生命保険の基礎等テキスト

FP2級・3級試験教材

~NEW~

法人税(タックスプランニング編)の勉強を終えた方は、法人税の問題にチャレンジしてください。

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生命保険の基礎について見ていきます。

この分野は、本試験で出題される可能性が高いので、じっくりとこのテキストをマスターしてください。

~注意~

無料版のテキストは、一部の論点及び解説を省略しています。

ですので、合格セット購入者の皆さんは、必ず、合格セット購入者専用ページ内にありますテキスト完成版をご利用ください。

生命保険の種類

生命保険は、万一の場合に備えて加入をしておくものです。

生命保険には大きく分けて、「死亡保険」、「生存保険」、「生死混合保険」の3つの基本形があります。

1.死亡保険

被保険者が死亡したり、高度障害状態になったときに保険金が支払われます。なお、定期保険・終身保険・定期保険特約付終身保険などがこれにあたります。

2.生存保険

契約してから満期まで被保険者が生存していたときに保険金が支払われます。なお、個人年金保険・こども保険などがこれにあたります。

3.生死混合保険

被保険者が死亡したときや高度障害状態になったときには死亡保険金が支払われ、被保険者が満期まで生存していたときには生存保険金が支払われます。なお、養老保険などがこれにあたります。

※生命保険は、「主契約」部分と「特約」部分に分けることができます。

※主契約は、メインであり、単独で契約することができます。

※特約は、オプションであり、単独で契約することができません。

生命保険料の仕組み

保険料算出の大原則

1.収支相等の原則

契約者全体から集めた保険料の総額(収入)と受取人全体に支払った保険金の総額(支出)が等しくなるように、保険料を計算することを収支相等の原則といいます。

2.大数の法則

少ないデータでは法則が分からなかったとしても、数多くのデータを集めることで一定の法則が明らかになることを、大数の法則といいます。

保険料算出の3要素

生命保険の保険料は、次の3つの予定率(契約時の予定基礎率)をもとに算出されます。

  1. 予定死亡率
    過去の統計をもとに算出される性別・年齢別の死亡者数の割合のことを予定死亡率といいます。
  2. 予定利率
    生命保険会社が資産運用による収益を見込み、その収益分だけを保険料を割り引きます。この際の割引率のことを予定利率といいます。
  3. 予定事業費率
    生命保険会社が事業運営に必要な諸経費の割合のことを予定事業費率といいます。

【補足:ここも覚える】

  • 予定利率を低く見積もるほど、保険料が高くなります
  • 予定死亡率を高く見積もるほど、保険料が高くなります。ただし、個人年金保険の場合には、予定死亡率を低く見積もるほど、年金支払期間が長期にわたることになりますので、保険料が高くなります
  • 予定事業費率を高く見積もるほど、保険料が高くなります

剰余金と配当金の仕組み

剰余金

保険料は、上記3つの予定率をもとに算出されますが、保険会社の毎年度末の決算のときに、利益(予定と実際との差益)が生じます。

これを剰余金といいます。

次の3つの差益により、剰余金が生じます。

  1. 死差益
    実際の死亡率が予定死亡率よりも低かった場合に、剰余金が生じます。
  2. 利差益
    実際の運用収益が、予定利率による運用収益を上回った場合に、剰余金が生じます。
  3. 費差益
    実際の諸経費が、予定事業費率による諸経費より安かった場合に、剰余金が生じます。

配当金

剰余金が生じた場合、剰余金の還元として契約者にお金を分配していきます。

この分配されるお金のことを、配当金といいます。

生命保険は、配当金の分配がある有配当保険と、配当金の分配のない無配当保険に分けることができます。

有配当保険については、「3利源配当(死差益・利差益・費差益による配当)タイプ」と「利差配当(利差益による配当のみ)タイプ」に分けることができます。

【補足:ここも覚える】

  • 有配当保険と無配当保険とでは、保険料は、無配当保険の方が安くなります。
  • 3利源配当タイプと利差配当タイプとでは、保険料は、利差配当タイプの方が安くなります。

配当金の受取方法には、次の4つがあります。

  1. 積立方法
    配当金を受け取ることなく、保険会社に積み立てておく方法です。途中で引き出すことも可能です。
  2. 買増方法
    配当金を一時払の保険料として保険を買い増していく方法です。
  3. 相殺方法
    配当金と保険料を相殺する方法です。相殺することにより配当金の分だけ保険料の負担が軽減します。
  4. 現金支払方法
    配当金を現金で受け取る方法です。

必要保障額の計算

必要保障額とは、死亡後の総支出から総収入を差し引くことで求めることができます。

必要保障額=死亡後の総支出-総収入

生命保険の基礎用語

  • 契約者とは、生命保険会社と保険契約を結び、契約上の権利と義務を持つ人のことです。
  • 被保険者とは、生命保険の保障の対象となる人のことです。
  • 受取人とは、保険金・給付金などを受け取る人のことです。
  • 診査とは、保険契約に際し、加入申込者(被保険者)に対して医師が行う身体検査のことです。
  • 承諾とは、加入の申込みに対して、保険会社が認めることです。
  • 保険料とは、契約者が生命保険会社に払い込むお金のことです。
  • 保険金とは、被保険者が死亡したときや高度障害状態になったとき、または、被保険者が満期まで生存したときに保険会社から支払われるお金のことです。
  • 保険事故とは、保険会社が保険金や給付金等の支払いを行わなければならない事由となる出来事のことです。
  • 給付金とは、入院や手術により、保険会社から受け取るお金のことです。保険金と異なり、給付金を受け取った後でも契約が継続します。
  • 責任準備金とは、将来の保険金・給付金等の支払いに備えるために、積立てが義務付けられている準備金のことです。
  • 解約返戻金とは、生命保険契約を中途で解約した場合などに戻ってくるお金のことです。
  • 主契約とは、生命保険の基礎となる部分のことです。
  • 特約とは、主契約に付加して契約するもので、特約のみで契約することはできません。

告知義務制度

生命保険契約は、保険契約者と保険会社との合意により契約が成立する諾成契約です。

生命保険契約を保険会社と締結する際に、保険契約者又は被保険者になる者は、保険会社に対して傷病歴や健康状態などの質問に対して正直に答える必要があります。

これを告知義務といいます。

保険契約者又は被保険者が、告知事項について、故意又は重大な過失により事実の告知をせず、又は不実の告知をしたときは、保険者は、原則、生命保険契約を解除することができます。

ただし、この解除権は、保険者が解除の原因があることを知った時から1ヵ月間行使しないときは、消滅することになります。また、保険契約の締結の時から5年を経過したときも、消滅することになります。

契約の承諾と責任開始期

保険会社が契約上の責任(保険金・給付金の支払いなど)を開始する時期を責任開始期(責任開始日ともいいます。)といいます。

保険会社が申込みを承諾した場合、責任開始期は、次の3つ全てが完了した時です。

  1. 保険契約の申込書の提出
  2. 告知(診査)
  3. 第1回保険料(充当金)の払込み

【ちょっと例題】

  • 例えば、4月10日に申込み・告知・第1回保険料の払込みが行われ、4月20日に承諾があったとします。この場合、責任開始期は、4月10日です。
  • 例えば、4月10日に申込み・告知、4月20日に承諾、4月25日に第1回保険料の払込みが行われたとします。この場合、責任開始期は、4月25日です。

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