2019年9月FP2級生保顧客:第4問(実技試験)

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2019年9月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第4問の問題と解説です。

第4問:FP2級生保顧客(2019年9月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問10~問12)に答えなさい。

《設例》

X社に勤務するAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんとの4人家族である。Aさんは、医薬品の購入費用について、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受けたいと考えている。また、Aさんは、2019年中に養老保険の満期保険金と一時払終身保険の解約返戻金を受け取っている。

<Aさんとその家族に関する資料>

  • Aさん (54歳)   :会社員
  • 妻Bさん (50歳):2019年中に、パートタイマーとして給与収入40万円を得 ている。
  • 長男Cさん(20歳):大学生。2019年中に、アルバイトとして給与収入100万円を得ている。
  • 二男Dさん(17歳):高校生。2019年中の収入はない。

<Aさんの2019年分の収入等に関する資料>

(1)給与収入の金額 : 1,050万円

(2)養老保険(月払・30年満期)の満期保険金

  • 契約年月 : 1989年4月
  • 契約者(=保険料負担者)・被保険者:Aさん
  • 死亡保険金受取人:妻Bさん
  • 満期保険金受取人:Aさん
  • 満期保険金額:500万円
  • 正味払込済保険料:380万円

(3)一時払終身保険の解約返戻金

  • 契約年月:2015年5月
  • 契約者(=保険料負担者)・被保険者:Aさん
  • 死亡保険金受取人:妻Bさん
  • 解約返戻金額:490万円
  • 一時払保険料:500万円

※妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。

※Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。

※Aさんとその家族の年齢は、いずれも2019年12月31日現在のものである。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問10:所得控除等

Aさんの2019年分の所得税の計算における所得控除等に関する以下の文章の空欄(1)~(3)に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉のイ~リのなかから選び、その記号を答えなさい。

  1. 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受ける場合、特定一般用医薬品等購入費の支払額(保険金などで補填される金額を除く)が( 1 )円を超えるときに、その超える部分の金額(最高88,000円)を総所得金額等から控除することができます」
  2. 「長男Cさんの合計所得金額は38万円以下となりますので、Aさんは長男Cさんに係る扶養控除の適用を受けることができます。長男Cさんは特定扶養親族に該当しますので、長男Cさんに係る扶養控除の額は( 2 )万円となります」
  3. 「総所得金額に算入される一時所得の金額が( 3 )万円を超えるため、Aさんは所得税の確定申告をしなければなりません」

<数値群>

イ.10 ロ.15 ハ.20 ニ.38 ホ.48

へ.63 ト.12,000 チ.40,000 リ. 68,000

問11:所得税の課税等

Aさんの2019年分の所得税の課税等に関する次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「Aさんが受け取った養老保険の満期保険金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります」
  2. 「 Aさんの合計所得金額は900万円以下であるため、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます」
  3. 「所得税の確定申告書を提出する方法として、確定申告書を税務署に持参または送付して提出する方法のほかに、e-Taxを利用する方法があります」

問12:所得税の算出税額

Aさんの2019年分の所得税の算出税額を計算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」 で示してある。

所得税の算出税額FP2級実技

給与所得控除FP3級過去問(実技試験)

所得税の速算表FP2級実技

解答・解説

問10:所得控除等

(1)について

セルフメディケーション税制による医療費控除額は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除く。)から12,000円を差し引いた金額です(なお、最高88,000円)。

(2)について

長男Cさんは特定扶養親族(19歳以上23歳未満)に該当しますので、長男Cさんに係る扶養控除の額は63万円となります。

※問題文上、合計所得金額が38万円以下となっていますが、2020年9月の試験からは48万円以下となります。

(3)について

その年中の給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える場合は、確定申告をしなければなりません。

なお、一時所得の場合、「(収入額-収入を得るために支出した額-50万円)×2分の1」により算出した金額(総所得金額に算入される一時所得の金額)が20万円を超えるときは、確定申告をしなければなりません。

Aさんについては、「(500万円+490万円)-(380万円+500万円)-50万円=60万円×2分の1=30万円>20万円」となりますので、確定申告を行わなければなりません。

解答:(1)ト(2)ヘ(3)ハ

問11:所得税の課税等

1.

Aさんが受け取った養老保険の満期保険金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります。

2.

Aさんの合計所得金額が900万円以下で、妻Bさんが一般の控除対象配偶者(70歳未満)ですので、控除額は38万円となります。

3.

所得税の確定申告書を提出する方法として、確定申告書を税務署に持参または送付して提出する方法のほかに、e-Taxを利用する方法があります。

問12:所得税の算出税額

①について

給与収入が1,000万円超ですので、給与所得控除額は220万円となります。

給与所得の金額は、「1,050万円-220万円=830万円」となり、830万円が総所得金額に算入されます。

※2020年9月の試験から、給与所得控除額は、以下のとおりとなります。

給与所得控除額2020年度

総所得金額に算入される一時所得の金額は、30万円となります。(問10(3)の解説を参照)

総所得金額は、「830万円+30万円=860万円」となります。

②について

長男Cさんに係る控除額:63万円

二男Dさんに係る控除額:38万円

扶養控除の控除額は、「63万円+38万円=101万円」となります。

③について

課税総所得金額:860万円-320万円=540万円

算出税額:540万円×20%-42万7,500円=652,500円

解答:①8,600,000②1,010,000③652,500

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