2019年9月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第3問の問題と解説です。
目次
第3問:2019年9月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問7~問9)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさんは、妻Bさんおよび長女Cさんとの3人家族である。Aさんは、老後の年金収入を増やすために、2019年1月から確定拠出年金の個人型年金の掛金(月額12,000円)を拠出している。また、Aさんは、2019年中に「ふるさと納税」の制度を利用して、8つの地方自治体に計10万円の寄附を行っている。 <Aさんとその家族に関する資料>
<Aさんの2019年分の収入等に関する資料> (1)給与収入の金額:800万円 (2)一時払養老保険(10年満期)の満期保険金
※妻Bさんおよび長女Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
問7:所得税の総所得金額
Aさんの2019年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
- 600万円
- 615万円
- 630万円
<資料>給与所得控除額
問8:所得税の所得控除
Aさんの2019年分の所得税における所得控除に関する以下の文章の空欄(1)~(3)に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
|
- (1)小規模企業共済等掛金控除 (2)38万円 (3)38万円
- (1)社会保険料控除 (2)38万円 (3)63万円
- (1)小規模企業共済等掛金控除 (2)26万円 (3)63万円
問9:所得税の確定申告
Aさんの2019年分の所得税の確定申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 「Aさんは、ふるさと納税に係る寄附金控除について、年末調整では適用を受けることができませんので、所得税の確定申告が必要となります」
- 「一時払養老保険の満期保険金に係る保険差益は、雑所得として総合課税の対象となります。保険差益の額が20万円を超えるため、Aさんは所得税の確定申告をする義務が生じます」
- 「確定申告書は、原則として、2020年2月16日から3月15日までの間にAさんの勤務地を所轄する税務署長に提出してください」
解答・解説
問7:所得税の総所得金額
給与所得控除額:800万円×10%+120万円=200万円
給与所得:800万円-200万円=600万円
一時所得:330万円-300万円-30万円(特別控除・最高50万円)=0円
上記の結果、総所得金額は、600万円となります。
解答:1
※2020年9月の試験から、給与所得控除額は、以下のとおりとなります。
問8:所得税の所得控除
(1)について
確定拠出年金の個人型年金の掛金は、その全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、総所得金額から控除することができます。
(2)について
Aさんの合計所得金額が900万円以下ですので、配偶者控除の控除額は38万円です。
(3)について
長女Cさんは17歳ですので、扶養控除の控除額は38万円です。
※16歳未満であれば適用なし!
※19歳以上23歳未満であれば、63万円が控除額!
解答:1
問9:所得税の確定申告
- 適切
所得控除のうち、雑損控除、医療費控除、寄附金控除は、年末調整の対象外で、確定申告が必要となります。
なお、Aさんは、8つの地方自治体(5つの自治体を超えている!)に寄付を行っていますので、ワンストップ特例制度(確定申告不要で寄付金控除を受けることができる制度!)を活用することができません。つまり、確定申告必要!ということになります。 - 不適切
一時所得の金額が20万円を超えていれば、確定申告は必要となりますが、一時所得の金額が0円(問7を参照)ですので、確定申告は不要です。 - 不適切
確定申告を要する者は、原則として、所得が生じた年の翌年の2月16日から3月15日までの間に納税地(←一般的に住所地)の所轄税務署長に対して確定申告書を提出しなければなりません。
本肢は、「勤務地の所轄税務署長」となっていますので、不適切です。
解答:1