2021年1月に実施されましたFP3級実技試験(個人資産相談業務)の第1問の問題と解説です。
第1問:2021年1月FP3級実技試験(個人資産)
次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。
《設例》 会社員のAさん(39歳)は、妻Bさん(38歳)および長女Cさん(7歳)との3人暮らしである。Aさんは、公的年金制度の遺族給付の額や公的介護保険の給付内容等を確認したいと思っている。そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。 <Aさんの家族構成>
※妻Bさんおよび長女Cさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。 |
問1
現時点(2021年1月24日)においてAさんが死亡した場合、妻Bさんに支給される遺族基礎年金の年金額(2020年度価額)は、次のうちどれか。
- 781,700円
- 781,700円+224,900円=1,006,600円
- 781,700円+224,900円+75,000円=1,081,600円
問2
Mさんは、現時点(2021年1月24日)においてAさんが死亡した場合に妻Bさんに支給される遺族厚生年金の金額等について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄(1)~(3)に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
「遺族厚生年金の額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( 1 )に相当する額になります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が( 2 )に満たないときは、( 2 )とみなして年金額が計算されます。 また、長女Cさんの18歳到達年度の末日が終了すると、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権は消滅します。その後、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に( 3 )が加算されます」 |
- (1)3分の2 (2)300月 (3)加給年金額
- (1)4分の3 (2)240月 (3)加給年金額
- (1)4分の3 (2)300月 (3)中高齢寡婦加算
問3
Mさんは、公的介護保険(以下、「介護保険」という)の保険給付について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
- 「介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に区分されます」
- 「第2号被保険者は、要介護状態となった原因が特定疾病であるか否かにかかわらず、介護給付を受けることができます」
- 「第2号被保険者が介護給付を受けた場合、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の3割を自己負担する必要があります」
解答・解説
問1
解答:2
遺族基礎年金の基本額は781,700円で、子の加算額は224,900円(第3子以降は、1人につき75,000円)です。
※子とは「18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子」「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子」のことをいいます。
↓
本問では、子がCの1人ですので、
子のある配偶者Bが受給することができる遺族基礎年金の年金額は、
「781,700円+224,900円=1,006,600円」となります。
問2
解答:3
(1)と(2)について
遺族厚生年金の年金額(中高齢寡婦加算額および経過的寡婦加算額を除く)は、原則として、死亡した被保険者の厚生年金保険被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額である。
なお、被保険者期間が、300月未満の場合は、300月とみなして計算します。
(3)について
子がいる妻の場合、「40歳時点で遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給していたが、子が18歳年度末(一定の障害状態にある子は20歳)に達したことで、遺族基礎年金を受給することができなくなったこと」などの要件を満たせば、妻が受ける遺族厚生年金には、65歳になるまで、中高齢寡婦加算額が加算されます。
問3
解答:1
- 適切
介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に区分されます。 - 不適切
40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、初老期における認知症や脳血管疾患などの特定疾病により、要介護状態または要支援状態と認定された場合に、介護給付を受けることができます。 - 不適切
第2号被保険者が介護給付を受けた場合、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の1割を自己負担する必要があります。