2018年5月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第5問の問題と解説です。
目次
第5問:2018年5月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問13~問15)に答えなさい。
《設例》 Aさん(76歳)は、最近、自身の相続について考えるようになった。Aさんには妻Bさん(73歳)との間に長女Cさん(43歳)、二女Dさんおよび長男Eさん(38歳)の3人の子がいるが、二女Dさんは平成28年に病気により死亡している。Aさんは、自身の相続が開始した際には家族に財産を円満に承継してもらいたいと考えており、遺言書の作成を検討している。Aさんの親族関係図および主な財産の状況等は、以下のとおりである。 〈Aさんの親族関係図〉 〈Aさんの主な財産の状況(相続税評価額)〉 ・預貯金:7,000万円 ・有価証券:3,000万円 ・自宅の敷地(400㎡):6,000万円 (「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前) ・自宅の建物:800万円 ・賃貸アパートの敷地:3,000万円 ・賃貸アパートの建物:1,500万円 〈Aさんが加入している生命保険契約に関する資料〉 ・保険の種類:終身保険 ・契約者(=保険料負担者)・被保険者 :Aさん ・死亡保険金受取人:妻Bさん ・死亡保険金額:3,000万円 ※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問13:遺言
遺言に関する以下の文章の空欄(1)~(3)に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
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- (1)有効 (2)必要 (3)必要
- (1)無効 (2)必要 (3)不要
- (1)無効 (2)不要 (3)必要
問14:相続税
Aさんの相続が現時点(平成30年5月27日)で開始した場合の相続税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- Aさんの相続における遺産に係る基礎控除額は、5,400万円である。
- Aさんの相続が開始した場合、妻Bさんが受け取る死亡保険金は、「500万円×法定相続人の数」で算出した金額を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができる。
- Aさんの相続が開始し、妻Bさんが「特定居住用宅地等」に該当する自宅の敷地を相続等により取得し、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた場合、相続税の課税価格の計算上、当該敷地は400㎡を限度面積として80%の減額が受けられる。
問15:相続税の総額
Aさんの相続が現時点(平成30年5月27日)で開始し、Aさんの相続における課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が1億5,000万円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。
〈資料〉相続税の速算表(一部抜粋)
- 2,200万円
- 2,525万円
- 2,650万円
解答・解説
問13:遺言
自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに押印することが必要です。なお、財産目録は、自書は不要です。
公正証書遺言は、遺言者が、公証役場において遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がそれを筆記して作成する遺言であり、作成にあたっては証人2人以上の立会いが必要です。 公正証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所における検認の手続が不要です。
解答:2
問14:相続税
- 適切
基礎控除額は、「3,000万円+600万円×4人(法定相続人の数)=5,400万円」です。 - 適切
「保険料負担者Aさん=被保険者Aさん」ですので、死亡保険金は、相続税の課税対象となります。
なお、妻Bさんは、相続人ですので、「500万円×法定相続人の数」で算出した金額を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます。 - 不適切
特定居住用宅地等の場合、330㎡を限度面積として80%の減額が受けられます。
解答:3
問15:相続税の総額
↓各法定相続人ごとの取得金額
Bさん:1億5,000万円(課税遺産総額)×2分の1(法定相続分)=7,500万円×30%-700万円=1,550万円
Cさん:1億5,000万円×6分の1=2,500万円×15%-50万円=325万円
なお、Eさん、Fさんも、Cさんと同様、325万円となります。
↓相続税の総額
1,550万円+325万円+325万円+325万円=2,525万円が相続税の総額となります。
解答:2