2020年9月FP2級生保顧客:第3問(実技試験)

FP2級・3級試験教材

2020年9月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第3問の問題と解説です。

第3問:FP2級生保顧客(2020年9月実技試験)

次の設例に基づいて、下記の各問(問7~問9)に答えなさい。

《設例》

Aさん(40歳)は、X株式会社(以下、「X社」という)の代表取締役社長である。Aさんは、現在、従業員および自身の退職金準備の方法について検討している。Aさんは、先日、生命保険会社の営業担当者であるファイナンシャル・プランナーのMさんに相談したところ、従業員の退職金準備として中小企業退職金共済制度を紹介された。また、自身の退職金準備を目的とした下記<資料>の終身保険の提案を受けた。

問7:退職所得

仮に、Aさんが役員在任期間(勤続年数)31年3カ月でX社を退任し、X社が役員退職金として5,000万円を支給した場合、Aさんが受け取る役員退職金に係る退職所得の金額を計算した下記の計算式の空欄(1)~(3)に入る最も適切な数値を答えなさい。なお、Aさんは、これ以外に退職手当等の収入はなく、障害者になったことが退職の直接の原因ではないものとする。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

<退職所得控除額>

800万円+( 1 )万円×(□□□年-20年)=( 2 )万円

<退職所得の金額>

(5,000万円-( 2 )万円)×□□□=( 3 )万円

問8:中退共

Mさんは、Aさんに対して、中小企業退職金共済制度(以下、「中退共」という)について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)~(4)に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選びなさい。

「中退共は、中小企業の事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構と雇用者(従業員)を被共済者とする退職金共済契約を締結して、退職金を社外に積み立てる共済制度です。

掛金は、被共済者(従業員)1人につき月額5,000円から3万円までの範囲から選択し、
( 1 )負担します。また、中退共に新たに加入する事業主に対して、原則として、掛金月額の( 2 )(被共済者1人ごとに5,000円が上限)を加入後4カ月目から( 3 )年間、国が助成する制度があります。

被共済者(従業員)が定年退職したときは、勤労者退職金共済機構から退職金が( 4 )支給されます。退職金は、退職時に一括して受け取る一時払いのほか、退職金が所定の金額以上であることなどの要件を満たした場合は、退職金の全部または一部を分割払いにすることもできます」

<語句群>

イ.1 ロ.2 ハ.3 ニ.2分の1 ホ.3分の2 ヘ.4分の3

ト.事業主が全額を チ.事業主と被共済者が折半して

リ.被共済者が全額を ヌ. 従業員に直接 ル. 事業主を経由して従業員に

問9:終身保険

Mさんは、Aさんに対して、《設例》の<資料>の終身保険について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「Aさんが勇退する際に、契約者をAさん、死亡保険金受取人をAさんの相続人に名義変更することで、当該保険契約を役員退職金の一部として支給し、個人の保険として継続することができます」
  2. 「当該生命保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上します。65歳満了時に解約した場合、X社はそれまで資産計上していた保険料積立金を取り崩し、解約返戻金との差額150万円を雑損失として経理処理します」
  3. 「Aさんが高度障害状態となり、X社が高度障害保険金を受け取った場合、法人税法上、当該保険金については非課税所得となりますので、益金に計上する必要はありません」

解答・解説

問7:退職所得

退職所得の金額(特定役員退職手当等に係るものを除く)は、「(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×2分の1」の算式により計算されることになります。

勤続年数20年超の者が受け取る退職手当等に係る退職所得の金額の計算上、退職手当等の収入金額から控除する退職所得控除額は、「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」の算式により計算された金額となります。

なお、退職所得控除額における勤続年数を計算する際、その計算した期間に1年未満の端数が生じたときは、これを1年として勤続年数を計算することになります。

退職所得控除額は、「800万円+70万円×(32年-20年)=1,640万円」となります。

退職所得の金額は、「(5,000万円-1,640万円)×2分の1=1,680万円」となります。

解答:(1)70 (2)1,640 (3)1,680

問8:中退共

(1)について

中退共の掛金は、全額事業主が負担することになります。

(2)(3)について

中退共制度に新たに加入する事業主は、加入後4ヵ月目から1年間にわたり、国から掛金月額の2分の1(上限5,000円)相当額の助成を受けることができます。

(4)について

被共済者(従業員)が定年退職したときは、勤労者退職金共済機構から退職金が従業員に直接支給されます。(中途退職も同じ)

解答:(1)ト (2)ニ (3)イ (4)ヌ

問9:終身保険

1.

契約者をAさん、死亡保険金受取人をAさんの相続人に名義変更することで、当該保険契約を役員退職金の一部として支給し、個人の保険として継続することができます。

2.×

被保険者が役員等、死亡保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上します。

そして、65歳満了時に解約した場合、X社はそれまで資産計上していた保険料積立金を取り崩し、解約返戻金との差額150万円を雑収入として経理処理します。(解約返戻金>資産取崩額のため、費用である雑損失ではなく、収益である雑収入として処理します。)

3.×

高度障害保険金と資産計上していた保険料積立金を取り崩した金額との差額を雑収入(税法上、益金に算入。)又は雑損失として処理することになります。(死亡保険金を受け取った時と同じ処理)

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