2019年5月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第4問の問題と解説です。
目次
第4問:FP2級生保顧客(2019年5月実技試験)
次の設例に基づいて、下記の各問(問10~問12)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんとの4人家族である。 <Aさんとその家族に関する資料>
<Aさんの2018年分の収入等に関する資料> (1)給与収入の金額:1,000万円 (2)一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金
(3)一時払終身保険の解約返戻金
※妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
問10:所得税の課税
Aさんの2018年分の所得税の課税に関する次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- 「Aさんが受け取った一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります」
- 「Aさんが受け取った一時払終身保険の解約返戻金は、契約から5年以内の解約のため金融類似商品に該当し、源泉分離課税の対象となります」
- 「Aさんの場合、総所得金額に算入される一時所得の金額が20万円を超えるため、所得税の確定申告をしなければなりません」
問11:所得税における所得控除
所得税の計算における所得控除に関する以下の文章の空欄(1)~(3)に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉のイ~チのなかから選びなさい。
- 「Aさんの合計所得金額は( 1 )万円以下であるため、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます。仮に、Aさんの合計所得金額が( 1 )万円を超えると、配偶者控除の額は段階的に縮小し、合計所得金額が( 2 )万円を超えると、適用を受けることができません」
- 「長男Cさんの合計所得金額は38万円以下となりますので、Aさんは長男Cさんについて( 3 )万円の扶養控除の適用を受けることができます」
<数値群> イ.48 ロ.58 ハ.63 ニ.900 ホ.950 へ.1,000 ト.1,200 チ.2,000 |
問12:所得税の算出税額
Aさんの2018年分の所得税の算出税額を計算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
解答・解説
問10:所得税の課税
1. | 〇 | 一時払変額個人年金保険(確定年金)を保険期間の初日から5年以内に解約して解約返戻金を受け取った場合、その解約差益は源泉分離課税の対象となります(金融類似商品!)。 これに対し、5年超で解約した場合には、その解約差益は一時所得として所得税の課税対象となります。 |
2. | × | 満期のない終身保険については、5年以内に解約しても、金融類似商品に該当せず、一時所得の対象となります。 |
3. | 〇 | 総所得金額に算入される一時所得(退職所得及び給与所得以外)の金額が20万円を超えるときは、所得税の確定申告をしなければなりません。 Aさんの一時所得は、「(650万円+480万円)-(500万円+500万円)-50万円(特別控除)=80万円」となり、総所得金額に算入される一時所得の金額は「80万円×2分の1=40万円」となります。 その結果、20万円を超えていますので、Aさんは、確定申告をしなければなりません。 |
問11:所得税における所得控除
(1)と(2)について
Aさんの合計所得金額は900万円以下であるため、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます。
仮に、Aさんの合計所得金額が900万円を超えると、配偶者控除の額は段階的に縮小し、合計所得金額が1,000万円を超えると、適用を受けることができません。
(3)について
長男Cさんは、19歳(19歳以上23歳未満)ですので、特定扶養親族に該当します。
ですので、控除額は63万円となります。
※問題文上、合計所得金額が38万円以下!となっていますが、2020年9月の試験から、48万円以下となります。
解答:(1)ニ(2)ヘ(3)ハ
問12:所得税の算出税額
給与収入が1,000万円ですので、給与所得控除額は、「1,000万円×10%+120万円=220万円」となります。
給与所得の金額は、「1,000万円-220万円=780万円」となり、全額が総所得金額に算入されます。
※2020年9月の試験から、給与所得控除額は、以下のとおりとなります。
総所得金額に算入される一時所得の金額は、40万円(問10肢3を参照)となります。
ですので、総所得金額は、「780万円+40万円=820万円」となります。
↓
Dさんは、16歳ですので、Dさんに係る扶養控除の控除額は38万円となります。
そして、Dさんに係る扶養控除の控除額は63万円(問11(3)を参照)となります。
ですので、扶養控除の控除額は、「38万円+63万円=101万円」となります。
↓
課税総所得金額は、「820円-300万円=520万円」となります。
算出税額は、「520万円×20%-42万7,500円=61万2,500円」となります。
解答:①8,200,000②1,010,000③612,500