2017年5月に実施された2級ファイナンシャルプランナー(FP)の学科試験問題(リスク管理)と解説を掲載しています。
間違えた問題は、必ず、復習していきましょう。
目次
リスク管理問題(2017年5月)
【問題11】保険業法
保険業法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、契約概要等の重要事項に加え、保険金の支払条件など顧客が保険加入の判断の参考となる情報の提供を行わなければならない。
- 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、顧客の意向を把握し、意向に沿う保険契約を提案し、顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供を行わなければならない。
- 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、契約者または被保険者の要請に応じて、保険料の割引や割戻しを行わなければならない。
- 複数の保険会社の保険商品を販売する代理店(乗合代理店)は、顧客に対し、取扱商品の中から特定の保険会社の商品を推奨販売する場合、原則として、推奨した商品をどのように選別したのか、その理由についても説明しなければならない。
【問題12】生命保険の商品性
生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 定期保険特約付終身保険(更新型)では、定期保険特約を同じ保障内容で自動更新した場合、更新後の保険料は変わらない。
- 逓減定期保険では、保険期間を通じて、期間の経過に伴い所定の割合で保険金額が逓減していくが、保険料は一定である。
- 長期平準定期保険では、保険期間を通じて、保険料および死亡保険金は一定である。
- 養老保険では、被保険者が保険期間満了時まで生存している場合、死亡保険金と同額の満期保険金を受け取ることができる。
【問題13】個人年金保険
個人年金保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 確定年金では、年金受給開始前に被保険者が死亡した場合、被保険者の相続人が契約時に定められた年金受取総額を死亡給付金として受け取ることができる。
- 保証期間付終身年金では、保証期間中に被保険者(=年金受取人)が死亡した場合、被保険者の相続人が残りの保証期間に対応する年金または一時金を受け取ることができる。
- 外貨建て個人年金保険では、円換算特約を付加することで、為替変動があっても円貨で受け取る場合の年金受取総額が既払込保険料相当額を下回ることはない。
- 変額年金では、解約した場合に受け取る解約返戻金の額が運用実績によって増減するが、その額は既払込保険料相当額が最低保証されている。
【問題14】総合福祉団体定期保険
契約者(=保険料負担者)を企業とする総合福祉団体定期保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 総合福祉団体定期保険は、従業員の遺族の生活保障を主たる目的とした保険であり、役員を被保険者とすることはできない。
- 総合福祉団体定期保険の保険期間は、1年から10年の範囲内で被保険者ごとに設定することができる。
- ヒューマン・ヴァリュー特約は、従業員の死亡等による企業の経済的損失に備えるための特約であり、特約死亡保険金の受取人は企業に限定されている。
- 災害総合保障特約は、交通事故などの不慮の事故による災害時に障害・入院給付金が支払われる特約であり、給付金の受取人は企業に限定されている。
【問題15】生命保険の税金
生命保険の税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれも契約者(=保険料負担者)、保険金受取人、年金受取人は個人であるものとする。
- 身体の傷害または疾病を原因とする入院により、医療保険の被保険者が受け取った入院給付金は、非課税である。
- 契約者と被保険者が同一人である終身保険契約で、相続人以外の者が受け取った死亡保険金は相続税の課税対象となり、相続税における生命保険金等の非課税規定(相続税法第12条の「相続税の非課税財産」の規定)が適用される。
- 一時払い終身保険を契約から5年以内に解約した場合に受け取る解約返戻金は、一時所得として所得税・住民税の課税対象となる。
- 個人年金保険において契約者と年金受取人が異なる場合、年金受取人は年金支払開始時に年金受給権を取得したものとみなされ、当該受給権については贈与税の課税対象となる。
【問題16】保険料の経理処理(法人)
契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険契約の保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとし、いずれも保険料は毎月平準払いで支払われているものとする。
- 被保険者が役員、保険金受取人が法人である終身保険の保険料は、その全額を資産に計上する。
- 被保険者が役員・従業員全員、死亡給付金受取人が被保険者の遺族、年金受取人が法人である個人年金保険の保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金に算入することができる。
- 被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人である養老保険の保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金に算入することができる。
- 被保険者が役員、保険金受取人が法人である逓増定期保険では、保険期間のうち所定の前払期間までは支払保険料の一部を資産に計上し、前払期間経過後は資産計上された累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金に算入することができる。
【問題17】自動車保険(任意加入)
任意加入の自動車保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約は考慮しないものとする。
- ノンフリート等級別料率制度は、契約者の前契約の有無や事故歴に応じて1等級から20等級に区分し、等級ごとに保険料の割増・割引を行う制度である。
- 対物賠償保険では、被保険者が被保険自動車の運転中の事故により他の自動車に損害を与えた場合、損害賠償として支払われる保険金の額は、被害者の過失割合に応じて減額される。
- 人身傷害保険では、被保険者が被保険自動車の運転中に単独事故を起こして後遺障害を負った場合は、補償の対象とならない。
- 対人賠償保険では、被保険者が被保険自動車の運転中の事故により同居している自分の子にケガをさせた場合は、補償の対象とならない。
【問題18】傷害保険
傷害保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約は考慮しないものとする。
- 普通傷害保険では、就業中に発生した事故によるケガは補償の対象とならない。
- 普通傷害保険では、海外旅行中の事故によるケガは補償の対象とならない。
- 国内旅行傷害保険では、旅行中に発生した地震、噴火またはこれらによる津波によるケガは補償の対象とならない。
- 海外旅行(傷害)保険では、旅行の行程にある日本国内の移動中の事故によるケガについては補償の対象とならない。
【問題19】第三分野保険の商品性
第三分野の保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものどれか。
- ガン保険の入院給付金には、1回の入院での支払限度日数や保険期間を通じて累計した支払限度日数は定められていない。
- 特定(三大)疾病保障定期保険では、保険期間中に特定疾病保険金の支払事由に該当せずに死亡した場合、死亡保険金が支払われる。
- 介護保険では、被保険者が公的介護保険の介護サービスを利用した場合の自己負担額を限度に介護年金が支払われる。
- リビング・ニーズ特約は、被保険者の余命が6ヵ月以内と判断された場合に、死亡保険金の一部または全部のうち保険会社が定めた金額の範囲内で生前に請求することができる特約である。
【問題20】損害保険によるリスク管理
損害保険を活用した家庭のリスク管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 地震を原因として自宅が倒壊する場合に備えて、地震保険が付帯された火災保険を契約した。
- 国内旅行中の食事が原因で細菌性食中毒を発症する場合に備えて、国内旅行傷害保険を契約した。
- 飼い犬が他人にかみついてケガを負わせて法律上の賠償責任を負担する場合に備えて、個人賠償責任補償特約が付帯された家族傷害保険を契約した。
- 勤務している会社を定年退職して再就職後の収入が減少する場合に備えて、所得補償保険を契約した。
リスク管理解答・解説
問題12、問題15、問題17、問題18、問題19、問題20の解答解説につきましては、合格セット購入者専用ページに掲載しています。合格セット購入者の方は、必ず、チェックしてください。
【問題11】保険業法
- 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、契約概要等の重要事項に加え、保険金の支払条件・保険期間・保険金額など顧客が保険加入の判断の参考となる情報の提供を行わなければなりません。この問題は、「情報提供義務の導入」からの出題です。
- 保険募集人は、顧客と保険契約を締結する際、原則として、顧客の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等の提案、当該保険契約の内容の説明及び保険契約の締結等に際しての顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供を行わなければなりません。この問題は、「意向把握義務の導入」からの出題です。
- 顧客と保険契約を締結する際、保険契約者又は被保険者に対して、保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為は、禁止されています。
- 複数の保険会社の保険商品を販売する代理店(乗合代理店)は、顧客に対し、取扱商品の中から特定の保険会社の商品を推奨販売する場合、原則として、提案の理由等を説明しなければなりません。顧客の意向に沿った保険契約を選別するか否かにより、説明内容が異なります。
A.3
【問題13】個人年金保険の商品性
- 確定年金では、年金受給開始前に被保険者が死亡した場合、既払込保険料相当額が死亡給付金として受け取ることができます。
- 保証期間付の終身年金は、保証期間中(10年など)は生死に関係なく年金を受け取ることができ、その後は被保険者が生存している限り一生涯にわたり年金を受け取ることができます。保証期間中に被保険者(=年金受取人)が死亡した場合、残りの保証期間に対応する年金または一時金が相続人に支払われます。
- 外貨建て個人年金保険において、死亡給付金や年金を円貨で受け取る場合、為替の変動によっては死亡給付金額や年金額等が支払保険料相当額を下回ることがある。
円換算支払特約を付加することにより、保険金等を円貨で受け取ることができます。円貨で受け取る場合、為替相場の変動による影響を受けることになり、為替相場の影響によっては、為替差損または為替差益が発生する可能性がある。 - 変額年金では、解約した場合に受け取る解約返戻金の額が運用実績によって増減することになります。ただし、解約返戻金は、基本的に、最低保証されません。
A.2
【問題14】総合福祉団体定期保険の商品性
- 総合福祉団体定期保険は、法人の従業員・役員の遺族の生活保障を主たる目的とした保険であり、当然、役員も被保険者とすることができます。
総合福祉団体定期保険は、企業などの団体が保険契約者となり、役員・従業員などが全員加入する必要があります。なお、加入に際し、役員・従業員の同意が必要となります。 - 総合福祉団体定期保険は、保険期間1年の団体保険です。
- ヒューマン・ヴァリュー特約は、役員・従業員の死亡等により、企業が負担する諸費用を保障するために付加する特約です。なお、死亡保険金の受取人は、契約者である企業に限定されています。
- 災害総合保障特約を付加することにより、不慮の事故により障害を受けたときや入院したときに、給付金を受け取ることができます。なお、給付金の受取人は、被保険者である従業員等とすることもできます。
A.3
【問題16】保険料の経理処理(法人)
- 保険金受取人が法人の場合、主契約の保険料は、資産計上します。
- 死亡給付金の受取人が、被保険者の遺族で、年金の受取人が、法人である場合、支払った保険料の額のうち、その90%に相当する金額は、資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。ただし、役員等のみを被保険者としている場合には、当該残額は、役員等に対する給与とします。
- 死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人である養老保険の保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金に算入することができます。
- 被保険者が役員、保険金受取人が法人である逓増定期保険では、保険期間のうち所定の前払期間までは支払保険料の一部を資産に計上し、前払期間経過後は資産計上された累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金に算入することができます。
A.2