2019年1月に実施されましたFP2級実技試験(生保顧客資産相談業務)の第1問の問題と解説です。
目次
第1問:FP2級生保顧客(2019年1月実技試験)
次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。
《設例》 X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(56歳)は、妻Bさん(53 歳)および長男Cさん(19歳)の3人家族である。Aさんは、大学卒業後、X社に入社し、以後、現在に至るまで同社に勤務している。 (1)Aさん(昭和37年2月21日生まれ・56歳・会社員)
(2)妻Bさん(昭和40年8月10日生まれ・53歳・パート従業員)
(3)長男Cさん(平成11年5月10日生まれ・19歳・大学1年生)
※妻Bさんおよび長男Cさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。 |
問1:公的年金制度の各種取扱い
Mさんは、Aさんに対して、公的年金制度の各種取扱い等について説明した。Mさんが説明した次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには× 印をつけなさい。
- 「Aさんは、昭和36年4月2日以後の生まれですので、特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として、65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給することになります」
- 「Aさんは、60歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給を請求することができます。仮に、Aさんが62歳0カ月で老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給を請求した場合の減額率は12.0%となります」
- 「国民年金の第3号被保険者である妻Bさんは、国民年金の付加保険料を納付することができます。仮に、付加保険料を60月納付した場合、65歳から受給する老齢基礎年金の額に付加年金として12,000円が上乗せされます」
問2:老齢基礎年金及び老齢厚生年金
《設例》の<Aさんとその家族に関する資料>および下記の<資料>に基づき、次 の(1)、(2)を求めなさい。なお、年金額は平成30年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。
(1)原則として、Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の年金額
(2)原則として、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の年金額
問3:国民年金の学生納付特例制度
Mさんは、Aさんに対して、長男Cさんに係る国民年金の学生納付特例制度(以下、「本制度」という)等について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)~(4)に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のイ~ヌのなかから選び、その記号を答えなさい。
- 「本制度は、国民年金の第1号被保険者で大学等の所定の学校に在籍する学生について、( 1 )の前年所得が一定額以下の場合、被保険者等からの申請に基づき、国民年金保険料の納付を猶予する制度です」
- 「本制度の適用を受けた期間の保険料は、( 2 )年以内であれば、追納することができます。ただし、本制度の承認を受けた期間の翌年度から起算して、( 3 )年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます」
- 「長男Cさんが本制度を利用しなかった場合、Aさんは長男Cさんの国民年金保険料を連帯して納付する義務を負います。保険料の納付方法には、納付書による現金納付や口座振替のほかに、クレジットカードによる納付があります。一定期間の保険料を前納することもでき、前納による割引額が最も大きいのは( 4 )による納付になります」
<語句群> イ.2 ロ.3 ハ.4 ニ.5 ホ.10 ヘ.15 ト.学生本人 チ.学生本人およびその世帯主 リ.口座振替 ヌ.クレジットカード |
解答・解説
問1:公的年金制度の各種取扱い
1 | 〇 | 昭和36年4月2日以後に生まれた男性は、特別支給の老齢厚生年金の支給はありません。 女性であれば、昭和41年4月2日(5年遅れ)以後に生まれた場合には、特別支給の老齢厚生年金の支給はありません。 |
2 | × | 減額率は、「0.5%×36ヵ月(繰り上げた月数り)=18%」となります。 |
3 | × | 国民年金第1号被保険者及び65歳未満の任意加入被保険者が、付加保険料を納付することができます。(第3号被保険者はダメ!) |
解答:1.〇2.×3.×
問2:老齢基礎年金及び老齢厚生年金
(1)について
779,300円×454月(480月-未加入期間26月)÷40月(20歳~60歳)=737,087.9…→737,088円(円未満四捨五入)
※2020年9月の試験からは、「779,300円(2020年5月の試験では780,100円)」ではなく、「781,700円」となります。
(2)について
aについて
30万円×7.125÷1,000×228月=487,350円
bについて
50万円×5.481÷1,000×226月=619,353円
報酬比例部分の額は、「487,350円+619,353円=1,106,703円」となります。
↓
経過的加算額は、「1,625円×454月-779,300円×454月÷480月=662.0…円→662円(円未満四捨五入)」となります。
※2020年9月の試験からは、「1625円(2020年5月は1626円)」ではなく、「1,630円」となります。また、「779,300円(780,100円)」ではなく、「781,700円」となります。
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加給年金額について
Aさんは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(原則)で、65歳以後の老齢厚生年金を受給できるようになった時点で、生計を維持している65未満の妻Bさんがいますので、老齢厚生年金に加給年金額が加算されます。
↓
上記の結果、老齢厚生年金の年金額は、「1,106,703円+662円+389,800円=1,497,165円」となります。
※2020年9月の試験から、加給年金額は、「389,800円(2020年5月は390,100円)」ではなく、「390,900円」となります。
解答:(1)737,088円(2)1,497,165円
問3:国民年金の学生納付特例制度
(1)について
第1号被保険者で一定の大学等の学生である者は、本人の前年の所得金額が一定金額以下であれば、申請により、在学中の国民年金保険料の納付が猶予されます。これが、学生納付特例制度です。
(2)と(3)について
本制度の適用を受けた期間の保険料は、10年以内であれば、追納することができます。ただし、本制度の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
(4)について
保険料を前納することもでき、前納による割引額が最も大きいのは口座振替による納付になります。
解答:(1)ト(2)ホ(3)ロ(4)リ