2021年5月に実施されましたFP3級実技試験(保険顧客資産相談業務)の第5問の問題と解説です。
第5問:2021年5月FP3級実技試験(保険顧客)
次の設例に基づいて、下記の各問(問13~問15)に答えなさい。
<設例> Aさん(72歳)は、妻Bさん(68歳)および長女Cさん(38歳)とX市内の自宅で同居している。長女Cさんは、X市役所に公務員として勤務している。また、長男Dさん(37歳)は、県外で会社員として働いており、X市に戻る予定はない。 <Aさんの親族関係図> <Aさんの推定相続人>
<Aさんの主な所有財産(相続税評価額)>
(注)「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額 ※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問13
生前贈与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 「Aさんが長女Cさんに現金を贈与し、長女Cさんが暦年課税を選択した場合、その年にAさんから長女Cさんへ贈与した財産の価額が贈与税の基礎控除額を超えるときは、贈与したAさんが贈与税の申告書を提出しなければなりません」
- 「Aさんが長女Cさんに現金を贈与し、長女Cさんが相続時精算課税制度を選択した場合、累計で3,000万円までの贈与について贈与税は課されません」
- 「Aさんが長女Cさんに現金を贈与し、長女Cさんが相続時精算課税制度を選択した場合、その選択をした年分以降にAさんから長女Cさんへ贈与する財産について、暦年課税へ変更することはできません」
問14
Aさんの相続等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、自宅の敷地について相続税の課税価格に算入すべき価額は5,600万円となります」
- 「円滑な遺産分割のための手段として遺言書の作成をお勧めします。自筆証書遺言は、その遺言の全文および財産目録をパソコンで作成し、日付および氏名を自書して押印することで作成することができます」
- 「契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を推定相続人とする終身保険に加入することをお勧めします。死亡保険金受取人が受け取る死亡保険金は、『500万円×法定相続人の数』を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます」
問15
仮に、Aさんの相続が現時点(2021年5月23日)で開始し、Aさんの相続に係る課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が9,000万円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。
- 1,200万円
- 1,275万円
- 2,000万円
解答・解説
問13
- 不適切
贈与したAさんではなく、受贈者であるCさんが贈与税の申告書を提出しなければなりません。 - 不適切
相続時精算課税制度を選択した場合、累計で2,500万円までの贈与について贈与税は課されません。 - 適切
Aさんが長女Cさんに現金を贈与し、長女Cさんが相続時精算課税制度を選択した場合、その選択をした年分以降にAさんから長女Cさんへ贈与する財産について、暦年課税へ変更することはできません。
解答:3
問14
- 不適切
「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合(特定居住用宅地等:330㎡まで80%減)
、自宅の敷地について相続税の課税価格に算入すべき価額は「7,000万円-7,000万円×80%=1,400万円」となります。」 - 不適切
財産目録についてはパソコンで作成することもできますが、遺言の全文については、作成することができません(自書必要)。 - 適切
相続人が受け取る死亡保険金は、『500万円×法定相続人の数』を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます。
解答:3
問15
- Bさんの相続税
9,000万円×2分の1(法定相続分)=4,500万円×20%-200万円=700万円 - Cさんの相続税
9,000万円×4分の1(法定相続分)=2,250万円×15%-50万円=287.5万円 - Dさんの相続税
Cさんと同様、287.5万円
↓
上記の結果、相続税の総額は、「700万円+287.5万円+287.5万円=1,275万円」となります。
解答:2