贈与税の計算テキスト

贈与税の計算について見ていきます。

この分野は、本試験で出題される可能性が高いので、じっくりとこのテキストをマスターしてください。

~注意~

無料版のテキストは、一部の論点及び解説を省略しています。

ですので、教材購入者の皆さんは、必ず、教材購入者専用ページ内にありますテキスト完成版をご利用ください。

贈与税の課税主体と納税義務者

個人から財産をもらったときに課税される税金は、贈与税です。贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税があります。

贈与税の課税主体は、国です。

贈与により財産を取得した者が、納税義務者となります。

※贈与者は、受贈者のその年中の贈与税額のうち、贈与財産の価額に対応する部分の金額について、贈与財産の価額に相当する金額を限度として、贈与税の連帯納付義務を負います。

贈与税の課税財産

贈与税の対象となる財産には、土地建物・現金預金・有価証券などの本来の贈与財産以外にもみなし贈与財産があります。

【補足:ここも覚える】

地代や権利金を支払うことなく土地を借りることを、土地の使用貸借といいます。使用貸借の場合、贈与税は課税されません

みなし贈与財産

本来の財産ではないが、同じ経済効果があるとみなして贈与税の対象となるものの贈与のことを、みなし贈与といい、このみなし贈与により取得した財産のことを、みなし贈与財産といいます。

みなし贈与財産には、以下のものなどがあります。

1.生命保険金

満期により、保険料を負担していない人が保険金を取得したときに贈与とみなされます。

2.定期金

掛金を負担していない人が保険金を取得したときに贈与とみなされます。

3.低額譲渡

通常の価格(時価)より著しく低い額で財産を取得したときは、通常、その差額分が贈与とみなされます。

4.債務免除

子供の借金を親が代わりに支払ったときは、その支払った分は贈与とみなされます。

贈与税の非課税財産

次に掲げる財産については贈与税が課されません。

  1. 法人からの贈与により取得した財産(所得税の課税対象となります。)
  2. 夫婦や親子などの扶養義務者から、通常必要と認められる生活費や教育費に充てるために取得した財産
  3. 個人から受ける、社会通念上相当と認められる香典、贈答、お祝い、見舞金など
  4. 相続や遺贈により財産を取得した人が、相続開始の年に被相続人から贈与により取得した財産(相続税の対象となります。)
  5. 離婚による財産分与。分与された財産の額が、多すぎる場合には、その部分について贈与税が課されます。

贈与税の申告等

贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに、贈与を受けた人の住所を所轄する税務署に申告し、納付しなければなりません。

【補足:ここも覚える】

  • 贈与者が贈与(暦年課税贈与)をした年に死亡した場合で、相続財産を取得するときは、相続税の課税対象となるため、贈与税の申告は不要です。なお、相続財産を取得しないときは、相続税の課税対象とならず、贈与税の課税対象となります
  • 贈与者が贈与(相続時精算課税贈与)をした年に死亡した場合、相続税の課税対象となるため、贈与税の申告は不要です

贈与税の延納

贈与税の納付は、金銭での一括納付のほか、5年以内の延納(分割払い)が認められています。ただし、相続税と異なり、物納は認められていません

延納を受けるためには、次の要件に該当しなければなりません。

  • 申告による納付税額が10万円を超えていること
  • 金銭で一括に納めることが困難であること。
  • 担保を提供すること。ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下の場合には、担保を提供する必要がありません。
  • 申告期限までに延納申請書を提出していること。

贈与税(暦年課税)の計算

暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に、ある個人(受贈者)が、贈与を受けた財産の価額の合計額から基礎控除額110万円を控除した価格(課税価格)に対して、課税されることになる贈与税のことです。暦年課税の贈与税は、受贈者ごとに計算します。

以下の算式により贈与税を求めることができます。

(1年間の贈与財産の価額の合計額-110万円)×税率(超過累進税率)-控除額

税率は、一般税率と特例税率があります。

暦年課税の場合において、父母や祖父母などの直系尊属からの贈与により財産を取得した受贈者(贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の人に限ります。)については、特例税率を使って計算します。

それ以外は、一般税率を使って計算します。

【贈与税の速算表】

↓一般税率(一般贈与財産用)の速算表

贈与税一般税率

↓特例税率(特例贈与財産用)の速算表

贈与税特例税率

贈与税の配偶者控除

下記の要件を満たす場合、基礎控除額の他に、最高、2,000万円まで控除することができます。

  1. 婚姻期間が20年以上(贈与があった時点で20年以上であるか否かを判断)の配偶者(内縁関係は除きます。)から、贈与を受けたこと。なお、婚姻期間に1年未満の端数があるときは、切り捨てます。よって、婚姻期間が19年を超え20年未満であるときは、贈与税の配偶者控除の適用がありません。
  2. 贈与を受けた財産が、居住用不動産(土地・家屋・借地権)又は居住用不動産を購入するための金銭であること。
    敷地のみの贈与の場合でも、他の要件を満たすことで、この特例の適用を受けることができます。
  3. 贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに、贈与を受けた居住用不動産に受贈者が居住し、その後も、居住する見込みであること。また、贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに、贈与を受けた金銭で、居住用不動産を購入し、当該居住用不動産に受贈者が居住し、その後も、居住する見込みであること。
  4. 配偶者から贈与を受けた年の前年以前に、同じ配偶者からの贈与について、贈与税の配偶者控除の規定の適用を受けていないこと。

相続時精算課税制度

原則的な課税方式である暦年課税と異なり、相続時精算課税制度の適用を受けようとする場合には、一定の要件に該当し、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書を申告書に添付して、納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。

相続時精算課税制度の適用を受けるための原則的な要件

相続時精算課税制度の適用を受けるための主な要件は、原則、下記のとおりです。

  1. 贈与年の1月1日において、60歳以上である親又は祖父母が、贈与者であること。
  2. 受贈者は、贈与年の1月1日において20歳以上で、贈与を受けた時において贈与者の直系卑属(子供や孫)である推定相続人または孫

相続時精算課税制度の計算式

(贈与者ごとの1年間の贈与を受けた財産の価額の合計額-2,500万円)×20%(一律)となります。

【補足:ここも覚える】

  1. 60歳以上である母親からの贈与について、相続時精算課税制度の制度の適用を受けたとしても、60歳以上である父親からの贈与についても、相続時精算課税制度の適用を受けることができます。
  2. 例えば、母親からの贈与について、相続時精算課税制度の適用を受けた場合には、以後、母親からの贈与について、暦年課税に変更することはできません
  3. 例えば、ある年に、父親から600万円の贈与を受けている場合
    →600万円-600万円(控除額である2,500万円のうちの600万円)=0ですので、贈与税は課税されません。
    →そして、翌年に2,000万円の贈与を受けた場合には、2,000万円-1,900万円(控除額は2,500万円ですが、前年に600万円を控除しているので、600万円については、当年においては、控除できません。)=100万円となり、100万円×20%=20万円が贈与税となります。
  4. 相続税との関係については、贈与者の死亡時に、贈与財産の贈与時の価額が、相続税の計算の際に、相続財産の価額に加算され相続税が計算されます。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例

親から住宅取得等資金の贈与を受けた子供または孫(贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上である者に限ります。)が、一定の要件を満たせば、親の年齢に関係なく、相続時精算課税制度の適用を受けることができます。なお、この特例の適用を受けるための主な要件は、下記のとおりです。

  1. 贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日まで当該住宅取得等資金の全額をもって、住宅用家屋の新築、取得、建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得、既存住宅用家屋の取得、居住の用に供している住宅の増改築等し、同日までに、居住の用に供すること又は同日後遅滞なく居住の用に供することが確実であると見込まれること。
    なお、受贈者の配偶者、親族、生計を一にする内縁関係者等から、住宅用家屋の取得等をした場合には、この特例の適用を受けることができません。
  2. 住宅の床面積(増改築等の場合には、増改築後の床面積)が50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上に相当する部分が、専ら居住の用に供していること。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

直系尊属(父、母、祖父母など。年齢制限なし。)から住宅取得等資金の贈与を受けた贈与者の20歳以上である直系卑属(子供・孫など)は、一定の要件を満たせば、暦年課税の基礎控除である110万円や、相続時精算課税の特別控除である2,500万円の他に、700万円(住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日が平成28年1月1日~平成32年3月31日の場合。質の高い住宅家屋については、1,200万円となります。)が非課税となります。

なお、この特例の適用を受けるための主な要件は、下記のとおりです。

  1. 贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに当該住宅取得等資金の全額をもって、住宅用家屋の新築、建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得、既存住宅用家屋の取得、居住の用に供している住宅の増改築等し、同日までに、居住の用に供すること又は同日後遅滞なく居住の用に供することが確実であると見込まれること。
    なお、受贈者の配偶者、親族、生計を一にする内縁関係者等から、住宅用家屋の取得等をした場合には、この特例の適用を受けることができません。
  2. 住宅の床面積(増改築等の場合には、増改築後の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下で、床面積の2分の1以上に相当する部分が、専ら居住の用に供していること。
  3. 既存住宅用家屋(中古住宅)が、耐火建築物である場合には、築25年以内、耐火建築物以外の場合には、築20年以内又は新耐震基準に適合していること。
  4. 増改築等の場合には、一定の増改築等の工事に要した費用の額が100万円以上であること。

教育資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

直系尊属(父、母、祖父母など。年齢制限なし。)から受贈者(教育資金管理契約を締結する日において30歳未満である子供・孫などに限ります。)に教育資金を一括贈与し、その金額を受贈者名義で開設しておいた口座に預け入れた場合、1,500万円までが非課税となります。

この特例の適用を受けるためには、金融機関経由で、教育資金非課税申告書を提出しなければなりません。

【補足:ここも覚える】

学校等以外の者に教育に関する役務の提供の対価として直接支払われる金銭で一定のものに係る支出については、500万円を限度として非課税となります。

受贈者の所得要件について贈与があった年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、適用できません。

結婚・子育て資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

直系尊属(父、母、祖父母など。年齢制限なし。)から受贈者(結婚・子育て資金管理契約を締結する日において20歳以上50歳未満である子供・孫などに限ります。)に結婚・子育て資金を一括贈与し、その金額を受贈者名義で開設しておいた口座に預け入れた場合、1,000万円(結婚費用は300万円)までが非課税となります。

この特例の適用を受けるためには、金融機関経由で、結婚・子育て資金非課税申告書を提出しなければなりません。

 

【補足:ここも覚える】

受贈者の所得要件について贈与があった年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、適用できません。

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