2019年5月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第4問の問題と解説です。
目次
第4問:2019年5月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問10~問12)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさん(57歳)は、11年前に父親の相続により取得した甲土地を所有している。Aさんは、現在、甲土地を青空駐車場として賃貸しているが、収益が少ないため、甲土地の売却を検討している。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
問10:建築面積及び延べ面積
甲土地に賃貸マンション(耐火建築物)を建築する場合の(1)建蔽率の上限となる建築面積と(2)容積率の上限となる延べ面積の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
- (1)360㎡ (2)1,296㎡
- (1)400㎡ (2)1,440㎡
- (1)400㎡ (2)1,600㎡
問11:不動産の譲渡所得
甲土地の売却に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 「Aさんが甲土地を譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、取得費は、父親の相続に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入された金額(相続税評価額)となります」
- 「Aさんが甲土地を譲渡した場合、譲渡した日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えていますので、当該譲渡による譲渡所得については、長期譲渡所得に区分されます」
- 「Aさんが甲土地を譲渡した場合、譲渡所得金額が6,000万円以下の部分について、所得税および復興特別所得税10.21%、住民税4%の軽減税率が適用されます」
問12:土地の有効活用
甲土地の有効活用に関する以下の文章の空欄(1)~(3)に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
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- (1)貸宅地 (2)50% (3)3分の1
- (1)貸家建付地 (2)50% (3)6分の1
- (1)貸家建付地 (2)80% (3)3分の1
解答・解説
問10:建築面積及び延べ面積
(1)について
敷地面積×建蔽率の上限=建築面積
防火地域に指定された区域内に耐火建築物を建築する場合で、商業地域など建蔽率の限度が10分の8とされている地域内であれば、建蔽率の制限がありません。つまり、建蔽率の上限は100%となります。
ですので、建築面積は、「400㎡×100%=400㎡」となります。
(2)について
敷地面積×容積率の上限=延べ面積
前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの。←本問では、6m。)の幅員が12m未満である建築物の容積率は、「当該前面道路の幅員(6m)に一定の数値(6/10)を乗じたもの(360%)」と「都市計画の容積率(400%)」の2つを比較して、低い方(360%)が、容積率の上限となります。
ですので、延べ面積は、「400㎡×360%=1,440㎡」となります。
解答:2
問11:不動産の譲渡所得
- 不適切
相続により取得した甲土地を譲渡した場合の取得費は、被相続人(父親)が甲土地を購入したときの購入代金や購入手数料などを基に計算します。(被相続人の取得費を引き継ぐ!) - 適切
譲渡した日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えていれば、長期譲渡所得に区分されます。 - 不適切
「現在、甲土地を青空駐車場として賃貸している」と記載されていますので、軽減税率の特例の適用を受けることができません。(居住用家屋の敷地ではない!仮に家屋を取り壊していたとしても現時点で貸駐車場の用途に供しているなど!!)
解答:2
問12:土地の有効活用
(1)について
自分の土地の上に自分名義の家屋を建て、その家屋を貸した場合、所有している土地は貸家建付地として評価します。
(2)について
貸付事業用宅地等は、200㎡までの部分について50%の減額が受けられます。
(3)について
固定資産税における小規模住宅用地(住宅用地で住宅1戸当たり200㎡以下の部分)の課税標準については、課税標準となるべき価格の6分の1の額とする特例があります。
解答:2