【2019年1月FP3級学科試験】問38:失火責任法及び民法

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2019年1月に実施されましたFP3級学科試験の問38の問題(失火責任法と民法)と解答・解説です。

問題38:失火責任法

次の記述の( )内にあてはまる最も適切な文章、語句、数字またはそれらの組合せを1~3のなかから選びなさい。

借家人が失火により借家と隣家を焼失させてしまった場合、借家人に重大な過失が認められないときは、民法および失火の責任に関する法律の規定上、借家の家主に対する損害賠償責任を( 1 )、隣家の所有者に対する損害賠償責任( 2 )。

  1. (1)負うが   (2)は負わない
  2. (1)負い    (2)も負う
  3. (1)負わないが (2)は負う

【解答・解説】

借家人に重過失がない!ということであれば、失火責任法上、隣家の所有者に対する損害賠償責任は負わないことになります。

問38は、ここだけで、1が正解!と導き出したい問題です。

家主は、借家人に損害賠償の請求をすることができるのかどうかが、問題となってきます。

そもそも、

民法709条において、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定されています。

上記に記載している過失は、重過失を指しているのではなく、軽過失も含まれています。

これは、不法行為責任の話となりますが、失火責任法上、民法709条の規定が適用されないことになります。

つまり、不法行為に基づいて、家主(賃貸人)は、借家人に対して、損害賠償の請求をすることができません。

しかし、

そもそも、借家人は、家主に対して、借りた家を返す義務(賃借物返還義務)を負っていますが、焼失しましたので、返すことができなくなりました。つまり、債務の履行が不能(債務不履行)となりました。

失火責任法は、債務不履行による損害賠償については適用がありませんので、

借家人に重過失が認められなくても、債務不履行(賃借物返還義務の履行不能)に基づいて、

家主は、借家人に対し、損害賠償の請求をすることができます。

解答:1

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