2019年1月に実施されましたFP2級実技試験(個人資産相談業務)の第2問の問題と解説です。
目次
第2問:FP2級個人資産(2019年1月実技試験)
次の設例に基づいて、下記の各問(問4~問6)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさん(35歳)は、投資信託による資産運用を始めたいと思っているが、これまで投資経験がなく、投資信託の仕組み等に関して、あまり知識がない。 そこで、Aさんは、金融機関に勤務するファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Mさんは、X投資信託およびY投資信託を例として、Aさんに投資信託の説明を行うことにした。 X投資信託およびY投資信託に関する資料は、以下のとおりである。 <X投資信託(公募株式投資信託)に関する資料>
<Y投資信託(公募株式投資信託)に関する資料>
※《設例》および各問において、以下のような名称を使用している。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問4:投資信託の仕組み等
Mさんは、Aさんに対して、X投資信託およびY投資信託の仕組み等について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)~(4)に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のイ~ヌのなかから選び、その記号を答えなさい。
- 「X投資信託は、東証株価指数(TOPIX)と連動する投資成果を目指して運用されるインデックス型の投資信託です。東証株価指数(TOPIX)は、東京証券取引所市場第一部に上場している内国普通株式の( 1 )銘柄を対象とする株価指数であり、時価総額の( 2 )銘柄の値動きの影響を受けやすいという特徴があります」
- 「X投資信託は購入時手数料を徴収しないノーロード型の投資信託ですが、Y投資信託は3.24%(税込)の購入時手数料が必要です。運用管理費用(信託報酬)は、投資信託を保有している期間、投資家が( 3 )負担する費用です。アクティブ運用を行う投資信託は、一般に、運用管理費用(信託報酬)がインデックス型の投資信託に比べて高いという特徴があります。信託財産留保額は、通常、投資信託を ( 4 )する際に控除される費用であり、その額は信託財産に留保されます」
<語句群> イ.225 ロ.400 ハ.全 ニ.小さい ホ.大きい ヘ.直接的に ト.間接的に チ.決算時に リ.購入 ヌ.換金 |
問5:投資信託の購入方法
Mさんは、Aさんに対して、X投資信託の購入方法について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- 「ドルコスト平均法は、価格が変動する商品を定期的に一定口数購入することで、平均購入価格を平準化する効果を期待した購入方法です。定期的に一定額購入する方法よりも、平均購入価格を引き下げる効果があります」
- 「つみたてNISAでは、対象銘柄を指定したうえで、累積投資契約に基づく定期かつ継続的な買付けを行います。年間の非課税投資枠は80万円です」
- 「一般NISAは、年間の非課税投資枠120万円分を1回の購入で全額利用することができます。ただし、つみたてNISAと一般NISAは、同一年中において、併用して新 規投資等に利用することができません」
問6:株式投資信託の譲渡益
Mさんは、Aさんに対して、公募株式投資信託の譲渡益の課税関係について説明した。下記<資料>の条件に基づき、平成30年中に特定口座(源泉徴収あり)を利用してZ投資信託を100万口購入し、同年中に全部を換金した場合に徴収される所得税、 復興特別所得税および住民税の合計額を計算した次の<計算の手順>の空欄(1)~(3)に入る最も適切な数値を答えなさい。なお、手数料等については考慮しないものとする。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
<計算の手順>
- 譲渡所得の金額 {11,000円-(10,000円-( 1 )円)}×(100万口÷1万口)=□□□円
- 所得税および復興特別所得税の合計額 □□□円×( 2 )%=□□□円
- 住民税額 □□□円×5%=□□□円
- 所得税、復興特別所得税および住民税の合計額 □□□円+□□□円=( 3 )円
解答・解説
問4:投資信託の仕組み等
(1)と(2)について
東証株価指数(TOPIX)は、東京証券取引所市場第一部に上場している内国普通株式の全銘柄を対象とする株価指数であり、時価総額の大きい銘柄の値動きの影響を受けやすいという特徴があります
(3)について
運用管理費用(信託報酬)は、投資信託を保有している受益者(投資家)が間接的に負担するものです。
(4)について
信託財産留保額は、通常、投資信託を換金する際に控除される費用であり、その額は信託財産に留保されます。
解答:(1)ハ(2)ホ(3)ト(4)ヌ
問5:投資信託の購入方法
1 | × | ドル・コスト平均法は、価格が変動する金融商品を定期的に一定金額ずつ買う投資手法です。(一定口ではなく、一定額ずつ!) |
2 | × | つみたてNISA勘定に受け入れることができる限度額は年間40万円で、その非課税期間は20年間です。 |
3 | 〇 | 一般NISAは、年間の非課税投資枠120万円分を1回の購入で全額利用することができます。 ただし、つみたてNISAと一般NISAは、同一年中において、併用して新 規投資等に利用することができません |
解答:1.×2.×3.〇
問6:株式投資信託の譲渡益
(1)について
換金額から取得価額を控除していくことになりますが、特別分配金の額(200円)を控除した後の金額が取得価額となります。
ですので、「{11,000円-(10,000円-200円)}×(100万口÷1万口)=12万円(譲渡益)」となります。
(2)について
上場株式の譲渡所得等とされ、申告分離課税の対象となります。
申告分離課税の税率は、 20.315%(所得税 15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。
所得税および復興特別所得税の合計額:12万円×15.315%=18,378円
住民税額:12万円×5%=6,000円
(3)について
18,378円+6,000円=24,378円
解答:(1)200(2)15.315(3)24,378