2021年1月FP2級生保顧客:第1問(実技試験)

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2021年1月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第1問の問題と解説です。

第1問:FP2級生保顧客(2021年1月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(59歳)は、妻Bさん(51歳)および長男Cさん(19歳)との3人家族である。
Aさんは、大学卒業後、X社に入社し、以後、現在に至るまで同社に勤務している。Aさんは、60歳の定年まであとわずかとなり、今後の資金計画を検討するにあたり、公的年金制度から支給される老齢給付について理解を深めたいと思っている。
また、今年20歳になる大学生の長男Cさんの国民年金の保険料に関して、学生納付特例制度の仕組みを知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

<Aさんとその家族に関する資料>

(1) Aさん(1961年3月22日生まれ・会社員)

  • 公的年金加入歴:下図のとおり(60歳までの見込みを含む) 20歳から大学生であった期間(25月)は国民年金に任意加入していない。
  • 全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入中。

(2)妻Bさん(1969年8月10日生まれ・専業主婦)

  • 公的年金加入歴:18歳で就職してからAさんと結婚するまでの10年間(120月)、厚生年金保険に加入。結婚後は、国民年金に第3号被保険者として加入している。
  • 全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者である。

(3)長男Cさん(2001年7月10日生まれ・大学生)

  • 全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者である。

※妻Bさんおよび長男Cさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1

はじめに、Mさんは、Aさんに対して、Aさんが受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を答えなさい。なお、年金額は2020年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。

「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過的措置として、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。1961年3月生まれのAさんは、原則として、( ① )歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。
Aさんが65歳に達すると、特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅し、新たに老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権が発生します。Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の額は( ② )円です。
また、65歳から受給することができる老齢厚生年金には、妻Bさんが65歳に達するまでの間、配偶者の加給年金額が加算されます。したがって、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の額は( ③ )円となります」

問2

次に、Mさんは、Aさんに対して、定年退職後の社会保険の各種取扱い等について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「Aさんは、国民健康保険に加入する以外に、所定の手続により、退職日の翌日から最長で1年間、全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入することができます」
  2. 「Aさんが定年退職によって厚生年金保険の被保険者でなくなった場合、妻Bさんは、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の届出を行い、国民年金の保険料を納付することになります」
  3. 「Aさんには国民年金の未加入期間がありますが、定年退職後から65歳になるまでの間、その未加入期間に相当する月数について、国民年金に任意加入して保険料を納付した場合、老齢基礎年金の年金額を増額することができます」

問3

最後に、Mさんは、Aさんに対して、長男Cさんに係る国民年金の学生納付特例制度(以下、「本制度」という)等について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「本制度は、国民年金の第1号被保険者で大学等の所定の学校に在籍する学生について、学生本人およびその世帯主の前年所得が一定額以下である場合に、所定の申請により、国民年金の保険料の納付猶予を受けられる制度です」
  2. 「本制度の適用を受けた期間の保険料は追納することができますが、追納ができるのは、追納が承認された月の前5年以内の期間に係るものに限られます」
  3. 「長男Cさんが本制度を利用せず、Aさんが長男Cさんの国民年金の保険料を負担した場合、税法上、その全額が、Aさんの社会保険料控除の対象となります」

解答・解説

問1

①について

1961年3月生まれのAさん(1959年4月2日から1961年4月1日までの間に生まれた男性)は、原則として、64歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。

②について

781,700円×455月÷480月=740,986.4…→740,986円(円未満四捨五入)が老齢基礎年金の額です。

③について

  • 報酬比例部分
    (25万円×7.125÷1,000×240月)+(40万円×5.481÷1,000×215月)=898,866円
  • 経過的加算
    1,630円×455月-781,700円×455月÷480月=663.5…→664円(円未満四捨五入)
  • 加給年金
    390,900円

上記を合算した金額1,290,430円が、老齢厚生年金の額です。

解答:①64 ②740,986 ③1,290,430

問2

  1. ×
    任意継続被保険者として加入できる期間は、最長2年間です。

  2. Aさんが定年退職によって厚生年金保険の被保険者(第2号被保険者)でなくなった場合、妻Bさん(第3号被保険者)は、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の届出を行い、国民年金の保険料を納付することになります。

  3. Aさんには国民年金の未加入期間がありますが、定年退職後から65歳になるまでの間、その未加入期間に相当する月数について、国民年金に任意加入して保険料を納付した場合、老齢基礎年金の年金額を増額することができます。

問3

  1. ×
    「学生本人およびその世帯主の所得が一定額以下の場合」ではなく、「学生本人の所得が一定額以下の場合」となります。
  2. ×
    「追納が承認された月の前5年以内の期間に限られる」ではなく、「10年以内の期間に限られる」ことになります。

  3. 納税者(Aさん)が生計を一にする配偶者やその他の親族(Cさん)の負担すべき国民年金保険料を支払った場合、その支払った金額は納税者(Aさん)の社会保険料控除の対象となります。

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