10種類の所得(所得税)テキスト

10種類の所得(所得税)について見ていきます。

この分野は、本試験で出題される可能性が高いので、じっくりとこのテキストをマスターしてください。

このページに掲載している2級追加論点とは、2級を目指す方だけが学習してください。ですので、3級を目指す方は、学習する必要はありません。

~注意~

無料版のテキストは、一部の論点及び解説を省略しています。

ですので、教材購入者の皆さんは、必ず、教材購入者専用ページ内にありますテキスト完成版をご利用ください。

利子所得

預貯金や公社債(国債・地方債・社債など)の利子、合同運用信託・公社債投資信託・金銭信託・貸付信託の収益分配金は、利子所得に該当します。

なお、友人への貸付金の利子は、利子所得に該当せず、雑所得に該当します。

1.計算方法

利子や収益分配等の収入金額(源泉徴収税額を差し引く前)=利子所得

2.課税方法

利子所得は、その支払を受ける際、利子所得の金額に20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の税率を乗じて算出した金額が源泉徴収され、課税関係が終了します。つまり、源泉分離課税です。源泉分離課税の対象とならないものは、総合課税です。

【補足:ここも覚える】

平成28年以後に支払いを受ける特定公社債等(国債、地方債、公社債投資信託など)の利子等については、申告分離課税、または、確定申告不要を選択できます。

配当所得

株式配当金、証券投資信託(公社債投資信託以外のもの)の収益分配金などが配当所得に該当します。

1.計算方法

収入金額(源泉徴収税額を差し引く前)-株式などを取得するための借入金の利子=配当所得

2.課税方法

配当所得は、その支払を受ける際、配当所得の金額に一定の税率を乗じて算出した金額が源泉徴収されます。

一定の上場株式の配当金、上場・公募株式投資信託の収益分配金に対する源泉徴収税率は、20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です。

また、一定の上場株式の配当金、上場・公募株式投資信託の収益分配金については、確定申告不要を選択できます。この場合、源泉分離課税です。

※確定申告不要を選択しない場合、申告分離課税または総合課税のいずれかを選択しなければなりません。

※上場株式の配当金(外国株式、J–REITなどの配当金を除く。)について総合課税を選択したときは、配当控除の適用対象となります。なお、申告分離課税を選択した場合、配当控除の適用は不可となります

※上場株式の配当金、上場・公募株式投資信託の収益分配金について申告分離課税を選択した場合、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除の適用対象となります。なお、総合課税を選択した場合、損益通算の適用は不可となります

【補足:ここも覚える】←2級追加論点

  • 非上場株式の配当金、私募株式投資信託の収益分配金に対する源泉徴収税率は20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)です。
  • 非上場株式の配当金、私募株式投資信託の収益分配金は、総合課税(少額配当については、所得税のみ申告不要も可能です。ただし、住民税については、申告不要は、不可能です。)の対象となります。
  • 少額配当とは、1銘柄について1回に支払を受けるべき配当等の金額が、次により計算した金額以下であるものです。
    10万円×配当計算期間の月数(最高12ヵ月)÷12

事業所得

事業所得とは、農漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人の事業(対価を得て継続的に行う事業のこと。)から生ずる所得のことです。

【補足:ここも覚える】

  • 対価を得て継続的に行う事業」に該当しなければ、事業所得に該当しません。
  • 不動産の貸付事業の場合、事業所得に該当せず、不動産所得に該当します。
  • 山林の譲渡による所得は、事業所得に該当せず、山林所得に該当します。
  • 作家以外の者が得た原稿収入は、事業所得に該当せず、雑所得に該当します。
  • 事業用の固定資産を譲渡した場合の収入は、事業所得に該当せず、譲渡所得に該当します。

1.計算方法

総収入金額-必要経費=事業所得の金額

※総収入金額には、金銭ではなく物品で受け取ったものの価額、商品を自家用に消費したり贈与した場合のその商品の価額、仕入割引やリベート収入などが総収入金額に含まれます。未収となっている売上代金も総収入金額に含まれます

※必要経費とは、収入を得るために直接必要な売上原価や販売費、管理費その他費用のことです。

【補足:ここも覚える】

  • 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給料・家賃・借入金の利子などは、原則として必要経費に算入されません。
  • 商品の売上原価=年初(期首)棚卸高+年間仕入高-年末(期末)棚卸高
  • 売上原価を計算する方法として、先入先出法、最終仕入原価法、移動平均法などがあり、選定します。なお、選定しない場合には、最終仕入原価法を選定したものとなります。

 

3.減価償却

長期間、継続的に業務のため使用していく建物、機械装置、車両運搬具、器具備品、土地などのことを固定資産といいます。

建物、機械装置、車両運搬具、器具備品などの固定資産については、時間の経過や使用により価値が減少します。価値が減少する固定資産を減価償却資産といいます。

減価償却資産の取得金額を取得時に必要経費とせず、価値の減少分(減価償却費といいます。)だけを必要経費とします。

この処理のことを減価償却といいます。

なお、土地については、時間の経過や使用により価値が減少するものではないので、減価償却資産に該当しません。よって、減価償却をする必要はありません

1)減価償却の方法

減価償却の方法には、定額法や定率法などがあります。

【定額法】

原則、償却費の額が毎年同額となります。

  • 平成10年4月1日以降に建物を取得した場合、その建物の減価償却方法は、定額法のみとなります。
  • 平成28年4月1日以降に建物附属設備及び構築物を取得した場合、その建物附属設備及び構築物の減価償却方法は、定額法のみとなります。

【定率法】

初めの年が減価償却費の額が最も多く、年が経つにつれて減少します。

2)少額資産の減価償却

  • 少額減価償却資産
    取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産は、業務の用に供した年において、取得価額の全額を必要経費に算入できます。
    例えば、取得価額が8万円の備品を購入したとします。この場合、8万円全額を業務の用に供した年において必要経費に算入できます。

  • 一括償却資産
    取得価額が20万円未満の減価償却資産は、取得価額を業務の用に供した年から3年間にわたって均等に償却できます。
    例えば、取得価額が12万円の備品を購入したとします。この場合、4万円(12万円÷3年)を業務の用に供した年から3年間にわたって必要経費に算入できます。

  • 中小企業者等の少額減価償却資産
    中小企業者に該当する個人で青色申告書を提出する方が取得する取得価額が30万円未満の少額減価償却資産については、取得価額の全額を必要経費に算入できます。ただし、年間合計で300万円までです。
    例えば、取得価額が24万円の備品を購入したとします。この場合、24万円全額を業務の用に供した年において必要経費に算入できます。

不動産所得

土地や建物などの不動産の貸付け、不動産の上に存する権利(地上権など)の設定及び貸付け、船舶や航空機の貸付けによる所得が不動産所得に該当します。

【補足:ここも覚える】

  • アパートの賃料、権利金、礼金など後日返還が不要なものが、不動産所得に該当します。
  • 土地の賃貸により受取った権利金が土地の時価の50%を超えている場合、原則、譲渡所得に該当します。
  • 食事を提供する下宿の賃料は、事業所得または雑所得に該当します。
  • 時間ぎめの駐車場の収入は、事業所得または雑所得に該当します。
  • 社宅の賃料は、事業所得に該当します。

 

2.課税方法

不動産所得は、総合課税です。

給与所得

給与所得とは、勤務先から受ける給料、役員報酬、賞与などの所得のことです。金銭以外の現物支給、無利子・低利での金銭の貸し付けによる経済的利益なども給与等に含まれます。

1.計算方法

総収入金額-給与所得控除額=給与所得

【平成29年分の給与所得控除額の速算表】

給与所得控除額は、給与等収入金額に応じて、次の表に従って計算した金額となります。

給与所得控除

例えば、年収600万円の会社員の給与所得は、いくらになるのか?を上記の表を使って求めていきます。

600万円×20%+54万円=174万円が給与所得控除額となり、年収から差し引いて給与所得を求めます。

600万円-174万円=426万円が、給与所得となります。

【補足:ここも覚える】←2級追加論点

特定支出の額の合計額が、その年中の給与所得控除額の1/2の金額を超える場合、超える部分の金額を給与所得控除額を控除した所得金額から控除することができます。

特定支出とは、「通勤費」、「転勤に伴う転居費」、「研修費」、「弁護士、税理士などの資格取得費」、「帰宅旅費」、「職務の遂行に直接必要な図書費・衣服費・交際費など(65万円を限度)」のことです。

2.課税方法

給与所得は、原則、総合課税です。

ただし、会社が給与を支払うときに、所得税を源泉徴収します。そして、年末に過不足を精算する年末調整を行います。よって、所得が給与所得だけの場合、通常は、確定申告をする必要がありません。

退職所得

退職所得とは、退職手当、一時恩給など退職により受ける所得のことです。

また、「企業年金(確定拠出年金・確定給付企業年金等)を一時金で受け取った場合」、「小規模企業共済から一時金を受け取った場合」、「労働基準法により解雇予告手当を受け取った場合」も退職所得に該当します。

1.計算方法

(収入金額-退職所得控除額) × 1/2=退職所得

役員等勤続年数が5年以下である役員等に支払う退職金については、平成25年分以後は、収入金額(源泉徴収前の金額)-退職所得控除額の金額が、退職所得となります。1/2を乗じる必要はありません。

【退職所得控除額の速算表】

退職所得控除

※勤続年数の1年未満の端数は、1年に切り上げます。例えば、3年半の場合→4年

※障害者になったことが原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記で計算した金額に100万円が加算されます。

勤続年数が30年8ヵ月のAが、退職金3,000万円を受け取った場合の退職所得は、いくらになるのか?を上記の表を使って求めていきます。

退職所得控除額:800万円+70万円×(31年-20年)=1,570万円

退職所得:(3,000万円-1,570万円)×1/2=715万円

2.課税方法

退職所得は、原則として他の所得と切り離して分離課税されます。

退職手当等の支払の際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、正規の所得税等の額が源泉徴収されるため、原則、確定申告する必要がありません

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、退職手当等の支払金額の20.42%(復興特別所得税を含みます。)が源泉徴収されるので、確定申告により、過不足を精算します

譲渡所得

譲渡所得とは、土地・建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡したことによって生ずる所得のことです。

【補足:ここも覚える】

  • 山林を譲渡した場合、山林所得に該当します。
  • 棚卸資産(商品や製品など)を譲渡した場合、事業所得に該当します。
  • 営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡の場合、事業所得または雑所得に該当します。

1.譲渡所得の区分と課税方法

「土地・建物及び株式以外の資産を譲渡した場合」、「土地・建物を譲渡した場合」、「株式を譲渡した場合」に分けます。

【土地建物及び株式以外の資産を譲渡した場合】

  • 取得したときから譲渡したときまでの所有期間が5年を超えている場合、長期譲渡所得に該当します。
  • 取得したときから譲渡したときまでの所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得に該当します。
  • 長期譲渡所得の場合には所得金額の1/2を、短期譲渡所得の場合には所得金額そのものを他の所得と合算して総合課税されます。

【土地建物を譲渡した場合】

  • 取得したときから譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年を超えている場合、長期譲渡所得に該当します。
  • 取得したときから譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得に該当します。
  • 長期譲渡所得の場合には20.315%(復興特別所得税を含みます。)、短期譲渡所得場合には39.63%(復興特別所得税を含みます。)の税率で申告分離課税されます。

【株式を譲渡した場合】

  • 上記のような、長期と短期には分けません。
  • 20.315%(復興特別所得税を含みます。)の税率で申告分離課税されます。

2.譲渡所得の計算方法

【土地建物及び株式以外の資産を譲渡した場合】

総収入金額(譲渡価額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円)=譲渡所得

【土地建物を譲渡した場合】

譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=譲渡所得

【株式を譲渡した場合】

総収入金額(譲渡価額)-(取得費+譲渡費用+負債利子)=譲渡所得

山林所得

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することにより生ずる所得のことです。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合には、事業所得または雑所得となります。

1.計算方法

総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)=山林所得

2.課税方法

山林所得は、分離課税です。

一時所得

一時所得とは、営利を目的としない所得で、労務や役務の対価、資産の譲渡による対価とならない一時的な所得のことです。

懸賞の賞金品、競馬・競輪の払戻金 生命保険の満期保険金、損害保険の満期返戻金等、法人から贈与された金品などが一時所得に該当します。

1.計算方法

総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得

2.課税方法

一時所得は、総合課税です。なお、所得金額の1/2を他の所得の金額と合算します。

雑所得

雑所得とは、その他の所得のいずれにも該当しない所得のことです。

雑所得は、公的年金等と公的年金等以外に分けられ、公的年金等の雑所得には、公的年金や企業年金から受ける老齢年金などがあります。

公的年金等以外の雑所得には、作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料などがあります。

1.計算方法

1)公的年金等の雑所得

収入金額-公的年金等控除額=公的年金等の雑所得

2)公的年金等以外の雑所得

総収入金額-必要経費=公的年金等以外の雑所得

 

3)雑所得

1)+2)=雑所得

公的年金等控除額は、「年金受給者の年齢が65歳以上の場合」と「年金受給者の年齢が65歳未満の場合」とで異なります。

【年金受給者の年齢が65歳以上の場合】

公的年金等控除(65歳以上)

【年金受給者の年齢が65歳未満の場合】

公的年金等控除(65歳未満)

2.課税方法

雑所得は原則、総合課税です。

 

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