長期平準定期保険の経理処理【FP過去問ポイント解説】

FP2級・3級試験教材

2019年6月28日に「定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い」に関する通達が新設され、法人が支払う定期保険等の保険料の取扱いが変更されました。

この通達の取扱いは、2019年7月8日以後(解約返戻金がなく(ごくわずかも含む。)、保険料の払込期間が保険期間より短いものは、10月8日以後)の定期保険等の保険料について適用されことになります。

このページでは、改正前(2019年7月7日以前)の長期平準定期保険の取扱いについて解説していきます。

上記の通達(改正後)の解説については、教材購入者専用ページにありますポイント解説ページで行っています。

長期平準定期保険とは

  • 保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超えている
  • 保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えている
  • 逓増定期保険に該当していない。

これが、長期平準定期保険です。

長期平準定期保険の経理処理

【6割経過まで:前半6割】

保険期間の開始の時から当該保険期間の6割に相当する期間までは、支払保険料の2分の1を前払保険料として資産計上し、残りの2分の1を損金の額に算入します

例えば、保険料200万円を支払った場合の仕訳は以下のとおりです。

借方金額貸方金額
前払保険料100万円現金・預金200万円
支払保険料100万円  

【解約時】

保険契約を中途解約した場合には、資産計上していた前払保険料を取り崩し(仕訳で言いますと、貸方にもっていく!)、解約返戻金との差額を雑収入(益金・仕訳で言いますと貸方)又は雑損失(損金・仕訳で言いますと借方)として処理することになります。

「前払保険料の額(資産計上額)<解約返戻金の額」の場合、差額を雑収入として益金の額に算入します。

「前払保険料の額(資産計上額)>解約返戻金の額」の場合、差額を雑損失として損金の額に算入します。

例えば、前払保険料の額(資産計上額)が100万円で、解約返戻金200万円を受け取ったとします。この場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方金額貸方金額
現金・預金200万円前払保険料100万円
  雑収入100万円

例えば、前払保険料の額(資産計上額)が100万円で、解約返戻金80万円を受け取ったとします。この場合の仕訳は、以下のとおりです。

借方金額貸方金額
現金・預金80万円前払保険料100万円
雑損失20万円  

【6割経過後・後半4割】

6割経過後は当年分の支払保険料の全額を損金の額に算入します

そして、資産に計上されていた額を期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入します。(後半4割の期間で均等に取り崩す!)

【具体例】

例えば、「保険期間50年、年間保険料300万円」だったします。

前半6割である30年間についての仕訳は、以下のとおりです。

借方金額貸方金額
前払保険料150万円現金・預金300万円
支払保険料150万円  

後半4割である20年間についての仕訳は、以下のとおりです。

借方金額貸方金額
支払保険料525万円現金・預金300万円
  前払保険料225万円

貸方に記載している現金・預金については、当年に支払った保険料の金額です(当年分の支払保険料300万円は全額損金算入)

貸方に記載している前払保険料については、以下の計算によります。

前払保険料として資産に計上していた額は、「1年間の資産計上額150万円×30年間=4,500万円」となります。

この4,500万円を後半の期間である20年間で均等に取り崩すことになりますので、「4,500万円÷20年間=225万円」となります。(取り崩した額225万円を損金算入)

上記の結果、支払保険料として損金の額に算入される金額は、「300万円+225万円=525万円」となります。

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