2級個人資産相談業務(実技)~問題解説

FP2級・3級試験教材

専用ページ内にあります実技対策問題の相続・事業承継編の一部のみを掲載しています。

第1問

次の設例に基づいて、下記の各問(問1~問3)に答えなさい。

《設例》

非上場企業であるX株式会社(以下、「X社」という)の代表取締役社長であったAさんは、×1年12月22日(火)に病気により79歳で死亡した。Aさんは、自宅に自筆証書遺言を残しており、相続人等は自筆証書遺言の内容に従い、Aさんの財産を下記のとおり取得する予定である。また、妻Bさんは、死亡保険金2,500万円およびX社から死亡退職金5,000万円を受け取っている。

<Aさんの親族関係図>

<各人が取得する相続財産(みなし相続財産を含む)>

  • 妻Bさん(75歳)
    現金および預貯金 ···· 1,000万円
    自宅(敷地330㎡)···· 1,000万円(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の金額)
    自宅(建物) ·········· 500万円(固定資産税評価額)
    死亡保険金 ··········· 2,500万円(契約者(=保険料負担者)・被保険者はAさん、死亡保険金受取人は妻Bさん)
    死亡退職金 ··········· 5,000万円
  • 長男Cさん(52歳)
    現金および預貯金 ···· 7,000万円
    X社株式 ·············· 2億1,000万円(相続税評価額)
  • 長女Dさん(50歳)
    現金および預貯金 ···· 2,000万円
  • 孫Eさん(24歳)
    現金および預貯金 ···· 1,000万円

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問1

Aさんの相続等に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選びなさい。

  1. 「Aさんの相続が開始し、相続人が自宅に保管されていたAさんの自筆証書遺言を発見した場合、相続人は、遅滞なく、自筆証書遺言を( ① )に提出して、その検認を請求しなければなりません」
  2. 「Aさんが×1年分の所得税および復興特別所得税について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ② )カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません」
  3. 「Aさんに係る相続税の申告書の提出期限は、原則として、×2年( ③ )になります。申告書の提出先は、Aさんの(死亡時の)住所地を所轄する税務署長です」

<語句群>

イ.3 ロ.4 ハ.10 ニ.公証役場

ホ.家庭裁判所 ヘ.法務局 ト.9月22日(水)

チ.10月22日(金) リ.11月22日(月)

問2

Aさんの相続等に関する次の記述1~3について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。

  1. 「妻Bさんが受け取った死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。妻Bさんが受け取った死亡保険金2,500万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は500万円となります」
  2. 「長女Dさんが遺留分に相当する財産を受け取ることができない場合、長女Dさんは、長男Cさんに対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。遺留分侵害額請求権は、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に行使しない場合、時効により消滅します」
  3. 「孫Eさんは、相続税額の2割加算の対象になります」

問3

相続人等は《設例》の記載のとおり、Aさんの財産を取得した。Aさんの相続に係る相続税の総額を計算した下記の表の空欄①~④に入る最も適切な数値を答えなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

解答・解説

問1

①について

Aさんの相続が開始し、相続人が自宅に保管されていたAさんの自筆証書遺言を発見した場合、相続人は、遅滞なく、自筆証書遺言を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。

②について

Aさんが×1年分の所得税および復興特別所得税について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません。

③について

相続税の申告書の提出期限は、原則として、10月22日(金)となります。(10カ月以内)

解答:①ホ ②ロ ③チ

問2

  1. ×
    非課税金額は、「500万円×3人(法定相続人の数)=1,500万円」となりますので、相続税の課税価格に算入される金額は「2,500万円-1,500万円=1,000万円」となります。
  2. ×
    遺留分の侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に行使しないと時効により消滅することになります。

  3. 孫Eさんは、代襲相続人ではありませんので、相続税額の2割加算の対象になります。

問3

①について

現金および預貯金:1,000万円

自宅(敷地330㎡):1,000万円

自宅(建物):500万円(固定資産税評価額)

死亡保険金:1,000万円

死亡退職金:5,000万円-500万円×3人=3,500万円

上記を合算した金額7,000万円が、Bさんに係る課税価格となります。

なお、課税価格の合計額は、3億8,000万円です。

②について

基礎控除額は、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となります。

なお、課税遺産総額は、「3億8,000万円-4,800万円=3億3,200万円」となります。

③と④について

  • Bさんの相続税:3億3,200万円×2分の1=1億6,600万円×40%-1,700万円=4,940万円
  • Cさんの相続税:3億3,200万円×4分の1=8,300万円×30%-700万円=1,790万円
  • Dさんの相続税:Cさんと同様、1,790万円

上記の金額を合算した金額8,520万円が相続税の総額となります。

解答:①7,000 ②4,800 ③1,790 ④8,520

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