相続財産の評価テキスト

相続財産の評価について見ていきます。

この分野は、本試験で出題される可能性が高いので、じっくりとこのテキストをマスターしてください。

このページに掲載している2級追加論点とは、2級を目指す方だけが学習してください。ですので、3級を目指す方は、学習する必要はありません。

~注意~

無料版のテキストは、一部の論点及び解説を省略しています。

ですので、教材購入者の皆さんは、必ず、教材購入者専用ページ内にありますテキスト完成版をご利用ください。

宅地の評価

1画地の宅地ごとに評価します。

宅地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。

路線価方式

市街地にある宅地は、通常、路線価方式で評価します。

路線価とは、路線(道路)に面する宅地の1平方メートル当たりの千円単位の価額のことです。

路線価を基として評価する方式のことを路線価方式といいます。

1.一路線に面する宅地の評価額

一路線に面する宅地の評価額は、次の算式により求めることができます。

路線価×奥行価格補正率×地積=自用地の評価額

※自用地とは、自己が使用している宅地のことです。

※奥行価格補正率は、原則、正面路線に対し垂直的な奥行距離により算定します。地区と奥行距離により数値(0.80~1.00)が異なります。

奥行価格補正率

上記の図の宅地の評価額は、以下の算式により求めることができます。

奥行価格補正率は、普通商業・併用住宅地区で奥行距離が30mの場合、「1.00」となります。

300,000円×1.00×750平方メートル=2億2,500万円

※300の後の「C」は、借地権割合が70%であることを示しています。

2.二路線に面する宅地の評価額←2級追加論点

(普通商業・併用住宅地区)

側方路線影響加算率

上記の図の宅地の評価額は、以下の算式により求めることができます。

奥行価格補正率は、普通商業・併用住宅地区で奥行距離が40mの場合「0.94」、30mの場合「1.00」となります。

普通商業・併用住宅地区で角地の場合、側方路線影響加算率は、「0.08」となります。

二路線に面する宅地の場合、まず、正面路線価がどちらなのかを決めます

原則、各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額の高い方の路線が、正面路線価となります。

A路線:30万円×0.94(奥行価格補正率)=282,000円

B路線:20万円×1.00(奥行価格補正率)=200,000円

正面路線価:282,000>200,000円→A路線を正面路線価として評価します。

二路線に面する宅地の評価額は、次の算式により求めることができます。

{正面路線価+(側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率※) }×地積=自用地の評価額

※「地区」と「角地・準角地」により数値(0.01~0.10)が異なります。

{282,000円(正面路線価)+(20万円×1.00×0.08) }×1,200平方メートル=3億5千760万円が自用地の評価額となります。

(普通商業・併用住宅地区)

二方路線影響加算率

上記の図の宅地の評価額は、以下の算式により求めることができます。

普通商業・併用住宅地区の場合、二方路線影響加算率は、「0.05」となります。

原則、各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額の高い方の路線が、正面路線価となります。

A路線:40万円×1.00(奥行価格補正率)=40万円

B路線:30万円×1.00(奥行価格補正率)=30万円

正面路線価:40万円>30万円→A路線を正面路線価として評価します。

{正面路線価+(裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算率※) }×地積=自用地の評価額

※「地区」により数値(0.02~0.07)が異なります。

{40万円(正面路線価)+(30万円×1.00×0.05※) }×1,200平方メートル=4億9千800万円が、自用地の評価額となります。

倍率方式

倍率方式とは、固定資産税評価額に国税局長が定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式のことです。

宅地の上に存する権利

借地権

借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権のことです。

借地権の評価額は、以下の算式により求めることができます。

自用地評価額×借地権割合=借地権の評価額

※借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払うなど借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域にある借地権の価額は評価しません。

貸宅地(底地)

貸宅地(底地)とは、借地権付きの宅地の所有権のことです。

貸宅地(底地)の評価額は、以下の算式により求めることができます。

自用地評価額-借地権の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)=貸宅地(底地)の評価額

青空貸駐車場の用に供している土地の価額は、自用地としての価額により評価します。

貸家建付地

貸家建付地とは、土地の所有者が建物を建築し、その建物をほかに貸し付けている場合の宅地のことです。

自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=貸家建付地の評価額

※借家権とは、借地借家法の規定の適用を受ける建物の賃借人(借家人)が有する建物の賃借権のことです。なお、借家権割合は、30%です。

※貸家の一部に空室があるときに、賃貸割合を乗じます。空室がないときの賃貸割合は、100%です。

貸家建付借地権

貸家建付借地権とは、土地を借りた者が、その借りた土地に建物を建て、その建物を他の人に貸し付けている場合の借地権のことです。

借地権等の価額(自用地評価額×借地権割合)×(1-借家権割合×賃貸割合)=貸家建付借地権の評価額

使用貸借の評価

土地を無償で貸し付けた場合の土地の相続税評価額は、「自用地としての価額」となります。

建物等の所有を目的として土地を無償で借り受けた場合の土地の相続税評価額は、「」となります。

建物の評価

自用建物

自用建物とは、自己が使用している建物のことです。

自用建物の評価額は、以下の算式により求めることができます。

固定資産税評価額×1.0=自用建物の評価額

貸家

貸家の評価額は、以下の算式により求めることができます。

固定資産評価額×1.0×(1-借家権割合×賃貸割合)=貸家の評価額

借家権

借家権の評価額は、以下の算式により求めることができます。

固定資産評価額×1.0×借家権割合×賃貸割合=借家権の評価額

※この権利が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にあるものについては、評価しません。

小規模宅地等の評価減の特例

被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等を相続または遺贈により取得し、一定の要件を満たした場合、その宅地の評価額を減額します。

※この特例の適用を受けるためには、原則として申告期限までに分割が完了していなければなりません。ただし、原則として申告期限から3年以内に分割があれば、適用することができます。

※この特例の適用により、税額が0になった場合においても、申告は必要です。

※特定事業用宅地等と特定居住用宅地等は、併用でき、最大で合計730平方メートルについて、評価を80%減額することができます

※相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地は、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の対象から除外されます。

特定事業用宅地等

相続開始の直前において被相続人や同一生計親族の事業(貸付事業を除きます。)の用に供されていた宅地等を相続または遺贈により取得し、一定の要件等に該当する場合、400平方メートルまでの宅地等について、評価を80%減額することができます。

【被相続人の事業用宅地等】

被相続人の事業用宅地等については、上記の要件のほか、以下の要件等を満たす必要があります。

  • 被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること
  • 相続税の申告期限まで、その宅地等を有していること

【同一生計親族の事業用宅地等】

同一生計親族の事業用宅地等については、上記の要件のほか、以下の要件等を満たす必要があります。

  • その同一生計親族は、相続開始の直前から相続税の申告期限まで事業を営んでいること
  • 相続税の申告期限までその宅地等を有していること

特定居住用宅地等

相続開始の直前において被相続人や同一生計親族の居住の用に供されていた宅地等を相続または遺贈により取得し、一定の要件等に該当する場合、330平方メートルまでの宅地等について、評価を80%減額することができます。貸付事業用宅地等については、200平方メートルまでの宅地等について、評価を50%減額することができます。

【被相続人の居住用宅地等】

被相続人の居住用宅地等については、上記の要件のほか、以下の要件等を満たす必要があります。

  • 被相続人の居住用宅地等を同居親族が取得した場合、同居親族は、相続開始の時から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、相続税の申告期限までその宅地等を有していること
  • 被相続人の居住用宅地等を配偶者が取得した場合、配偶者は、上記の要件を満たす必要がありません

【同一生計親族の居住用宅地等】

同一生計親族の居住用宅地等については、上記の要件のほか、以下の要件等を満たす必要があります。

  • その同一生計親族は、相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、相続税の申告期限までその宅地等を有していること

金融資産の評価

預貯金

1.普通預金

課税時期(被相続人の死亡日等)の預金残高=評価額

2.定期預金

課税時期の預金残高+(仮に解約した場合の既経過利子-源泉徴収税額)=評価額

公社債

1.上場されている利付公社債

課税時期の最終価格+(既経過利息-源泉徴収税額)=評価額

2.上場されていない利付公社債

発行価額+(既経過利息-源泉徴収税額)=評価額

3.上場されている割引債

課税時期の最終価格=評価額

4.上場されていない割引債

発行価額+既経過償還差益=評価額

証券投資信託

1.MMFなどの日々決算型の証券投資信託の受益証券

1口当たりの基準価格×口数+未収分配金-源泉徴収税額-信託財産留保額及び解約手数料

2.上記1.以外の証券投資信託の受益証券

1口当たりの基準価格×口数-解約請求時の源泉徴収税額-信託財産留保額及び解約手数料

3.上場されている証券投資信託の受益証券

上場株式の評価方法に準じて評価します。

生命保険契約に関する権利

生命保険契約(一定の共済契約)に関する権利の評価額=相続開始日の解約返戻金の額

株式の評価

上場株式の評価

次の価額のうち最も低い価額が評価額となります。

  • 課税時期の終値
  • 課税時期の月の毎日の終値の平均額
  • 課税時期の月の前月の毎日の終値の平均額
  • 課税時期の月の前々月の毎日の終値の平均額

【補足:ここも覚える】←2級追加論点

課税時期に終値がない場合は、課税時期の前日以前または翌日以後の終値のうち、課税時期に最も近い日の終値を課税時期の終値とします。

課税時期に最も近い日の終値が、2つあるときは、その2つの平均額を課税時期の終値とします。

取引相場のない株式の評価

取引相場のない株式評価図

  • 取引相場のない株式を同族株主が取得した場合、原則的評価方式により評価します。原則的評価方式には、純資産価額方式、類似業種比準方式、併用方式があります。
  • 取引相場のない株式を同族株主以外の者が取得した場合、特例的評価方式(配当還元方式)により評価します。

  • 取引相場のない株式を同族株主が取得し、特定会社に該当する場合、純資産価額方式により評価します。
  • 取引相場のない株式を同族株主が取得し、特定会社に該当しない場合、会社の規模によって、評価方法が異なります。

  • 特定会社に該当せず、大会社に該当する場合、原則、類似業種比準方式により評価します。
  • 特定会社に該当せず、中会社に該当する場合、原則、併用方式により評価します。
  • 特定会社に該当せず、小会社に該当する場合、原則、純資産価額方式により評価します。

1.純資産価額方式

(相続税評価額の総資産額-負債合計-評価差額の法人税額等相当額※)÷発行済株式総数=1株当たりの純資産価額

※(相続税評価額による純資産価額-帳簿価額による純資産価額)×37%=評価差額の法人税額等相当額

2.類似業種比準方式

「1株当たりの配当金額」、「年利益金額」、「帳簿価額により計算した純資産価額」を比準要素として評価額を決定します。

【平成29年1月から】

類似業種比準価額

※類似業種の株価は、課税時期の月・課税時期の前月・課税時期の前々月・前年平均・課税時期の属する月以前2年間平均のうち最も低いものです。

※Aは、類似業種の1株当たりの配当金額で、aは、評価会社の1株当たりの配当金額です。

※Bは、類似業種の1株当たりの年利益金額で、bは、評価会社の1株当たりの年利益金額です。

※Cは、類似業種の1株当たりの純資産価額で、cは、評価会社の1株当たりの純資産価額です。

※斟酌率については、「大会社:0.7」、「中会社:0.6」、「小会社:0.5」です。

 

3.併用方式

類似業種比準方式による評価額×L+純資産価額方式による評価額×(1-L)=1株当たりの評価額

※Lの割合(類似業種比準価額のウェィト)は、評価会社の総資産価額、従業員数、直前期末以前1年間の取引金額に応じて定められており、「中会社の大」は0.90、「中会社の中」は0.75、「中会社の小」は0.60となっています。

4.配当還元方式

(年配当金額÷10%)×(1株当たりの資本金額÷50円)=1株当たりの評価額

※年配当金額=(直前期末以前2年間の配当金額÷2)÷1株当たりの資本金額を50円とした場合の発行済株式数

※年配当金額が2円50銭未満となるときや無配のときには2円50銭として計算します。

※特別配当や記念配当などは、配当金から除きます

ゴルフ会員権の評価

課税時期の取引価格の70%に相当する金額が、取引相場のあるゴルフ会員権の評価額となります。なお、取引価格に含まれない預託金等があるときは、預託金等の評価額が加算されます。

※単にプレーすることができるだけのゴルフ会員権は、評価する必要はありません

 

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