2級金融資産運用問題【2017年5月】

FP2級・3級試験教材

2017年5月に実施された2級ファイナンシャルプランナー(FP)の学科試験問題(金融資産運用)と解説を掲載しています。

間違えた問題は、必ず、復習していきましょう。

金融資産運用問題(2017年5月)

【問題21】各種指標等

国内の景気や物価の動向を示す各種指標等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 支出面からみた国内総生産(GDP)の項目のうち、民間最終消費支出が最も高い構成比を占めている。
  2. 国内総生産(GDP)には名目値と実質値があり、物価の動向によっては、名目値が上昇していても、実質値は下落することがある。
  3. 全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は、金融部門から経済全体に供給される通貨量の残高を調査したものである。
  4. 景気動向指数において、有効求人倍率(除学卒)は、景気に対してほぼ一致して動く「一致系列」に分類される。

【問題22】株式投資信託の一般的な運用手法

株式投資信託の一般的な運用手法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. ベンチマークの動きに連動する運用成果を目指す手法は、パッシブ運用と呼ばれる。
  2. 経済環境などマクロ的な視点から、国別や業種別などの配分比率を決定し、組み入れる銘柄を選定する手法は、ボトムアップ・アプローチと呼ばれる。
  3. 企業の成長性を重視し、将来の売上高や利益の成長性が市場平均よりも高いと見込まれる銘柄に投資する手法は、グロース投資と呼ばれる。
  4. 株価が現在の資産価値や利益水準などから割安と評価される銘柄に投資する手法は、バリュー投資と呼ばれる。

【問題23】固定利付債券の利回り

固定利付債券の利回り(単利・年率)の計算に関する次の記述の空欄(ア)~(エ)にあてはまる計算式として、最も不適切なものはどれか。なお、税金、手数料、経過利子等は考慮しないものとする。

表面利率0.1%、償還年限10年の固定利付債券が額面100円当たり100円10銭で発行された。この債券の応募者利回りは( ア )となる。また、直接利回りは( イ )となる。この債券を新規発行時に購入し、3年後に額面100円当たり100円50銭で売却した場合の所有期間利回りは( ウ )となる。一方、この債券を発行から3年後に額面100円当たり100円50銭で購入し、償還まで保有した場合の最終利回りは( エ )となる。

利回り問題

【問題24】株式の信用取引

株式の信用取引に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 信用取引は、委託保証金の額の範囲内で行われるため、顧客が委託保証金の額を上回る損失を被ることはない。
  2. 信用取引には、証券取引所の規則等に基づく一般信用取引と、顧客と証券会社の契約に基づく制度信用取引がある。
  3. 信用取引における委託保証金は現金に限られており、債券や株式などで代用することはできない。
  4. 信用取引は、保有していない銘柄であっても、「売り」から取引することができる。

【問題25】株式の投資指標

株式の投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. PERは、株価が1株当たり当期純利益の何倍であるかを示す投資指標である。
  2. PBRは、株価が1株当たり純資産の何倍であるかを示す投資指標である。
  3. ROEは、自己資本に対する当期純利益の割合を示す投資指標である。
  4. 配当性向は、株価に対する年間配当金の割合を示す投資指標である。

【問題26】ポートフォリオ

投資家Aさんの各資産のポートフォリオの構成比および期待収益率が下表のとおりであった場合、Aさんの資産のポートフォリオの期待収益率として、最も適切なものはどれか。

ポートフォリオ問題

  1. 0.63%
  2. 1.91%
  3. 2.83%
  4. 8.50%

【問題27】NISA(少額投資非課税制度)

NISA(少額投資非課税制度)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、NISAにより投資収益が非課税となる口座をNISA口座という。

  1. NISA口座内の上場株式等の譲渡損失の金額については、確定申告を行うことにより、同一のNISA口座で受け取った配当金等と損益通算することができる。
  2. NISA口座で保有する上場株式の配当については、その受領方法にかかわらず、非課税の適用を受けることができる。
  3. NISA口座の平成29年分の新規投資における非課税枠は120万円が上限であるが、その年の非課税枠の未使用分については、翌年以降に繰り越すことができない。
  4. NISA口座に受け入れることができる金融商品には、上場株式、不動産投資信託(J-REIT)、公募株式投資信託、個人向け国債、社債、公社債投資信託などがある。

【問題28】セーフティネット

わが国における個人による金融商品取引に係るセーフティネットに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. ゆうちょ銀行に預け入れた通常貯金は、預入限度額である元本1,300万円までとその利息等が預金保険制度による保護の対象となる。
  2. 農業協同組合(JA)に預け入れた円建ての決済用貯金(無利息、要求払い、決済サービスを提供できることの3要件を満たすもの)は、その金額の多寡にかかわらず、全額が貯金保険制度(農水産業協同組合貯金保険制度)による保護の対象となる。
  3. 生命保険会社が破綻した場合、生命保険契約者保護機構は、破綻時点における補償対象契約の保険金額の90%(高予定利率契約を除く)まで補償する。
  4. 破綻した証券会社が分別管理の義務に違反し、一般顧客の顧客資産を返還することができない場合、日本投資者保護基金は、補償対象債権に係る顧客資産について一般顧客1人当たり1,500万円を上限として補償する。

【問題29】金融商品販売法

金融商品の販売等に関する法律(以下「金融商品販売法」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 金融商品販売業者等による顧客への重要事項の説明は、原則として、当該顧客の知識、経験、財産の状況および当該金融商品の販売に係る契約を締結する目的に照らして、当該顧客に理解されるために必要な方法および程度によるものでなければならない。
  2. 金融商品販売業者等が顧客への重要事項の説明義務に違反した場合の損害賠償責任においては、原則として、当該顧客に対して無過失責任を負うこととされている。
  3. 金融商品販売業者等が顧客への重要事項の説明義務に違反した場合に、原則として、当該顧客がその違反に基づく損害の賠償を請求するときには、元本欠損額が損害額と推定される。
  4. 金融商品販売法における断定的判断の提供等の禁止に関する規定は、金融商品販売業者等が特定顧客に対して行う金融商品の販売等には適用されない。

【問題30】株式の投資指標

米国の金融・経済に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 米国の金融政策において、連邦公開市場委員会(FOMC)がフェデラル・ファンド(FF)レートの誘導目標を変更することなどにより金融調整が行われている。
  2. 米国財務省が発表している米国債国別保有残高によれば、2016年12月現在、保有残高第1位の国は日本であり、第2位はドイツである。
  3. ナスダック総合指数は、ニューヨーク証券取引所に上場している全銘柄を対象とする修正平均型の株価指数である。
  4. S&P500種株価指数は、ニューヨーク証券取引所に上場している銘柄のうち、代表的な500銘柄を対象とする修正平均型の株価指数である。

金融資産運用解答・解説

問題21、問題25、問題27、問題28、問題29の解答解説につきましては、教材購入者専用ページに掲載しています。教材購入者の方は、必ず、チェックしてください。

【問題22】株式投資信託の一般的な運用手法

  1. パッシブ運用は、ベンチマークの動きに連動することを目指した運用がなされるものです。代表的なものとして、インデックスファンドがあります。

  2. 経済環境などのマクロ的な分析によって国別組入比率や業種別組入比率などを決定し、その比率の範囲内で銘柄を決めていく手法のことをトップダウン・アプローチといいます。
    ボトムアップ・アプローチは、各銘柄の投資指標の分析や企業業績などのリサーチによって個別銘柄を選定し、その積上げによりポートフォリオを構築する手法です。

  3. グロース投資は、企業の将来の売上高や利益の伸び率が市場平均よりも高いなど、企業の成長性を重視して選定した銘柄に投資する手法です。
  4. バリュー投資は、現在の利益水準や資産価値等から株価が割安であると考えられる銘柄に投資する手法です。

A.2

【問題23】固定利付債券の利回り

  1. 応募者利回りとは、新発債を購入して、償還期限まで保有した場合の利回りのことです。
    次の算式により、応募者利回りを求めることができます。
    表面利率+{(額面(100円)-発行価格)÷償還年限}=A(収益)
    A÷発行価格×100=応募者利回り(%)
    よって、本問の算式は、適切です。

  2. 直接利回りとは、購入価格に対して1年間に支払われる利息の割合を示したものです。次の算式により、直接利回りを求めることができます。
    表面利率÷購入価格×100=直接利回り(%)
    よって、本問の算式は、適切です。

  3. 所有期間利回りとは、債券を償還期限まで保有せず、途中で売却した場合の利回りのことです。
    次の算式により、所有期間利回りを求めることができます。
    表面利率+{(売却価格-購入価格)÷所有期間}=A(収益)
    A÷購入価格×100=所有期間利回り(%)
    よって、本問の算式は、{(購入価格-売却価格)÷所有期間}となっていますので不適切です。

  4. 最終利回りとは、既発債を購入して、償還期限まで保有した場合の利回りのことです。次の算式により、最終利回りを求めることができます。
    表面利率+{(額面(100円)-購入価格)÷残存期間}=A(収益)
    A÷購入価格×100=最終利回り(%)
    よって、本問の算式は、適切です。

A.3

【問題24】株式の信用取引

  1. 信用取引は、株価の変動によっては、差し入れた委託保証金を割り込んだり、委託保証金保証金を上回る損失を被ることもありえます。

  2. 信用取引には、証券取引所の規則等に基づく制度信用取引と、顧客と証券会社の契約に基づく一般信用取引がある。

  3. 委託保証金は、現金以外に有価証券(非上場株式等は除く)でも代用することができるため、信用取引口座を開設している証券会社に管理を委託している現物の上場株式等を活用して取引することができます。

  4. 信用取引では、「買い」から取引を開始することも、「売り」から取引を開始することもできます。

A.4

【問題26】ポートフォリオ

上記の表をもとに、ポートフォリオの期待収益率を求めると以下のとおりになります。

0.5×0.3%+0.3×1.2%+0.2×7.0%=0.0191×100=1.91%

A.2

【問題30】株式の投資指標

  1. FFレートの誘導目標を変更することで、金融政策の決定をしています。
    FFレートを引き下げ→金融緩和
    FFレートを引き上げ→金融引き締め

  2. 保有残高第1位の国は日本であり、第2位は中国です。

  3. ナスダック総合指数は、NASDAQ証券取引所に上場している全銘柄を対象とする修正平均型の株価指数です。
  4. S&P500種株価指数は、「ニューヨーク証券取引所」、「アメリカン証券取引所」、「NASDAQ」に上場している銘柄のうち、代表的な500銘柄を対象とする修正平均型の株価指数です。

A.1

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