2019年9月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第1問の問題と解説です。
目次
第1問:2019年9月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさん(44歳)は、妻Bさん(42歳)、長女Cさん(10歳)および長男Dさん(7歳)との4人暮らしである。Aさんは、公的年金制度の遺族給付の額や公的介護保険の給付内容等を確認して、教育資金の準備や生命保険の見直しなど、今後の資金計画を検討したいと思っている。そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。 <Aさんの家族構成>
<公的年金加入歴(2019年8月分まで)> ※妻Bさん、長女Cさんおよび長男Dさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。 |
問1:遺族基礎年金
現時点(2019年9月8日)においてAさんが死亡した場合、妻Bさんに支給される遺族基礎年金の年金額(2019年度価額)は、次のうちどれか。
- 780,100円+224,500円=1,004,600円
- 780,100円+224,500円+74,800円=1,079,400円
- 780,100円+224,500円+224,500円=1,229,100円
問2:遺族厚生年金
Mさんは、現時点(2019年9月8日)においてAさんが死亡した場合に妻Bさんに支給される遺族厚生年金の金額等について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の3分の2相当額になります」
- 「妻Bさんに支給される遺族厚生年金は、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たないため、300月とみなして年金額が計算されます」
- 「長男Dさんの18歳到達年度の末日が終了すると、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権は消滅します。その後、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に加給年金額が加算されます」
問3:公的介護保険
Mさんは、公的介護保険(以下、「介護保険」という)の保険給付について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
- 「介護保険の保険給付を受けるためには、市町村(特別区を含む)から、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります」
- 「40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、要介護状態または要支援状態となった原因が、初老期における認知症、脳血管疾患などの加齢に伴う特定疾病である場合に限り、介護給付または予防給付を受けることができます」
- 「介護保険の第2号被保険者が保険給付を受けた場合、原則として、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の1割を自己負担する必要がありますが、Aさんの所得金額が一定額以上である場合は、自己負担割合が3割となります」
解答・解説
問1:遺族基礎年金
基本額(780,100円)+子の加算額=遺族基礎年金の年金額
子の加算額は、第2子までは、子1人つき224,500円となります。
ですので、遺族基礎年金の年金額は、「780,100円+224,500円+224,500円=1,229,100円」となります。
※2020年9月の試験からは、「780,100円」ではなく「781,700円」、「224,500円」ではなく「224,900円」、「74,800円」ではなく「75,000円」となります。
解答:3
問2:遺族厚生年金
- 不適切
遺族厚生年金の年金額(中高齢寡婦加算額および経過的寡婦加算額を除く)は、原則として、死亡した被保険者の厚生年金保険被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額です。
なお、被保険者期間が、300月未満の場合は、300月とみなして計算します。 - 適切
肢1参照! - 不適切
長男Dさんの18歳到達年度の末日が終了すると、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権は消滅します。
その後、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に中高齢寡婦加算額が加算されます
解答:2
問3:公的介護保険
- 適切
介護保険の保険給付を受けるためには、市町村(特別区を含む)から、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。 - 適切
40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、要介護状態または要支援状態となった原因が、初老期における認知症、脳血管疾患などの加齢に伴う特定疾病である場合に限り、介護給付または予防給付を受けることができます。 - 不適切
第1号被保険者(65歳以上)で、かつ、所得金額が一定額以上(280万円以上など)であれば、2割または3割負担となります。
これに対し、第2号被保険者であれば、1割負担です。
解答:3