2018年9月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第5問の問題と解説です。
目次
第5問:2018年9月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問13~問15)に答えなさい。
《設例》 X県内の自宅で1人暮らしをしていたAさんは、平成31年8月10日に病気により死亡した。Aさんの夫は10年前に他界しており、Aさんの相続に係る法定相続人は長男Bさんのみである。 長男Bさんは、故郷であるX県内には住んでおらず、東京近郊の都市に自宅を保有し、居住している。長男Bさんは、将来的にX県に戻る予定がないため、Aさんが1人で暮らしていた実家(敷地および建物)については、相続手続が終了後、売却したいと思っている。 Aさんの親族関係図等は、以下のとおりである。 〈Aさんの親族関係図〉 <Aさんの相続財産(相続税評価額)> (1)現預金:4,000万円 (2)自宅(実家) 敷地(250㎡):3,500万円 建物(昭和56年築):500万円 (3)賃貸アパート(全室、賃貸中) 敷地(300㎡):4,000万円(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の相続税評価額) 建物:3,000万円 ※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問13:遺産に係る基礎控除額等
Aさんの相続等に関する以下の文章の空欄(1)~(3)に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
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- (1) 3,000 (2) 10 (3) 3
- (1) 3,600 (2) 4 (3) 3
- (1 )3,600 (2) 10 (3) 4
問14:相続税の総額
Aさんの相続に係る課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が1億円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。
<資料>相続税の速算表(一部抜粋)
- 1,220万円
- 1,600万円
- 2,300万円
問15:小規模宅地等の特例等
長男Bさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「長男Bさんが賃貸アパートの敷地を相続により取得し、貸付事業用宅地等として小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、その敷地は200㎡までの部分について80%の減額が受けられます」
- 「長男Bさんが相続により取得した実家の敷地および建物を一定の要件を満たしたうえで譲渡し、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用を受けた場合、最高3,000万円の特別控除の適用を受けることができます」
- 「相続税の申告書の提出先は、Aさんの住所地を所轄する税務署ではなく、相続により財産を取得した長男Bさんの住所地を所轄する税務署となります」
解答・解説
問13:遺産に係る基礎控除額等
(1)について
基礎控除額は、「3,000万円+600万円×1人(法定相続人の数)=3,600万円」となります。
(2)について
相続税の申告書は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に提出しなければなりません。
(3)について 相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません。
解答:3
問14:相続税の総額
法定相続人が1人だけですので、
1億円×1(法定相続分)=1億円
1億円×30%-700万円=2,300万円が相続税の総額となります。
解答:3
問15:小規模宅地等の特例等
- 不適切
貸付事業用宅地等の場合、200㎡までの部分について50%の減額が受けられます。 - 適正
本肢のとおりです。 - 不適切
相続税の申告書の提出先は、被相続人(Aさん)の住所地を所轄する税務署となります。
解答:2