2018年(平成30年)9月に実施されました2級FP学科試験の問14(法人の経理処理)の問題と解答・解説です。
問14:法人の経理処理
契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険契約の保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとし、いずれも保険料は毎月平準払いで支払われているものとする。
- 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険では、保険期間のうち前半6割に相当する前払期間が経過するまでは支払保険料の2分の1相当額を資産に計上し、前払期間経過後は資産計上された額を期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入することができる。
- 被保険者が役員・従業員全員、死亡給付金受取人が被保険者の遺族、年金受取人が法人である個人年金保険の支払保険料は、その2分の1相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
- 被保険者が特定の役員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、全額を資産に計上する。
- 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、資産に計上していた保険料積立金等との差額を雑収入または雑損失として計上する。
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【解答・解説】
- 適切
長期平準定期保険は、保険加入時から保険期間の6割に相当する期間を経過するまでは、支払保険料の1/2を資産(前払保険料として処理。)計上し、1/2を損金に算入します。
後の保険期間の4割に相当する期間では、支払保険料の全額を損金に算入し、それに加え、上記で資産計上した金額を残っている期間で均一に取り崩し、損金に算入します。 - 不適切
法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族も含みます。)を被保険者とする個人年金保険の場合、法人が保険料を支払ったときの経理処理は、以下のとおりになります。
<死亡給付金及び年金の受取人が、法人である場合>
支払った保険料の額は、資産計上します。
<死亡給付金及び年金の受取人が、被保険者又はその遺族である場合>
支払った保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とします。
<死亡給付金の受取人が、被保険者の遺族で、年金の受取人が、法人である場合>
支払った保険料の額のうち、その90%に相当する金額は、資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。ただし、役員等のみを被保険者としている場合には、当該残額は、役員等に対する給与とします。 - 適切
養老保険の経理処理は以下のとおりです。 - 適切
保険金受取人が法人の場合、主契約の保険料は、資産計上します。
法人が、解約返戻金を受け取った場合、法人が、資産として保険料積立金等を計上しているときには、雑収入(解約返戻金>資産計上額の場合における差額)として益金に算入するか、雑損失(解約返戻金<資産計上額の場合における差額)として損金に算入します。
なお、法人が資産計上していないときには、解約返戻金全額を雑収入として益金に算入します。
- 適切
解答:2