2019年9月に実施されましたFP3級実技試験(保険顧客資産相談業務)の第4問の問題と解説です。
目次
第4問:2019年9月FP3級実技試験(保険顧客)
次の設例に基づいて、下記の各問(問10~問12)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび母Dさんとの4人家族である。Aさんは、2019年中に下記の終身保険を解約している。また、Aさんは、妻Bさんの入院・手術・通院に係る医療費について、医療費控除の適用を受けたいと考えている。 <Aさんとその家族に関する資料>
<Aさんの2019年分の収入等に関する資料>
※妻Bさん、長男Cさんおよび母Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
問10:所得税における所得控除
Aさんの2019年分の所得税における所得控除に関する以下の文章の空欄(1)~(3)に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
|
- (1)38 (2)38 (3)58
- (1)103 (2)63 (3)58
- (1)38 (2)63 (3)38
問11:所得税における総所得金額
Aさんの2019年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
- 670万円
- 690万円
- 720万円
問12:所得税における医療費控除
Aさんの2019年分の所得税における医療費控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 「医療費控除額は、『(その年中に支払った医療費の総額-保険金などで補填される金額)-20万円』の算式により算出します。したがって、Aさんが2019年中に支払った医療費の総額が20万円を超えていなければ、医療費控除額は算出されません」
- 「Aさんが通常の医療費控除の適用を受けた場合、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受けることはできません」
- 「医療費控除は、Aさんの勤務先の年末調整で適用を受けることができますので、確定申告を行う必要はありません」
解答・解説
問10:所得税における所得控除
(1)について
妻Bさんの合計所得金額は38万円(←2020年9月の試験からは48万円となります。)を超えないため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます。
(2)について
長男Cさんは、18歳ですので、Cさんに係る扶養控除の控除額は38万円です。
※19歳以上23歳未満であれば、控除額は63万円です。
(3)について
母Dさんは74歳で、70歳以上ですので老人扶養親族となります。
そして、同居していますので、Dさんに係る扶養控除の控除額は58万円です。
解答:1
問11:所得税における総所得金額
給与収入金額-給与所得控除額=給与所得
給与所得控除額は、「900万円×10%+120万円=210万円」となります。
ですので、給与取得の金額は、「900万円-210万円=690万円」となります。
そして、690万円全額が総所得金額に算入されます。
※2020年9月の試験から、給与所得控除額は、以下のとおりとなります。
↓
総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得
ですので、一時所得の金額は、「330万円-300万円-30万円=0円」となります。
↓
上記の結果、総所得金額は、690万円となります。
解答:2
問12:所得税における医療費控除
- 不適切
Aさんの総所得金額等が200万円以上ですので、
「(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円=医療費控除額(最高200万円。)」となります。 - 適切
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、従来の医療費控除との選択適用となります。(どちらか1つ!) - 不適切
所得控除のうち、雑損控除、医療費控除、寄附金控除(例外あり!ワンストップ特例制度!!)は、年末調整の対象外で、確定申告が必要となります。
解答:2