2020年1月に実施されましたFP2級実技試験(資産設計提案業務)の第3問の問題と解説です。
目次
第3問:FP2級資産設計(2020年1月実技試験)
下記の問7~問10について解答しなさい。
問7:課税長期譲渡所得
岡さんは、8年前に相続により取得し、その後継続して居住している自宅の土地および建物の売却を検討している。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、所得税における課税長期譲渡所得の金額として、正しいものはどれか。
<資料>
※居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。 ※所得控除は考慮しないものとする。 |
- 1,930万円
- 1,740万円
- 1,660万円
- 1,480万円
問8:消費税
大久保さんは、FPの沼田さんに不動産取引に係る消費税について質問をした。下記の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
|
- (ア)建物の建築代金(イ)かかりません(ウ)融資事務手数料
- (ア)建物の建築代金(イ)かかります (ウ)保証料
- (ア)土地の購入代金(イ)かかります (ウ)融資事務手数料
- (ア)土地の購入代金(イ)かかりません(ウ)保証料
問9:登記事項証明書
下記<資料>は増田一郎さんが所有する土地の登記事項証明書の一部である。この登記事項証明書に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
<資料>
- 株式会社TK銀行からの借入れに係る抵当権の登記が記載されている欄(A)は、権利部の乙区である。
- 増田一郎さんが債務の弁済を怠った場合、株式会社TK銀行は、債権を回収するためにこの土地の競売を裁判所に申し立てることができる。
- この土地には株式会社TK銀行の抵当権が設定されているが、別途、ほかの金融機関が抵当権を設定することも可能である。
- 増田一郎さんが株式会社TK銀行への債務を完済した場合、当該抵当権の登記は自動的に抹消される。
問10:建築面積の最高限度
建築基準法に従い、下記<資料>の甲土地に建物を建てる場合の建築面積の最高限度として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料>
※甲土地・乙土地が面する道路は建築基準法第42条第2項に該当する道路で、甲土地・乙土地はともにセットバックを要する。また、道路中心線は現況道路の中心に位置するものとする。なお、特定行政庁が指定する幅員6m指定区域ではない。 |
- 73.6㎡
- 105.6㎡
- 110.4㎡
- 115.2㎡
解答・解説
問7:課税長期譲渡所得
土地や建物を譲渡した場合(申告分離課税となる場合)
総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=譲渡所得金額
↓
取得費が不明ですので、譲渡価額5,200万円の5%である260万円が取得費となります。(概算取得費)
↓
ですので、
5,200万円-(260万円+200万円)-3,000万円(本問における特別控除額)=1,740万円が課税長期譲渡所得の金額となります。
解答:2
問8:消費税
(ア)について
建物の建築代金に対しては消費税がかかります。
なお、土地の譲渡は、消費税の非課税取引に該当することになります。
(イ)について
居住用建物の貸付
個人が居住用として借りているアパートの家賃には、原則として、消費税がかかりません。
なお、貸付期間が1月未満の場合等には、消費税がかかります。
(ウ)について
融資事務手数料は、役務の提供の対価であり、消費税がかかります。(利子ではない!)
保証料は、消費税がかかりません。(非課税)
解答:1
問9:登記事項証明書
- 適切
抵当権、つまり、所有権以外の権利に関する事項ですので、権利部の乙区に記録されることになります。 - 適切
増田一郎さん(債務者)が債務の弁済を怠った場合、株式会社TK銀行(抵当権者)は、債権を回収するためにこの土地の競売を裁判所に申し立てることができます。
なお、抵当権者は、この競売代金から優先的に回収することができます。 - 適切
一筆の土地に複数の抵当権を設定することができます。 - 不適切
債務を完済すれば、抵当権抹消登記が必要となります。
抵当権抹消登記によって、不動産の登記簿に記載されている抵当権が消えることになります。
解答:4
問10:建築面積の最高限度
「敷地面積×建蔽率=建築面積の最高限度」となります。
↓
2項道路(建築基準法42条2項の道路)は、原則として、道路の中心線から、両側に水平距離2mずつ後退した線が道路の境界線とみなされます。
そして、敷地のうち、道路と道路境界線とみなされる線までの間の敷地部分(セットバック部分)は、建蔽率及び容積率を算定する際の敷地面積に算入することができません。
つまり、上の図の黄色の部分が敷地面積に算入することができません。
ですので、敷地面積は、192㎡-(0.5m×16m)=184㎡となります。
↓
建築面積の最高限度は、「184㎡×6/10=110.4㎡」となります。
解答:3