2018年9月に実施されましたFP2級実技試験(資産設計提案業務)の第2問の問題と解説です。
目次
第2問:FP2級資産設計(2018年9月実技試験)
下記の問3~問5について解答しなさい。
問3:最終利回り
下記<資料>の債券を発行日から4年後に額面100万円分取得し、その後償還まで保有した場合の最終利回り(単利・年率)を計算しなさい。なお、手数料や税金等については考慮しないものとし、計算結果については小数点以下第4位を切り捨てること。
<資料> 表面利率:年0.60% 買付価格:額面100円につき103.20円 発行価格:額面100円につき100.00円 償還期間:10年 償還までの残存年数:6年 |
問4:株式の投資指標
下記<資料>に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。
- QX株式会社とQY株式会社の株価をPER(株価収益率)で比較した場合、( ア )株式会社の方が割安といえる。
- QX株式会社とQY株式会社の効率性をROE(自己資本利益率)で比較した場合、( イ )株式会社の方が効率的に利益を上げているといえる。
- (ア)QX (イ)QX
- (ア)QX (イ)QY
- (ア)QY (イ)QX
- (ア)QY (イ)QY
問5:譲渡所得
下記<資料>は、千田さんが同一の特定口座内で行ったPA株式会社の株式の取引に係る明細である。千田さんが2018年9月3日に売却した1,000株について、譲渡所得の取得費の計算の基礎となる1株当たりの取得価額として、正しいものはどれか。なお、計算結果について円未満の端数が生じる場合には切り捨てること。
<資料>
- 500円
- 560円
- 580円
- 620円
解答・解説
問3:最終利回り
表面利率+(額面100円-購入価格)÷残存期間=A(収益)
A÷購入価格×100=最終利回り(%) 0.60%+(100円-103.20円)÷6年=0.0666・・・
0.0666÷103.20円×100=0.064%(小数点以下第4位を切り捨て)
解答:0.064%
問4:株式の投資指標
(ア)について
PER(倍)=株価÷1株当たりの利益
同規模・同一業種の銘柄間においては、一般に、PERの低い銘柄が割安と考えられます。
QX株式会社:5,200円÷245円=21.22倍
QY株式会社:27,880円÷1,450円=19.22倍
よって、QY株式会の方が割安と考えられます。
(イ)について
ROE(%)=税引後純利益÷自己資本※×100
※自己資本は、貸借対照表において、資産の部-負債の部の差額である「純資産の部」となります。
ROEの計算において、自己資本の額が一定の場合、当期純利益が増えればROEの値が高くなり、ROEが高いほど、会社が自己資本を活用して効率よく利益を上げていることを示します。
QX株式会社:245円÷1,060円×100=23.11%
QY株式会社:1,450円÷6,420円×100=22.58%
よって、QX株式会社の方が効率的に利益を上げているといえます。
解答:(ア)QY(イ)QX
問5:株式の購入
株式等の譲渡による譲渡所得の金額及び雑所得の金額の計算において、同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入し、その株式等の一部を譲渡した場合の取得費は、「(A+B)÷(C+D)」により求めた1単位当たりの金額を基に計算します。
A=最初に購入した時の株式等の購入価額の総額
B=最初に株式等を購入した後から譲渡時までの購入価額の総額
C=Aの株式総数
D=Bの株式総数
ですので、「(500万円※1+1,240万円※2)÷(10,000株※3+20,000株※4)=580円」が、1株当たりの取得価額となります。
※1:1,000株×5,000円=500万円
※2:2,000株×6,200円=1,240万円
※3:そもそも1,000株ですが、「1株を10株に分割」しますので、1,000株×10倍=10,000株
※4:そもそも2,000株ですが、「1株を10株に分割」しますので、2,000株×10倍=20,000株
解答:580円