2019年1月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第1問の問題と解説です。
目次
第1問:2019年1月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。
《設例》 X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(55歳)は、長男Cさん(19歳)との2人暮らしである。長男Cさんの父親Bさんとは、長男Cさんが5歳のとき に離婚している。 <Aさんとその家族に関する資料> (1)Aさん(昭和38年10月17日生まれ・55歳・会社員)
(2)長男Cさん(平成11年5月20日生まれ・19歳・大学1年生) ※長男Cさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。 ※家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 ※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問1:老齢基礎年金
はじめに、Mさんは、Aさんが老齢基礎年金の受給を65歳から開始した場合の年金額を試算した。Mさんが試算した老齢基礎年金の年金額の計算式として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、老齢基礎年金の年金額は、平成30年度価額に基づいて計算するものとする。
問2:老齢厚生年金
次に、Mさんは、老齢厚生年金について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「Aさんのような昭和36年4月2日以後に生まれた女性の場合、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給はありません。Aさんは、原則として、65歳から老齢厚生年金を受給することになります」
- 「Aさんの厚生年金保険の被保険者期間は20年以上ありますので、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の年金額には加給年金額が加算されます」
- 「Aさんが老齢厚生年金の繰上げ支給の請求をする場合、同時に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求を行わなければなりません」
問3:学生納付特例制度
最後に、Mさんは、国民年金の学生納付特例制度(以下、「本制度」という)について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄(1)~(3)に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
「本制度は、国民年金の第1号被保険者で大学等の所定の学校に在籍する学生について、( 1 )の前年所得が一定額以下の場合、被保険者等からの申請に基づき、国民年金保険料の納付を猶予する制度です。なお、本制度の適用を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に算入( 2 )。本制度の適用を受けた期間の保険料は、( 3 )年以内であれば、追納することができます。ただし、本制度の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます」 |
- (1)世帯主 (2)されません (3)10
- (1)学生本人 (2)されません (3)5
- (1)学生本人 (2)されます (3)10
解答・解説
問1:老齢基礎年金
未加入期間30月については、保険料納付済月数に含みません。
ですので、老齢基礎年金の年金額の計算式は、「779,300円×450月(480月-30月)÷480月」となります。
※2020年9月の試験から、「779,300円(2020年5月の試験は780,100円)」ではなく「781,700円」となります。
解答:1
問2:老齢厚生年金
- 不適切
女性の場合、昭和41年4月2日以後に生まれたのであれば、特別支給の老齢厚生年金の支給はありません。
※男性の場合には、昭和36年4月2に以後!ということになります。 - 不適切
厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(原則)である者が、特別支給の老齢厚生年金の定額部分や65歳以後の老齢厚生年金を受給できるようになった時点で、生計を維持している65未満の配偶者や18歳到達年度末までの子(1級もしくは2級の障害がある場合には、20歳未満の子ども)がいる場合に、老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。
本肢では、上記に該当する「配偶者や子」がいませんので、加給年金額が加算されません。 - 適切
老齢厚生年金の繰上げ支給の請求をする場合、同時に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求を行わなければなりません。
※繰上げの場合であれば、同時に行う必要はありません。
解答:3
問3:学生納付特例制度
(1)について
本制度は、国民年金の第1号被保険者で大学等の所定の学校に在籍する学生について、学生本人の前年所得が一定額以下の場合、被保険者等からの申請に基づき、国民年金保険料の納付を猶予する制度です。
(2)について
本制度の適用を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に算入されます。しかし、追納がなければ、年金額には反映されません。
(3)について
追納ができるが、追納ができる保険料は、追納に係る厚生労働大臣の承認を受けた日の属する月前10年以内の期間に限られます。
解答:3