2018年5月に実施されました2級FP学科試験の問45の問題(借家権:借地借家法)と解答・解説です。
問45 借家権:借地借家法
【問題】
借地借家法の建物の賃貸借に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、同法における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。
- 期間の定めがある普通借家契約における賃借人から更新しない旨の通知は、賃借人に正当の事由があると認められるときでなければ、することができない。
- 普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができる。
- 賃貸借期間が1年以上の定期借家契約の場合、賃貸人は、原則として、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に賃借人に対して契約が終了する旨の通知をしなければ、契約期間満了での終了を賃借人に対抗することができない。
- 定期借家契約において、賃貸人の承諾を得て賃借人が設置した造作について、賃借人が賃貸人にその買取りを請求しない旨の特約をすることができる。
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【解答・解説】
- 不適切。
賃貸人から更新拒絶の通知をする場合、一定の正当事由がない限り、更新したものとみなされます。一方、賃借人から更新拒絶を通知すれば、正当事由がなくても、更新されません。 - 適切。
民法の規定では、建物の賃借権の登記があれば、例えば、賃貸人から建物の所有権を取得した第三者に対抗することができます。ただし、賃借権の登記については、賃貸人は、登記に協力する義務がなく、必ずしも、登記ができるわけではありません。
そこで、借地借家法の規定では、賃貸人から建物の引渡しを受ければ、賃貸人から建物の所有権を取得した第三者に対抗することができます。 - 適切。
存続期間の定めがある場合、賃貸人や賃借人が、建物の賃貸借を更新したくないときには、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に、相手方に対して更新拒絶のための通知をする必要があります。 - 適切。
「造作買取請求権を行使しない旨」の特約を定めた場合、その特約は、有効となります。
借地借家法は、不動産の借主の保護のために規定されています。しかし、造作買取請求権の規定については、借主に有利な規定とまではいえません。
よって、この特約は、有効となります。
解答:1
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