2020年9月に実施されましたFP2級実技試験(資産設計提案業務)の第5問の問題と解説です。
目次
第5問:FP2級資産設計(2020年9月実技試験)
下記の問15~問18について解答しなさい。
問15:不動産所得
氷室さんはアパートを事業的規模で賃貸している青色申告者である。下記<資料>に基づき氷室さん が2020年分の確定申告をする際の不動産所得の計算方法に関する次の1~3の記述について、適切なものには○、不適切なものには×をつけなさい。
- 氷室さんは、新規に入居した賃借人より敷金と礼金を受け取ったが、これは家賃ではないため不動産所得の計算上、両方とも収入金額に計上する必要はない。
- アパートローンの返済金額は元本部分と利息部分の両方を必要経費として計上することができる。
- 敷金を返還した場合、預かっていたものを返還しただけなので、必要経費に計上することはできない。
問16:退職所得
会社員の最上さんは、2020年3月末日に勤務先を退職した。最上さんの退職に係るデータが下記<資料>のとおりである場合、最上さんの退職一時金に係る退職所得の金額として、正しいものはどれか。なお、最上さんは、勤務先の役員であったことはなく、退職は障害者になったことに基因するものではない。
- 130万円
- 165万円
- 260万円
- 330万円
問17:減価償却
個人事業主の有馬さんは、2020年9月にトラック(新車)を購入し、事業の用に供している。有馬さんのこのトラックの2020年分の所得税における事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき減価償却費の金額として、正しいものはどれか。なお、トラックの取得価額は600万円、2020年中の事業供用月数は4ヵ月、耐用年数は5年とする。また、有馬さんは個人事業を開業して以来、車両についての減価償却方法を選択したことはない。
- 400,000円
- 800,000円
- 1,200,000円
- 2,400,000円
問18:総所得金額
長岡さん(67歳)の2020年分の収入等は下記のとおりである。長岡さんの2020年分の所得税における総所得金額として、正しいものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないこととし、総所得金額が最も少なくなるように計算すること。
- (310万円-110万円)+(250万円-190万円)=260万円
- (310万円-110万円)+(250万円-190万円)×1/2=230万円
- (310万円-110万円)+(250万円-190万円-50万円)=210万円
- (310万円-110万円)+(250万円-190万円-50万円)×1/2=205万円
解答・解説
問15:不動産所得
1. | × | 返還を要するか否か!で、総収入金額に計上するか否かが決まります。 返還を要するものについては、総収入金額に計上せず、返還を要しないものについては、総収入金額に計上します。 ですので、返還を要しない礼金については、総収入金額に計上することになります。 |
2. | × | 不動産所得の金額の計算上、ローン返済額のうち元本部分は必要経費になりません。 借入金 ××/現金預金×× |
3. | 〇 | 敷金を返還した場合、預かっていたものを返還しただけなので、必要経費に計上することはできません。 |
問16:退職所得
退職所得の金額(特定役員退職手当等に係るものを除く)は、「(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×2分の1」の算式により計算されます。
↓
勤続年数20年超の者が受け取る退職手当等に係る退職所得の金額の計算上、退職手当等の収入金額から控除する退職所得控除額は、「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」の算式により計算されます。なお、退職所得控除額における勤続年数を計算する際、その計算した期間に1年未満の端数が生じたときは、これを1年として勤続年数を計算します。
↓
退職所得控除額は、「800万円+70万円×(22年-20年)=940万円」となります。
退職所得の金額は、「(1,200万円-940万円)×2分の1=130万円」となります。
解答:1
問17:減価償却
有馬さんは個人事業を開業して以来、車両についての減価償却方法を選択したことはない!と記載されていますので、償却方法は定額法となります。
ですので、減価償却費は、「600万円×0.2×4カ月÷12カ月=40万円」となります。
解答:1
問18:総所得金額
公的年金等に係る雑所得の金額は、「310万円-110万円=200万円」となります。
一時所得の金額は、「250万円-190万円-50万円=10万円」となり、総所得金額に算入される一時所得の金額は、「10万円×2分の1=5万円」となります。
上記の結果、
総所得金額は、「200万円+5万円=205万円」となります。
解答:4