻Bさん(1962年7月10日生まれ・専業主婦)

  • 公的年金加入歴:18歳でX社に就職してからAさんと結婚するまでの10年間(120月)、厚生年金保険に加入。結婚後は、国民年金に第3号被保険者として加入している。
  • Aさんが加入する健康保険の被扶養者である。

※妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※Aさんおよび妻Bさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1:老齢給付(Aさん)

はじめに、Mさんは、Aさんに対して、Aさんが65歳になるまでに受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)~(3)に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉のなかから選びなさい。

「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過措置として、老齢基礎年金に係る( 1 )年の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。

1958年5月生まれのAさんは、原則として、( 2 )歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。

なお、( 2 )歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務する場合、特別支給の老齢厚生年金は、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が( 3 )万円(2019年度の支給停止調整開始額)を超えるときは当該年金額の一部または全部が支給停止となります」

<数値群>

イ.10 ロ.20 ハ.25 ニ.28 ホ.46

ヘ.47 ト.62 チ.63 リ.64

問2:老齢給付(Bさん)

次に、Mさんは、Aさんに対して、妻Bさんが受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「1962年7月生まれの妻Bさんは、65歳到達前に報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます」
  2. 「妻Bさんは、60歳以後、国民年金に任意加入し、国民年金の保険料を納付することにより、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます」
  3. 「妻Bさんが65歳から老齢基礎年金を受給する場合、老齢基礎年金の額に振替加算額が加算されます」

問3:老齢基礎年金及び老齢厚生年金

最後に、Mさんは、Aさんに対して、Aさんが65歳以後に受給することができる公的年金制度からの老齢給付の額について説明した。Aさんが、原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2019年度価額)を計算した次の<計算の手順>の空欄(1)~(4)に入る最も適切な数値を答えなさい。なお、計算にあたっては、《設例》の<Aさん夫妻に関する資料>および下記の<資料>に基づくこと。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」 で示してある。

<計算の手順>

1.老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入) ( 1 )円

2.老齢厚生年金の年金額
(1)報酬比例部分の額(円未満四捨五入)( 2 )円
(2)経過的加算額(円未満四捨五入) ( 3 )円
(3)基本年金額(上記「(1)+(2)」の額) □□□円
(4)加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること)
(5)老齢厚生年金の年金額 ( 4 )円

<資料>

老齢基礎年金FP2級生保顧客

解答・解説

問1:老齢給付(Aさん)

(1)について

特別支給の老齢厚生年金が支給されるためには、老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)を満たし、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの要件を満たす必要があります。

(2)について

1957年(昭和32年)4月2日~1959年4月1日に生まれた男性の方ですので、63歳歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。

(3)について

特別支給の老齢厚生年金は、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が28万円を超えるときは当該年金額の一部または全部が支給停止となります。(在職老齢年金の話!)

※28万円以下であれば、年金については全額支給されます。

解答:(1)イ (2)チ (3)ニ

問2:老齢給付(Bさん)

1.

1962年(昭和37年)4月2日~1964年4月1日に生まれた女性の方ですので、63歳歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。

※男性の5年遅れ!

2.×

18歳でX社に就職してからAさんと結婚するまでの10年間、厚生年金保険に加入していますし、結婚後は、国民年金に第3号被保険者として加入しています。

ですので、妻Bさんは、60歳以後、国民年金に任意加入することができません。(必要なし!)

3.

 妻Bさんが65歳になりますと、今まで、Aさん(厚生年金の加入期間が20年以上等)に支給されていた加給年金が終わり!ということになります。

この代わりに、妻Bさんが受給する老齢基礎年金の額に振替加算額が加算されます。

解答:1.〇 2.× 3.〇

問3:老齢基礎年金及び老齢厚生年金

(1)について

未加入期間35月については、保険料納付済月数に含めません。

ですので、老齢基礎年金の額は、「780,100円×445月/480月=723,217.7…円→723,218円(円未満四捨五入)」となります。

※2020年(令和2年)9月の試験からは、「780,100円」ではなく、「781,700円」となります。

(2)について

a.30万円×7.125/1,000×264月=564,300円

b.50万円×5.481/1,000×241月=660,460.5円

報酬比例部分の額:a+b=1,224,760.5円→1,224,761円(円未満四捨五入)

(3)について

1,626円×480月-780,100円×445月/480月=57,262.2…円→57,262円(円未満四捨五入)

※2020年(令和2年)9月の試験からは、「1,626円」ではなく、「1,630円」となります。また、「780,100円」ではなく、「781,700円」となります。

(4)について

厚生年金の加入期間が20年以上等ですので、加給年金額390,100円が加算されます。

ですので、老齢厚生年金の額は、「基本年金額1,282,023円+加給年金額390,100円=1,672,123円」となります。

※2020年(令和2年)9月の試験からは、加給年金額は、「390,100円」ではなく、「390,900円」となります。

解答:(1)723,218 (2)1,224,761 (3)57,262 (4)1,672,123

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